2020年9月期末時点計算MRRは4.9億円。なお、MRR はソフトウェアサービス売上高を12ヶ月で割り算して計算。
はじめに、フィックスターズのMRRについて述べます。なお、フィックスターズはそのMRR/ARRを数字では公開していません。このため、公開されているソフトウェアサービス売上高を12ヶ月で割り算をして求めています。
価格がホームページで公開されているものについては、GenesisBasic版:10,000円/月:Amplify:有料版は最低10万円〜エンタープライズ版は100万円とまちまち
こちらはフィックスターズのホームページから抜粋したフィックスターズのソフトウェアプロダクトの一覧です。それぞれのプロダクトの個別ページをみると、価格がホームページで公開されているものについては、
GenesisBasic版:10,000円/月:
Amplify:有料版は最低10万円〜エンタープライズ版は100万円
と幅広い価格帯を有しているようです。
Genesis DevEnv
AMPLIFY
主要4社で70%の売上を構成しており、1社当たりの最大売上は18億円。
こちらはフィックスターズの2020/12/17発表の第19期有価証券報告書より抜粋してきた、主要販売実績です。なんと、キオクシア、日立製作所、ネクスティエレクトロニクス、キヤノンの4社だけで売上の70%を締めています。この中で一番売上高が大きいのはキオクシア(旧東芝メモリ)となっており、その売上高は18億円です。4社の中で最も伸び率が大きいのはキヤノンでYoYで約9倍近くの成長率を示しています。以上のことから、フィックスターズの詳細の価格、社数は不明でしたが、「超」大型の契約を抱えている会社である、と言うことがいえそうですね。ただ、ここまで金額が大きいと、どれか一つ案件がなくなっただけで、売上ベースの解約率が30%超える、などの非常に怖い感じではあるので、一長一短と言う感じでしょうか。なお、ネオクシアの全ての売上高が月額課金によるもので、ARRと一致すると仮定すると、ネオクシアだけで単月払っているMRR(ARR/12)で約1.56億円となります。衝撃の金額ですね。
フィックスターズは顧客から預かったコードの高速化・サポートで月額課金
では、フィックスターズはいかにしてサービスを提供しているのでしょうか。こちらは2020/5/14時点 2020年9月期 第2四半期決算補足説明資料より筆者が作成した資料です。こちらによれば、フィックスターズは、顧客からオリジナルソースコードの提供を受け、高速したソースコードを提供し、高速化・サポートの部分で月額課金をしている、ということができそうです。私は詳しくないので知らないですが、この「ソースコード」の部分をハードウェアに合わせて最適化すると言う点にフィックスターズは強みを持っているということなのでしょうね。これらのソースコードは結構会社によって異なる気もするんですが、このソリューション自体はSaaSの形になっている、ということなのでしょうか。この辺りはあまり有価証券報告書・決算説明資料を読んでもわからなかったので、今後各種SaaS関連指標が公開されていくことを楽しみに思います。
2020年9月期の最新従業員数は253人。最新YoY伸び率は118%
最後に、フィックスターズの従業員数について述べます。2020年9月期の最新従業員数は253人で最新YoY伸び率は108%とのことです。2015年9月期末から2016年9月期末にかけて従業員数は昨対を割っていますが、そこから回復してまた増えている傾向にあるようです。
最後に
今回取り上げたフィックスターズは、極めて大きな取引先を数社持っているという特徴を持つ会社です。これまで、エンタープライズ向けのSaaSとSMB向けのSaaSということで、さまざまな価格帯のSaaSを紹介して参りましたが、1.56億円という超巨大売上というのは新鮮だったので驚きました。SaaSって本当に奥が深いですね。最後まで読んでいただきありがとうございました!
最後にSaaSを理解するための本のご紹介と宣伝
SaaSの本質であるリード生成、商談獲得、商談受注までのプロセスを表す一連の流れを指し、Salesforce、Marketoで勤務した経験を持つ福田氏による名著です。基本的なSaaSオペレーションの諸概念について、簡単な言葉で表現してくれており、SaaSの全体観を掴むのに適しています(なお、SaaS全体のおすすめ本はこちらにまとめています)。
ちなみに2021年以降にIPOしたSaaS関連各社の四半期単位の各社については、本サイトをまとめた書籍を執筆しています。(画像クリックでamazonの新しいタブが開きます。)当該期間にIPOした新規上場SaaSの分類として、
- ホリゾンタル・バーティカルSaaS
- エンタープライズとSMBSaaS
などの分類とまた、その他関連SaaS書籍をまとめておきましたので、興味のある方は以下よりご覧ください。なお、リンクのクリックで個社の過去記事をご覧いただくこともできます。