開示KPI:ブイキューブの推定期末時点ストック比率は2018年から2019年にかけて60%超えの水準まで増加!
はじめにブイキューブの期末時点ストック(月額課金)比率を見てみましょう。ブイキューブの推定ストック比率は直近は60%を超える水準まで増加しています。
なお、第20期の通期有価証券報告書ベースで、ブイキューブの事業セグメントは
- ビジュアルコミュニケーション事業
- ラーニングマネジメントシステム事業
- アプライアンス事業
の3つから構成されています。
それぞれ
- web会議サービスV-VUBEのクラウド型、オンプレミス型の提供
- 学習管理システムASKnLearn(ASEANの学校・企業向け)
- テレビ会議システムに関連するハードウェア(Webカメラ、ヘッドセットなど)
を提供しており、セグメント別に提供しているサービスを見る限り、
- 海外
- ソフトウェアだけでなくハードウェアも
提供しており、ウェブ会議の関連事業で幅広いサービスを提供しています。ブイキューブについては、明確にストック比率を開示していないので、ここでは性質的にビジュアルコミュニケーション事業の売上が最もストック売上に近いものとみなして以降の調査を進めていきます。なお、決算説明資料にセグメント変更前のクラウド比率の記載がありましたが、そちらではざっくり60%近い数字でしたので、それなりに数字は妥当なはずだと考えています。
推定KPI:ブイキューブの期末時点推定MRRは2019年12月期末時点で3.39億円超え
次に、ブイキューブの推定MRRについて述べます。なお、こちらは
- ビジュアルコミュニケーション事業売上 / 12(ヶ月)
により算出しています。
開示KPI:ブイキューブの2019年12月期末の請求社数は1,215件
次はブイキューブの請求社数をみてみましょう(厳密には社数=契約数でないこともありますが、これが実質の契約件数であるとみなして大きな違いは無いでしょう)。ブイキューブの場合、契約件数はほぼ横ばいで1200件付近を推移しています。こちらはあくまで2019年12月末時点の情報であり、前提としてコロナの影響でもっと契約件数は伸びていることが推測できます(なお、FY2020の第二四半期決算説明資料によれば、2Q末で1,393件まで増えていました)。
推定KPI:ブイキューブの2019年12月時点ARPAは約13.6万円
続いて、ブイキューブのARPAについてわかったことを述べます。FY2019通期の決算説明会資料によれば、ブイキューブのARPAは、約13.6万円で、期末時点のARPAは13.6万円だとのことです。この調査をしている2020年8月23日時点で同社のホームページには特に価格の表示はありませんでしたが、こちらは1会議あたりいくら、という単価設定になっている可能性があります。
参考までに、Googleで2020年8月23日に検索した際に「ブイキューブ 料金」で検索した結果ででてきたPGiのホームページに乗っていた料金を載せておきます。これを見る限り、ARPAが13万円ということはざっくりと10アカウントくらいを1社が使っているということなんでしょうかね。最低契約が10ポート、ということである程度のポート数を確保しつつ、ポートが増える契約の場合にも柔軟に対応できる料金体系であることがわかります。
開示KPI:ブイキューブの2019年12月時点解約率は10.7%
最後に、ブイキューブの解約率について述べます。FY2019通期の決算説明会資料によれば、ブイキューブの解約率は10.7%とのことです。SaaSにおいては、解約率が1%に抑えられると良いと言われることが多いので、下がっているとはいえ、若干解約率は高めですね。
ブイキューブの従業員数はほぼ400人、最新のYoY伸び率は88%
最後に、ブイキューブの従業員数についてです。2019年12月期で従業員数は402名でした。サービス、の部分にも力を入れている同社なので、これまで紹介してきたSaaSの中では比較的従業員が多いということでしょうかね。人数が減っているのは、株式売却により、子会社を連結の対象としなくなったことなどが効いていそうです。
最後に
ビデオ会議支援SaaSを提供するブイキューブについてご紹介しました。見ていただいた通り、SaaSとしては解約率がやや高い水準にありながらも、独自の戦略をとっているところがとても印象に残る会社でした。コロナによる影響で今後も契約社数が増えていくはずなので、引き続き契約社数推移がどう推移していくか、次の通期決算が非常に楽しみなSaaSです。SaaSって、本当にいいものですね!最後まで読んでいただきありがとうございました。
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SaaSの本質であるリード生成、商談獲得、商談受注までのプロセスを表す一連の流れを指し、Salesforce、Marketoで勤務した経験を持つ福田氏による名著です。基本的なSaaSオペレーションの諸概念について、簡単な言葉で表現してくれており、SaaSの全体観を掴むのに適しています(なお、SaaS全体のおすすめ本はこちらにまとめています)。
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- ホリゾンタル・バーティカルSaaS
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