今年もBessemer Venture Partners (BVP、以下ベッセマー)によるクラウドの発表があった。ベッセマーによれば、G.R.I.Tというフレームワーク(以下、ピリオドを省略してGRITと書く)でSaaSを評価できるという。GRITの構成要素は以下の通りだ。
G: Growth (YoYのARR伸び率。50-200%が標準)
R: annual net Retention(ネットの継続率。80-150%が標準)
I: In the bank(銀行にあるキャッシュが何年分ビジネスを維持できるか。1-3年が標準)
T:Targeted spend(効率。新規ARR/使用金額。0.5-1.5倍が標準)
BVPのスライド
それぞれの指標は、パーセントもしくは倍率で表すことができ、G、R、I、Tそれぞれの数値を足し上げて、
3-4 Good
4-5 Better
>6 Best
BVPのスライド
と評価する。
スライドによれば、Twilio、Service TitanはそれぞれGRITスコアが8.1、8.3で、TwilioはRが(つまり、継続率orアップセル率が)、Service TitanはT(投資対売上)が極めて高いとのことだ。
そもそも急成長中のスタートアップだと、採用計画が意欲的だったり、移転などに伴う大きな出費があるので、Iが資金調達の前後で大きくブレたり、広告の投下時期とARRに繋がる時期を切り分けてTを計算するのは煩雑な気はしなくもない。ただ、GとRは、どの程度で伸びているのかとを評価できるので、ある程度の参考になるのかもなと思った。もちろん、最低限投資対売上がどうなっているかを見ないことには片手落ちではあるけど。
最後にSaaSを理解するための本のご紹介と宣伝
SaaSの本質であるリード生成、商談獲得、商談受注までのプロセスを表す一連の流れを指し、Salesforce、Marketoで勤務した経験を持つ福田氏による名著です。基本的なSaaSオペレーションの諸概念について、簡単な言葉で表現してくれており、SaaSの全体観を掴むのに適しています(なお、SaaS全体のおすすめ本はこちらにまとめています)。
ちなみに2021年以降にIPOしたSaaS関連各社の四半期単位の各社については、本サイトをまとめた書籍を執筆しています。(画像クリックでamazonの新しいタブが開きます。)当該期間にIPOした新規上場SaaSの分類として、
- ホリゾンタル・バーティカルSaaS
- エンタープライズとSMBSaaS
などの分類とまた、その他関連SaaS書籍をまとめておきましたので、興味のある方は以下よりご覧ください。なお、リンクのクリックで個社の過去記事をご覧いただくこともできます。