セールスフォースによるスラックの買収が話題に
2020年12月1日、セールスフォースによるスラックの買収が決定したと発表がありました(27.7 billion USDとのことで、1ドル100円換算で2.77兆円、とのことです)。セールスフォースといえば、ティッカーシンボルCRM(Customer Relationship Managementの略称)で、SaaSの始祖とも言える企業であるかと思います。一体どのような業績の会社なのでしょうか。
セールスフォースは顧客を一元管理するCRMプラットフォームを提供。
同社ホームページによれば、セールスフォースは
企業と顧客をつなぐ顧客管理ソリューション。マーケティング、営業、コマース、サービスなどすべての部署で、顧客一人ひとりの情報を一元的に共有できる統合CRMプラットフォームです。
とのことです。こちらはセールスフォースのプロダクトイメージの載っているホームページから抜粋してきた画面ですが、進行中の商談を管理できたり、顧客に対する接触状況や履歴を一覧で管理することができるようですね。言うなれば巨大な顧客データベースということが言えるでしょうか。
1999年2月にオラクルOBにより創業され、2004年6月にNYSEに上場。
続いてセールスフォースの沿革についてご紹介します。セールスフォースのwikipediaによれば、同社はオラクルのOBが1999年2月に設立した企業とのことです。オラクルと言えばデータベースで有名ですが、まさにセールスフォース自身も、クラウドで顧客管理のデータベースを提供しているということが言えますので、ビジネスとプロダクトに精通した人たちによって始められた、と言えるでしょうか。創業年から今年でざっくり20年が経過した企業である、と言える企業ですが、SaaSの歴史もまだ20年くらいだと考えると、かなり若いビジネス業態なんですね。
セールスフォースの開示KGI(売上高)推移は2020年1月期末で1.7兆円。直近YoY成長率は129%
では続いてセールスフォースの連結売上高から見てみましょう。直近6年の売上高推移を見ると、売上高の成長率はYoYで124〜129%の範囲にあり、安定して伸び続けていることがわかります。そして気になる売上高は1.7兆円。前回ご紹介したスラックの2020年1月期末時点の売上高がざっくり600億円であることを考えると、実にその300倍近い違いがある・・・ということですね。
2020年1月期末のストック売上比率はForm10-Kベースでは93.8%
続いて、セールスフォースの売上高の構成比率について見てみましょう。2020/3/12発表のForm 10-Kによれば、セールスフォースのプロダクト別の売上構成において、各プロダクトによる月額課金の比率は多い順番に
・セールスクラウド(Sales Cloud)
・サービスクラウド(Service Cloud)
・セールスフォースプラットフォームとその他(Salesforce Platform and Other)
・マーケティングとコマースクラウド(Marketing and Commerce Cloud)
という形になっており、続いてプロフェッショナル・サービス(フローの売上)が入ってきます。なお、2016年期末と2017年期末時点で、売上セグメントに変更があり、グラフ上も若干異なりますが、概ね
・2016年のマーケティングクラウドが2017年以降のマーケティングとコマースクラウド
・2016年のアップクラウドその他が2017年以降のセールスフォースプラットフォームとその他
に対応しているとみなして差し支えないでしょう。以上の情報を踏まえて、セールスフォースの2019年1月期末の売上に占める月額利用料の割合は93.8%となっており、極めて高い比率が月額課金から構成されているということがわかりました。
それでは次回以降、気になるKPI推移について紹介していきます!セールスフォースはさすがスラックを買収するだけあって、売上規模は桁違いですね。スラックの親会社となるセールスフォースがどのようなプロダクトをどのくらいの単価でて今日しているのか今から分析が楽しみです!最後まで読んでいただきありがとうございました。
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SaaSの本質であるリード生成、商談獲得、商談受注までのプロセスを表す一連の流れを指し、Salesforce、Marketoで勤務した経験を持つ福田氏による名著です。基本的なSaaSオペレーションの諸概念について、簡単な言葉で表現してくれており、SaaSの全体観を掴むのに適しています(なお、SaaS全体のおすすめ本はこちらにまとめています)。
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- ホリゾンタル・バーティカルSaaS
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などの分類とまた、その他関連SaaS書籍をまとめておきましたので、興味のある方は以下よりご覧ください。なお、リンクのクリックで個社の過去記事をご覧いただくこともできます。