セールスフォースによるスラックの買収が決定
2020年12月1日、セールスフォースによるスラックの買収が決定したと発表がありました。スラックといえば、ビジネスチャットをアメリカ発で提供しており、直近取り上げたチャットワークのアメリカ版という位置付けです。今回、スラックはセールスフォースに買収されますが、事業としては実態としてどのような数字をKGI/KPIで持っていたのでしょうか。今回はそちらについて紹介いたします。
スラックはチャットワークと同じく、ビジネスチャットを提供。
こちらはスラックのプロダクトイメージ図ですが、チャットワークと同じく、ビジネスチャットをできる仕組みをパソコン・スマートフォン横断で提供しているSaaSというのがスラックであるということが言えそうですね。
社内の共有ツールとして出発。2014年に一般公開、2019年6月20日よりNYSEに上場。
続いてスラックの沿革についてご紹介します。スラックのform S-1によれば、同社は元々社内で使う
・会話/意思決定/データ共有/情報共有/他のソフトウェア(筆者注:おそらく他のSaaSプロダクト)への入り口として
開発されたそうです。その後2014年に一般公開され、2019年6月20日よりNYSEにて株式の取引が開始されたそうです。ティッカーシンボルがWORK、というのはなかなかにチャーミングなティッカーですね。
スラックの開示KGI(売上高)推移:2020年1月期末で630億円。直近YoY成長率は157%
では続いてスラックの連結売上高から見てみましょう。直近4年の売上高推移を見ると、売上高の成長率はYoYで157〜210%の範囲にあり、極めて大きな伸びを見せていることがわかります。そして気になる売上高は630億円。国内のSaaS何個分の売上高だよ・・・という大きさですね。
2020年1月期末のストック売上比率はForm10-Kベースでは不明。ほぼ100%近い、と便宜上はみなして良いのではないか
続いて、スラックの売上高の構成比率について見てみましょう。2020/3/12発表のForm 10-Kによれば、スラックもプロフェッショナル・サービスを顧客の要望に応じて提供することはあるようですが、プロフェッショナル・サービスによる売上は大きくないようです。このため、次回以降のKPI分析においては、便宜的にストック売上比率は100%と考えて分析を進めるようにします。
それでは次回以降、気になるKPI推移について紹介していきます!スラックは直近取り上げたチャットワークと同様のビジネスチャットをアメリカから提供しているグローバル企業ですが、売上規模は桁違いですね。一方で、単価だったり、顧客の構成においては、チャットワークと比較して面白い箇所も出てきそうだと思っています。ので、今から分析が楽しみです!
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SaaSの本質であるリード生成、商談獲得、商談受注までのプロセスを表す一連の流れを指し、Salesforce、Marketoで勤務した経験を持つ福田氏による名著です。基本的なSaaSオペレーションの諸概念について、簡単な言葉で表現してくれており、SaaSの全体観を掴むのに適しています(なお、SaaS全体のおすすめ本はこちらにまとめています)。
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- ホリゾンタル・バーティカルSaaS
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