- 開示KPI:サイバーセキュリティクラウドの推定期末時点ストック比率は約9割近くの高水準
- 推定KPI:サイバーセキュリティクラウドの期末時点推定MRRは2019年12月期末時点で3.39億円超え
- 開示KPI:攻撃遮断くんの2019年12月期末の利用企業数は798件
- 推定KPI:サイバーセキュリティクラウドの2020年12月時点ARPAは約8万円
- 開示KPI:サイバーセキュリティクラウドの2019年12月時点解約率は1.1%
- 開示KPI:サイバーセキュリティクラウドのTAMは国内で1兆円、全世界で25兆円
- サイバーセキュリティクラウドの従業員数は30人、最新のYoY伸び率は111%
- 最後に
- 最後にSaaSを理解するための本のご紹介と宣伝
開示KPI:サイバーセキュリティクラウドの推定期末時点ストック比率は約9割近くの高水準
はじめにサイバーセキュリティクラウドの期末時点ストック(月額課金)比率を見てみましょう。サイバーセキュリティクラウドの推定ストック比率は元々かなり高く、直近下がってはきているものの直近の2019年12月期でも89.2%と、ほぼ90%を超える高い水準のストック比率を維持しています。(なお、攻撃遮断くんの売上割合をストック比率とみなしています)
なお、参考までにサイバーセキュリティクラウドの事業セグメントは単一セグメントですが、そのサービスは
- クラウド型WAF「攻撃遮断くん」
- AWS WAFのルール自動運用サービス「WafCharm」
- AWS WAFの「Managed Rules」
の3つから構成されています。
確かに2017年から2019年にかけてクラウド比率は下がっていますが、どちらかというとWafCharm、managed Rulesの売上が立ち始めたと見るのが良いでしょう。前回紹介した売上から見ると、売上が立ち始めているのは2018年からだと考えると、たったの2年ですでに10%近い売上が立ち始めているということで、順調に立ち上がったサービスであるということが言えそうですね。
推定KPI:サイバーセキュリティクラウドの期末時点推定MRRは2019年12月期末時点で3.39億円超え
次に、サイバーセキュリティクラウドの推定MRRについて述べます。なお、こちらは
- 攻撃遮断くん売上 / 12(ヶ月)
により算出しています。ざっくりと直近2年で0.2億円近く積み上がっているので、攻撃遮断くん単体で160万円/月近いMRRが積み上がっている、と推定することができますね。
開示KPI:攻撃遮断くんの2019年12月期末の利用企業数は798件
次はサイバーセキュリティクラウドの各種アカウント数をみてみましょう。なお、サイバーセキュリティクラウドの各種サービスは、
- クラウド型WAF「攻撃遮断くん」:利用企業数
- AWS WAFのルール自動運用サービス「WafCharm」:課金ユーザー数
- AWS WAFの「Managed Rules」:Active Subscriber
という形で数字が公開されています。
推定KPI:サイバーセキュリティクラウドの2020年12月時点ARPAは約8万円
続いて、サイバーセキュリティクラウドのARPAについてわかったことを述べます。なお、このARPAはサービス毎の売上を先ほど紹介したアカウント数と12(ヶ月)で割り算したものです。Waf CharmとManaged Rulesについては、課金の形態がMRRではない可能性があります(従量課金、もしくはショット売上)。そこで、ここで最も参考になるのは攻撃遮断くんのARPAでしょう。計算によると、攻撃遮断くんの期末時点ARPAは7.6万円であり、約8万円ということが言えそうです。サイバーセキュリティクラウドは2020年の3月に上場したばかりでまさ数字があまり出ていないのですが、今後この数字がどう推移していくかは楽しみですね。
開示KPI:サイバーセキュリティクラウドの2019年12月時点解約率は1.1%
最後に、サイバーセキュリティクラウドの解約率について述べます。FY2019通期の有価証券報告書によれば、サイバーセキュリティクラウドの解約率は1.1%とのことです。SaaSにおいては、解約率が1%に抑えられると良いと言われることが多いので、良い水準にあることがわかります。
開示KPI:サイバーセキュリティクラウドのTAMは国内で1兆円、全世界で25兆円
参考までに、サイバーセキュリティクラウドはどのくらいの成長可能性があるのかということについて紹介します。2020年3月26公開の「成長可能性に関する説明資料」によれば、サイバーセキュリティクラウドのTAM(Total Addressable Market)は国内で1兆円、全世界で25兆円とのことです。これだけ大きいTAMだと、おそらく競争も激しいのではないかと推測できますが、海外でもセキュリティのニーズがあることについては確実なはずなので、世界展開をうまくすることができれば、一気に拡大することができそうですよね。
サイバーセキュリティクラウドの従業員数は30人、最新のYoY伸び率は111%
最後に、サイバーセキュリティクラウドの従業員数についてです。2019年12月期で従業員数はなんと30名でした。30人、という数は、これまで紹介してきたSaaSの中でもかなり従業員が少ない方ですね。2020年の3月に上場したばかりの会社ですので、これからさらに人数が増えていきそうですね。
最後に
サイバーセキュリティSaaSを提供するサイバーセキュリティクラウドについてご紹介しました。見ていただいた通り、HENNGEなどのIDaaS(超低水準の解約率SaaS)と比較すると、意外に解約率は高い水準にありながらも、TAMとして海外を捉えており、今後海外にも精力的に展開していきそうなところが印象に残りました。コロナにより、これらの情報セキュリティ系の投資をする企業も増えていくはずなので、次回の通期決算にどこまでポジティブな影響が出てくるかは非常に楽しみですね。SaaSって、本当にいいものですね!最後まで読んでいただきありがとうございました。
最後にSaaSを理解するための本のご紹介と宣伝
SaaSの本質であるリード生成、商談獲得、商談受注までのプロセスを表す一連の流れを指し、Salesforce、Marketoで勤務した経験を持つ福田氏による名著です。基本的なSaaSオペレーションの諸概念について、簡単な言葉で表現してくれており、SaaSの全体観を掴むのに適しています(なお、SaaS全体のおすすめ本はこちらにまとめています)。
ちなみに2021年以降にIPOしたSaaS関連各社の四半期単位の各社については、本サイトをまとめた書籍を執筆しています。(画像クリックでamazonの新しいタブが開きます。)当該期間にIPOした新規上場SaaSの分類として、
- ホリゾンタル・バーティカルSaaS
- エンタープライズとSMBSaaS
などの分類とまた、その他関連SaaS書籍をまとめておきましたので、興味のある方は以下よりご覧ください。なお、リンクのクリックで個社の過去記事をご覧いただくこともできます。