スパイダープラスは建設・メンテナンス業向けの図面・現場アプリを提供。
さて、初めにスパイダープラスのプロダクトについてご紹介します。2021年4月14日時点の同社ホームページによれば、スパイダープラスは建設・メンテナンス業向けの図面・現場アプリをSaaSとして提供しています。建設業界向けのバーティカルSaaS、ということが言えるでしょうか。
1997年9月伊藤工業を設立。2011年9月建築図面・現場管理アプリ「SPIDERPLUS」をリリース。2021年3月社名を東証マザーズへ上場
続いて2021/3/31発表 第22期有価証券報告書よりスパイダープラスの沿革についてご紹介します。スパイダープラスの沿革によれば、
・1997年9月伊藤工業を創業
・2011年9月建築図面・現場管理アプリ「SPIDERPLUS」をリリース
・2012年6月社名を株式会社レゴリスへ変更
・2020年11月社名をスパイダープラス株式会社へ変更
・2021年3月社名を東証マザーズへ上場
しています。
なお、余談ですが、スパイダープラスは1997年の創業時には個人事業として現在の代表取締役社長の伊藤さんが個人事業として熱絶縁工事を営む伊藤工業という会社だったとのことです。いわば、ソフトウェアと無縁の世界から、2011年には建築図面・現場管理アプリである「SPIDERPLUS」をリリースし、そのあとは沢山の機能を追加して行ったことを沿革から見て取ることができますが、その振れ幅の大きさがすごいな、と尊敬する沿革となっています。
スパイダープラスの最新開示KGI(売上高)は2020年12月期末で20億円。直近YoY成長率は153%
では続いてスパイダープラスの売上高から見てみましょう。
2014年12月期から2020年12月期の7年分の売上高を見ると、直近の売上高成長率は2019年12月期から2020年12月期にかけて、YoY成長率141〜155%を維持して成長しています。一度、2016年12月期末の売上が激減していますが、こちらは沿革などには特に記載がなく、不明でした。この頃はまだSaaSの売上比率が低かった、ということでしょうか。続いてスパイダープラスの事業セグメント別の情報を紹介します。
2020年12月期末でストック売上比率は最大75.2%
続いて、スパイダープラスの売上高の構成比率について見てみましょう。2021/3/31発表 第22期有価証券報告書によれば、スパイダープラスの事業のうち、ストック売上比率(ICT事業比率)は少なくとも75.2%以上でした。ただし、これはICT事業の100%がSaaS関連の売上だと仮定しているため、初期費用の影響などを一切考慮していません。スパイダープラスは料金を明確に公開しており、初期費用もかかることがわかっています。ので、この数字はあくまで最大で、ということにご注意ください。
さて、次回はスパイダープラスのSaaSプロダクトがどのようなKPIになっているのか、分析していきます。スパイダープラスは、建設業界とSaaSという、バーティカルな領域にSaaSを提供している会社です。それぞれのKPIもとても分析のしがいがありそうです。最後まで読んでいただきありがとうございました。
最後にSaaSを理解するための本のご紹介と宣伝
SaaSの本質であるリード生成、商談獲得、商談受注までのプロセスを表す一連の流れを指し、Salesforce、Marketoで勤務した経験を持つ福田氏による名著です。基本的なSaaSオペレーションの諸概念について、簡単な言葉で表現してくれており、SaaSの全体観を掴むのに適しています(なお、SaaS全体のおすすめ本はこちらにまとめています)。
ちなみに2021年以降にIPOしたSaaS関連各社の四半期単位の各社については、本サイトをまとめた書籍を執筆しています。(画像クリックでamazonの新しいタブが開きます。)当該期間にIPOした新規上場SaaSの分類として、
- ホリゾンタル・バーティカルSaaS
- エンタープライズとSMBSaaS
などの分類とまた、その他関連SaaS書籍をまとめておきましたので、興味のある方は以下よりご覧ください。なお、リンクのクリックで個社の過去記事をご覧いただくこともできます。