サイバーセキュリティクラウドは世界中の企業に向けたサイバー脅威インテリジェンスサービスを提供。
さて、サイバーセキュリティクラウドという会社はどのようなサービスを提供しているのでしょうか。2020/8/26時点の同社ホームページによれば、サイバーセキュリティクラウドは「世界中の人々が安心安全に使えるサイバー空間の創造」、をコンセプトに、世界中の企業に向けたサイバー驚威インテリジェンスサービスを提供しているとのことです。攻撃遮断くん(図の一番左の黒を基調としたダッシュボードは黒を基調とした感じでかっこいいですね。)
第10期の通期有価証券報告書によれば、サイバーセキュリティクラウドの事業セグメントは単一セグメントですが、そのサービスは
- クラウド型WAF「攻撃遮断くん」
- AWS WAFのルール自動運用サービス「WafCharm
- AWS WAFのManaged Rules
の3つを提供しており、ウェブセキュリテイ関連で持っている知見に基づいたサービスを提供しているようです。
元々はコンサルティング事業を営んでいた「株式会社アミティエ」から出発
2010年の設立当初の事業目的はコンサルティング領域を中心としてたようです。その3年後の2013年にはウェブセキュリティ事業を開始し、同年12月には攻撃遮断くんの提供を開始し、その1年後の2014年には社名を株式会社サイバーセキュリティクラウドに社名を変更しています。以前紹介した手間いらずも最初はアフィリエイト事業が中心だった会社がSaaSの会社への変貌を遂げた会社ではありますが、サイバーセキュリティクラウドも似た感じの変遷を辿ってきた印象を受けます。
サイバーセキュリティクラウド の開示KGI(売上高)推移:2019年12月期末で8.1億円。直近YoY成長率は167%と高い伸び率で増加
まずはサイバーセキュリティクラウドの売上高から見てまいりましょう。直近5年の売上高の推移を見ると、売上高は2015年から2016年にかけてがほぼ横ばいですが、それ以降は高い年で300%を超える成長をしています。同社の沿革によるとサイバーセキュリティクラウドは最初サーバーセキュリティ->ウェブセキュリティ->DDoS攻撃対策というように、サイバー攻撃という観点で対象を広げてサービスを提供しているようですので、これらが急激にのびたタイミングがきたのではないか、と私は推測しています。
直近の推定月額課金比率は89.28%
続いて、月額課金の比率について調べてみましょう。サイバーセキュリティクラウドの売上高構成要素は攻撃遮断くん・WafCharm・Managed Rulesの3つから構成されています。それぞれ、セキュリティのためのツールであり、大まかは以下のことができるようになっています。
- 攻撃遮断くん:Webアプリケーションに対するサイバー攻撃を検知・遮断・可視化する、クラウド型の セキュリティ・サービス
- WafCharm:AWS WAFを利用する顧客に対して、「攻撃遮断くん」で培ったWebアプリケーションに対する攻撃パターンをAIによって学習し、AWS WAFのルールを自動運用するサービス
- Managed Rules:セキュリティ専門のベンダーが独自に作成する厳選されたAWS WAFのセキュリ ティルールセット
サイバーセキュリティクラウドの中心事業が攻撃遮断くんであることは確実なのですが、AWSと密接に関わるWafCharmとManaged Rulesについてはわからなかったので、便宜的に攻撃遮断くんのみが月額課金とみなしています。
次回以降、気になるKPI推移について紹介していきます!サイバーセキュリティクラウドはこれまで取り上げてきたSaaS会社の中でも、コロナによるテレワーク需要増の影響を割と直接めに受けているSaaSであり、(今回の通期決算による分析の範囲では具体的な数字はまだ現れてきませんが)これまでとはまた違う特徴を持っているはずで、とても分析が楽しみです!
最後にSaaSを理解するための本のご紹介と宣伝
SaaSの本質であるリード生成、商談獲得、商談受注までのプロセスを表す一連の流れを指し、Salesforce、Marketoで勤務した経験を持つ福田氏による名著です。基本的なSaaSオペレーションの諸概念について、簡単な言葉で表現してくれており、SaaSの全体観を掴むのに適しています(なお、SaaS全体のおすすめ本はこちらにまとめています)。
ちなみに2021年以降にIPOしたSaaS関連各社の四半期単位の各社については、本サイトをまとめた書籍を執筆しています。(画像クリックでamazonの新しいタブが開きます。)当該期間にIPOした新規上場SaaSの分類として、
- ホリゾンタル・バーティカルSaaS
- エンタープライズとSMBSaaS
などの分類とまた、その他関連SaaS書籍をまとめておきましたので、興味のある方は以下よりご覧ください。なお、リンクのクリックで個社の過去記事をご覧いただくこともできます。