開示KPI:ビープラッツの直近期末時点ストック比率は約7割
ではまずはじめにビープラッツの期末時点ストック(月額課金)売上比率を見てみましょう。なお、ビープラッツのストック比率は、ストック収入による売上高/売上高(ストック収入による売上高とスポット収入による売上高の和)で算出しています。ビープラッツのストック収入比率は2017年の3月末時点では41%だったので、これが一気に2019年から2020年にかけて、70%を超える水準にまで増加しています。こちらは、前回の記事でも述べましたが、2019年3月期末から2020年3月期末にかけて、スポット収入の売上高を意図的に減らしたことが影響しているようです。
推定KPI:ビープラッツの期末時点推定MRRは2020年3月期末時点で0.32億円
次に、ビープラッツの推定MRRについて述べます。なお、こちらは
- ストック収入売上高 / 12(ヶ月)
により算出しています。安定した伸びを見せており、2020年3月時点ではMRR3,000万円を突破しているようです。現状のペース維持で次次回の決算ではMRR4,000万円を突破しそうですね。
ビープラッツの導入社数は2020年3月期末で113社で直近の成長率は136%
こちらは、ビープラッツの無償版を含むサービス別期末時点導入社数です。社数ベースで言うと、2016年から2017年にかけてはほぼ横ばいだった社数が、直近は順調に伸びており、最近でも136%の昨対成長率を見せています。
推定KPI:直近のストック収入平均単価は28.4万円で、YoYの伸び率は88%
続いて、ビープラッツのARPAについて述べます。なお、このARPAは推計のMRRを導入社数で割ったものです。グラフより、ARPAは下がり続けていることがわかります。こちらは、推測にはなりますが、スポット比率を下げるに当たって、初期の導入に苦労がかかる大企業の比率を下げているのではないか、と私は考えます(一般的に、超大企業にSaaSを導入する際は、大企業固有のカスタマイズ要望が入るため、ARPAが上がるトレードオフとセットで、初期費用を増やすことができます)。
ビープラッツの従業員数は58人、最新のYoY伸び率は123%
最後に、ビープラッツの従業員数について述べます。2020年3月期で従業員数は58名。直近1年では約1.3倍増加をしています。ざっくり1/3を営業部門が占め、ついで開発、そのほかの部門という形のようですね。
最後に
企業がサブスクリプションビジネスを導入する際に必要な各種の管理機能/マイページや契約情報。これらをまとめて管理できるSaaSを提供するビープラッツ ですが、今後さらに消費者の「所有から利用へ」と変わっていく中、国内でもサブスクリプションにチャレンジしていく企業が増えていくであろう中で、どこまで高いストック比率を保ちながら、次回の通期決算にどこまでストック比率が上がるのか、非常に楽しみですね。SaaSって、本当にいいものですね!最後まで読んでいただきありがとうございました。
最後にSaaSを理解するための本のご紹介と宣伝
SaaSの本質であるリード生成、商談獲得、商談受注までのプロセスを表す一連の流れを指し、Salesforce、Marketoで勤務した経験を持つ福田氏による名著です。基本的なSaaSオペレーションの諸概念について、簡単な言葉で表現してくれており、SaaSの全体観を掴むのに適しています(なお、SaaS全体のおすすめ本はこちらにまとめています)。
ちなみに2021年以降にIPOしたSaaS関連各社の四半期単位の各社については、本サイトをまとめた書籍を執筆しています。(画像クリックでamazonの新しいタブが開きます。)当該期間にIPOした新規上場SaaSの分類として、
- ホリゾンタル・バーティカルSaaS
- エンタープライズとSMBSaaS
などの分類とまた、その他関連SaaS書籍をまとめておきましたので、興味のある方は以下よりご覧ください。なお、リンクのクリックで個社の過去記事をご覧いただくこともできます。