- 推定KPI:スラックの推定期末時点MRRは52.5億円
- 参考:スラックの料金体系はフリーミアムに始まり、850円、1,600円、エンタープライズ・グリッドの合計4レンジ。プランによる違いは利用可能機能への機能制限の有無
- 直近期末のスラックの有料利用企業数は11万社、YoY成長率は125%
- 直近期末の売上高1,000万円以上の企業数推移は、2020年1月期末で893社、YoY成長率は155%
- 直近期末の売上高1億円以上の企業数推移は、2020年1月期末で70社、YoY成長率は170%
- スラックの従業員数は2020年11月末の状況で2,045人、最新のYoY伸び率は136%
- 最後に
- 最後にSaaSを理解するための本のご紹介と宣伝
推定KPI:スラックの推定期末時点MRRは52.5億円
はじめに、スラックの推定MRRについて述べます。なお、こちらは
・開示されているスラック売上高 / 12(ヶ月)
の計算によって算出しています(プロフェッショナル・サービスによる売上高は軽微なものとして非開示のため)。なお、こちらは2020年1月期末の情報であることにご注意ください。これだけ見ると、MRRだけで日系SaaSの通期売上を軽く超えており、米国SaaSのすごさを改めて感じます。
参考:スラックの料金体系はフリーミアムに始まり、850円、1,600円、エンタープライズ・グリッドの合計4レンジ。プランによる違いは利用可能機能への機能制限の有無
こちらはスラックのホームページから抜粋した2020年12月13日時点の料金表です。スラックもチャットワークと同様に明確に料金体系が公開されており、フリーミアムに始まり、850円、1,600円、エンタープライズ・グリッドの合計4レンジがあります。それぞれのプランによる違いはメッセージの表示件数制限、インテグレーション(外部連携)、セキュリティ関連機能の開放など、企業のサイズが大きくなるにつれて、セキュリティなどの面で要求が上がる部分で制限を設けているようですね。
直近期末のスラックの有料利用企業数は11万社、YoY成長率は125%
続いて、公開されているスラックの有料利用企業数の推移を紹介します。2020年1月の利用企業数の昨対成長率は125%で、11万社います。さて、これはチャットワークに比べて多いんだっけ?ということが気になるわけなんですが、チャットワークは利用企業数24.6万(有料、無料両方)でざっくり有料会員化率が10数パーセントなので、チャットワークの約3倍くらいの有料企業数があるということが言えそうです。
ご参考までに、既にこのサイトにてご紹介したチャットワークの各種KPIへのリンクを貼っておきますね。
直近期末の売上高1,000万円以上の企業数推移は、2020年1月期末で893社、YoY成長率は155%
続いて、公開されている売上高1,000万円以上(=スラックへの支払いが1,000万円以上)の企業数推移がこちらのグラフです。こちらは有料顧客数の伸びよりも大きな伸び率ですね。
直近期末の売上高1億円以上の企業数推移は、2020年1月期末で70社、YoY成長率は170%
続いて、公開されている売上高1億円以上(=スラックへの支払いが1億円以上)の企業数推移がこちらのグラフです。こちらは有料課金、1,000万円以上の支払い企業数の推移と比べても最も大きく成長しています。ここまでから読み取ることができるのは、大企業への導入が進んでいた、と見なすことができそうですね。
スラックの従業員数は2020年11月末の状況で2,045人、最新のYoY伸び率は136%
最後に、スラックの従業員数について述べます。2020年1月期で従業員数は2,045名とのことです。過去ご所介したサイボウズでも従業員数は800人程度なので、その2倍以上も従業員がいる、ということですね。米国SaaSの規模の大きさに驚かされるばかりです。
最後に
最近セールスフォースによる買収が話題になったスラックについて調べました。チャットワーク、スラックともに無料でプロダクトが使えるプランを用意しながら、有料プランの価格帯はチャットワークが400〜800円というところに対して、スラックは850円〜ということで、スラックの方が明確に高価格、ということがわかりました。今後、セールスフォースが経営に入ってくることで、スラックの影響力はさらに大きくなると言えるでしょう。引き続き、チャットワーク、スラック、セールスフォースの関係がどうなっていくかは、注視して行こうと思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。
最後にSaaSを理解するための本のご紹介と宣伝
SaaSの本質であるリード生成、商談獲得、商談受注までのプロセスを表す一連の流れを指し、Salesforce、Marketoで勤務した経験を持つ福田氏による名著です。基本的なSaaSオペレーションの諸概念について、簡単な言葉で表現してくれており、SaaSの全体観を掴むのに適しています(なお、SaaS全体のおすすめ本はこちらにまとめています)。
ちなみに2021年以降にIPOしたSaaS関連各社の四半期単位の各社については、本サイトをまとめた書籍を執筆しています。(画像クリックでamazonの新しいタブが開きます。)当該期間にIPOした新規上場SaaSの分類として、
- ホリゾンタル・バーティカルSaaS
- エンタープライズとSMBSaaS
などの分類とまた、その他関連SaaS書籍をまとめておきましたので、興味のある方は以下よりご覧ください。なお、リンクのクリックで個社の過去記事をご覧いただくこともできます。