- 弁護士ドットコムのプロダクトセグメントは3つのポータルサイト弁護士ドットコム、税理士ドットコム、ビジネスロイヤーズ、電子署名SaaSのクラウドサイン計4つから成り立つ。
- 2005年7月にオーセンスグループ株式会社として創業後、商号変更を経て2014年12月に東証マザーズに上場
- 弁護士ドットコムの開示KGI(連結売上高)推移:2020年3月期末で41.3億円、直近YoY成長率は132%
- 弁護士ドットコムの開示KGI(クラウドサイン売上高)推移:2020年3月期末で6.4億円、直近YoY成長率は234%
- サービス別構成比率では売上高割合が最も多いのが弁護士マーケティング支援サービス。次いで広告その他のサービス(クラウドサインはこの中)、税理士マーケティングサービスの順番。
- 直近の推定ストック売上比率は15.4%
- 最後にSaaSを理解するための本のご紹介と宣伝
弁護士ドットコムのプロダクトセグメントは3つのポータルサイト弁護士ドットコム、税理士ドットコム、ビジネスロイヤーズ、電子署名SaaSのクラウドサイン計4つから成り立つ。
はじめに弁護士ドットコムの各プロダクトについてご紹介します。こちらは弁護士ドットコムの抱えているプロダクトの一覧です。弁護士ドットコムはインターネットメディア事業の単一事業セグメントで各種情報の開示を行っていますが、売上高については、4つのプロダクト分類でセグメントにて開示を行っています。具体的には、
・弁護士マーケティング支援サービス
・有料会員サービス
・税理士マーケティングサービス
・広告その他サービス
の4つです。
2005年7月にオーセンスグループ株式会社として創業後、商号変更を経て2014年12月に東証マザーズに上場
続いて弁護士ドットコムの沿革についてご紹介します。弁護士ドットコムの沿革によれば、同社は2005年にオーセンスグループ株式会社という名称で設立されています。
設立の翌年には法律相談サイトの弁護士ドットコムを運用開始し、その後税理士ドットコムのリリース、2014年の東証マザーズへの上場を経て、上場後の翌2015年にはクラウドサインをリリースしました。その翌年の2016年には企業法務向けポータルサイトのビジネスロイヤーズを提供しています。弁護士、税理士などの「専門家」という軸で切り取って、提供サービスの幅を広げてきた感じでしょうか。特徴として、クラウドサインがまだリリースされてから2020年で4年しか立っていないあたりに個人的には驚きました。
弁護士ドットコムの開示KGI(連結売上高)推移:2020年3月期末で41.3億円、直近YoY成長率は132%
では続いて弁護士ドットコムの連結売上高から見てみましょう。直近10年の連結売上高の推移を見ると、売上高の成長率はYoYで132%を超えており、上場後も高い成長率を示していることがわかります。一方で、こちらはすべてのサービスを含めた売上高ですので、クラウドサイン単体に絞ったのが次のグラフです。
弁護士ドットコムの開示KGI(クラウドサイン売上高)推移:2020年3月期末で6.4億円、直近YoY成長率は234%
では続いて弁護士ドットコムの連結売上高から見てみましょう。直近3年の連結売上高の推移を見ると、売上高の成長率はYoYで234%を超えており、かなり大きな伸びを見せていることがわかります。なお先出しですが直近の決算説明資料では、既に明らかにクラウドサインの比率が増えているので、コロナによりリモート勤務が促進された影響もありここはさらに今後伸びていきそうですね。
サービス別構成比率では売上高割合が最も多いのが弁護士マーケティング支援サービス。次いで広告その他のサービス(クラウドサインはこの中)、税理士マーケティングサービスの順番。
続いて、弁護士ドットコムの売上高を構成するサービスの構成比率について見てみましょう。2020年6月29日に発表された第8期の決算説明資料によれば、弁護士ドットコムの構成比率は2020年3月期末で売上高の多い順に
・弁護士マーケティング支援サービス
・広告その他サービス(クラウドサインを含む)
・税理士マーケティングサービス
・有料会員サービス
の順番になっています。ただ、有価証券報告書ベースでは、クラウドサインは広告その他のサービスの中に含まれていることはわかる一方で、詳しいストック売上高比率は不明でした。そこで、今回も開示資料から(四半期末時点のクラウドサイン売上を全体の売上高で割る方法を用い)なるべく合理的な推定を試みます。
直近の推定ストック売上比率は15.4%
推定のストック売上(月額課金)の比率について見てみましょう。弁護士ドットコムは、各四半期のクラウドサイン売上を公開しています。クラウドサイン導入に際して、ほとんど初期費用がかからないと仮定すると、直近のストック売上比率は15.4%となります。これは、これまでこのサイトでご紹介してきたSaaS企業と比べるとかなり低い比率ですが、YoYの成長率はすごい勢いでクラウドサインが伸ばしているため、いずれ弁護士ドットコムはクラウドサインが売上の比率でほとんどを占める会社になるのではないでしょうか。そうなると、もう、弁護士ドットコムという名前を辞めて、クラウドサインに会社名を変更する日がくるかもしれないですね。
次回以降、気になる各種KPI推移について紹介していきます!弁護士ドットコムは最初はメディア事業として始まり、その後に急激にSaaSプロダクトを伸ばしていて、とても面白い会社だと思います(過去紹介している中だと、手間いらずとか近そうですね)。どのようにクラウドサインが推移しているのかを分析していくことが非常に楽しみです!最後までお読みいただきありがとうございました。
最後にSaaSを理解するための本のご紹介と宣伝
SaaSの本質であるリード生成、商談獲得、商談受注までのプロセスを表す一連の流れを指し、Salesforce、Marketoで勤務した経験を持つ福田氏による名著です。基本的なSaaSオペレーションの諸概念について、簡単な言葉で表現してくれており、SaaSの全体観を掴むのに適しています(なお、SaaS全体のおすすめ本はこちらにまとめています)。
ちなみに2021年以降にIPOしたSaaS関連各社の四半期単位の各社については、本サイトをまとめた書籍を執筆しています。(画像クリックでamazonの新しいタブが開きます。)当該期間にIPOした新規上場SaaSの分類として、
- ホリゾンタル・バーティカルSaaS
- エンタープライズとSMBSaaS
などの分類とまた、その他関連SaaS書籍をまとめておきましたので、興味のある方は以下よりご覧ください。なお、リンクのクリックで個社の過去記事をご覧いただくこともできます。