「SaaS、といえばMRR(Monthly Recurring Revenue)」といっても過言でないかと思います。MRRは、毎月繰り返し発生する売上を表し、ARR(Annual Recurring Revenue)も概念としてはMRRと同様ですが、「年」単位で売上が発生することが異なります。
つまり、解約率がゼロだと仮定すると、
- MRR100万円だと来月も100万円
- ARR100万円だと来年も100万円
が売上となるということです。ではMRRとARR、どっちの指標がより適切なのでしょうか?
MRRとARRは「ARR = MRR x 12」という単純な式で関連づけることができます。一方、MRRの場合は、伸び続けるSaaSスタートアップの場合、会計年度の1ヶ月目と12ヶ月目では当然金額が異なってくるはずなので、どの月を起点にして12倍にするかでARRが異なります。もちろん、これは強気に売上の予測をするのか、保守的に売上の予測をするのかにより異なりますし、せっかく成長していっててもそれを上回るスピードで解約が起きていたら1ヶ月よりも12ヶ月目の方がMRRが下がる、という笑えないことが起きてしまうでしょう。
SaaSOPTICSによれば、
・ARRをMRRより使うべきなのは、契約の最小単位が1年の場合でBtoB向け
・逆に、toC向けのサービスでARRを使うことは稀
・ARRの方がMRR(日割りのケースが多く、月の中でも月初月末で金額が変わる)に比べて、より正確な売上が予測できる
SaaSOPTICS
とのことらしいです。
個人的には、契約の最小単位が1年かどうか、という点については、あまり本質的ではないと思っており、ARRであれMRRであれ、SaaSの凄さを比較するための指標のため、何を算出の根拠においているのかをはっきりした上で議論できたらどっちでもいいかなと思っています。
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最後にSaaSを理解するための本のご紹介と宣伝
SaaSの本質であるリード生成、商談獲得、商談受注までのプロセスを表す一連の流れを指し、Salesforce、Marketoで勤務した経験を持つ福田氏による名著です。基本的なSaaSオペレーションの諸概念について、簡単な言葉で表現してくれており、SaaSの全体観を掴むのに適しています(なお、SaaS全体のおすすめ本はこちらにまとめています)。
ちなみに2021年以降にIPOしたSaaS関連各社の四半期単位の各社については、本サイトをまとめた書籍を執筆しています。(画像クリックでamazonの新しいタブが開きます。)当該期間にIPOした新規上場SaaSの分類として、
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などの分類とまた、その他関連SaaS書籍をまとめておきましたので、興味のある方は以下よりご覧ください。なお、リンクのクリックで個社の過去記事をご覧いただくこともできます。