計算KPI:ヴィメオの期末時点計算MRRは23.6億円(MRR = 売上高 / 12ヶ月)
はじめに、ヴィメオのMRRについて述べます。なお、今回は、「計算」MRRとしています。この背景には、ヴィメオはその売上高の内訳(フロー売上、ストック売上など)を詳細には公開していないためです。前回の分析で、ヴィメオの売上の内、リカーリング(月額課金)の割合はほぼ100%であるはず、と紹介しました(これはヴィメオの商品がセルフサーブ型となっており、アカウントを作るだけで利用開始できる特徴を持っているためです)。このため、今回の推定MRRは単純に売上高を12(ヶ月)で割り算して求めることをしています。
ヴィメオのプロダクトは3つの機能カテゴリCreate・管理・成長・から成り立つ
続いて、2021/7/10時点 同社ホームページより抜粋してきたヴィメオの機能概要を紹介します。同社ホームページによれば、同社のプロダクトは3つの機能カテゴリCreate・管理・成長・から成り立つ、それぞれ
・Create:ライブストリーム機能、素材購入など
・管理:ホスティング、動画上のフィードバック機能など
・成長:動画プレイヤーのカラー変更やカスタマイズ、課金導線の用意など
となっています。
同じ動画プラットフォームとして、Google社の提供するyoutubeも競合になっていそうですが、例えば
・動画上のフィードバック機能
・動画プレイヤーのカスタマイズ
・課金導線の用意
などは、企業利用ならではの利用用途という意味でしっかり差別化もできていそうですね。
料金表によればヴィメオの月額費用目安は700〜7,500円
こちらは2021/7/10時点 同社ホームページより抜粋してきたヴィメオの料金表です。こちらによればヴィメオの料金にはPlus、Pro、Business、Premiumと4つのプランがあり、
・大きな違いには配信可能なデータ量による課金
・チームメンバー数
・その他動画関連機能での昨日の違い(Google Analyticsの有無、視聴者チャット)
の違いがあります。これらの基本的な料金体系に加えて、動画サブスクリプションを行ったり、大規模なライブイベントを行いたい、などの場合は別途カスタマイズプランということで料金がさらに上がる仕様となっているようです。
ヴィメオの2020年12月期末時点での無料ユーザー数は約2億、有料ユーザー数は約150万。有料ユーザーの平均単価は約1,900円/月
続いて、ヴィメオのユーザー数、ユーザー数ベースのARPU(Average Revenue Per User:ユーザーあたりの単価)を紹介します。ヴィメオのForm S-1によれば、ヴィメオのユーザー数は
・無料ユーザー数は約2億
・有料ユーザー数は約150万
とのことです。さらにARPUも公開されており、S-1上で223USD/年とのことなので、12で割り算して有料ユーザーの平均単価は約1,900円/月ということがわかります。特徴的なのは、
・エンタープライズユーザーの内約3,800ユーザーは平均単価18万円/月
とのことで、平均単価に100倍以上の開きがあるということです。こちらは、ヴィメオの料金の違いが配信量の違いから成り立っていることから、異常に配信が多い企業が3,800全世界中である、ということですね。例えば、ヴィメオのカスタマイズプランを使えば、理論上はネットフリックスに近いサービスを作ることができるため、すでにコンテンツを保有している会社がヴィメオを活用して動画ストリーミングサービスに参入することも経済条件などが合致すれば可能ということです。
なお、補足としてヴィメオのいう「エンタープライズ」はヴィメオの営業から購入したユーザーとのことです。営業から購入することすなわち手間をかけて顧客獲得することと同義ですので、これら3,800のユーザーは誰もに馴染みのある大企業、ということが推測されます。
ヴィメオの従業員数は2021年7月時点の従業員数は
501-1,000人、最新のYoY伸び率は不明
最後に、ヴィメオの従業員数について述べます。linkedinによれば、2020年7月時点で従業員数は501-1,000人とのことです。ヴィメオはとても大きな成長率を保っており、ここから数年かけてさらに人を採用していくはずなので、今後どのように伸びていくかが楽しみですね。
最後に
昨今の生活から切っても切り離せない動画配信SaaS、ヴィメオについて調べました。今後も企業の動画活用については進むことはあれ止まることはないはずなので、今後の数字がどう変わっていくのかはとても楽しみですね!最後まで読んでいただきありがとうございました。
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SaaSの本質であるリード生成、商談獲得、商談受注までのプロセスを表す一連の流れを指し、Salesforce、Marketoで勤務した経験を持つ福田氏による名著です。基本的なSaaSオペレーションの諸概念について、簡単な言葉で表現してくれており、SaaSの全体観を掴むのに適しています(なお、SaaS全体のおすすめ本はこちらにまとめています)。
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