ASPとSaaSは、ともに月額課金でソフトウェアを提供している。このため、実態は同じものであり、ただ単に最近流行ってるのでかっこいい風な名称で「SaaSと読んでるだけちゃうんか?」という疑問が湧く。
アメリカのサイトsaasaddictによれば、以下の違いがあるらしい。なお、以下は管理人SLの意訳である。
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(1)ASPはISVの作ったソフトウェアを売る。SaaSは自分たちで作ったソフトウェアを売る。
ISVはIndependent Software Vendorの略。何に対してIndependentかというと、ハードウェアメーカに対して、とのこと。
(2)ASPはシングルテナント。SaaSはマルチテナント。
つまり、ひとつの会社に対してひとつの環境を用意するか、複数の会社が相乗りできる形で環境があるかないかの違いのようだ。
(3)事業スケーラビリティはSaaSの方が高い。
プログラムの大部分を共通化できるマルチテナントであるがゆえに、顧客のフィードバックをプロダクト開発にすばやく反映することができるメリットがある。
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共通して、実装やシステムに近いところが特徴としてあげられていた。SaaSスタートアップの現場的には、改めて考えてみるとなるほど確かになと感じるし、もう少し組織に寄った観点で言うと、
- SaaSでは、カスタマーサクセスが組織として担保されているが、ASPは担保されていない(カスタマーサポートはいるが)
ということなのではないか、と思っている。
これは、上のシングルorマルチテナントかというところも大きく効いていると思うんだけど、結局ソフトウェアをアップデートできないのなら、顧客と伴走するカスタマーサクセスの職責を果たせなくなってしまうためだ。
SaaSスタートアップの現場からは、以上です。
最後にSaaSを理解するための本のご紹介と宣伝
SaaSの本質であるリード生成、商談獲得、商談受注までのプロセスを表す一連の流れを指し、Salesforce、Marketoで勤務した経験を持つ福田氏による名著です。基本的なSaaSオペレーションの諸概念について、簡単な言葉で表現してくれており、SaaSの全体観を掴むのに適しています(なお、SaaS全体のおすすめ本はこちらにまとめています)。
ちなみに2021年以降にIPOしたSaaS関連各社の四半期単位の各社については、本サイトをまとめた書籍を執筆しています。(画像クリックでamazonの新しいタブが開きます。)当該期間にIPOした新規上場SaaSの分類として、
- ホリゾンタル・バーティカルSaaS
- エンタープライズとSMBSaaS
などの分類とまた、その他関連SaaS書籍をまとめておきましたので、興味のある方は以下よりご覧ください。なお、リンクのクリックで個社の過去記事をご覧いただくこともできます。