さて、本日は2018年実績で売上が1000億円を超えた米国のSaaS企業、
- Salesforce、Adobe、Palo Alto Networks、Workday、Fortinet、Dropbox、Splunk、LogMein、Tableau
の売上高推移とその売上高成長率の三年移動平均を紹介する。
TL;DR:
- Salesforce/Adobeが二強
- Salesforceは2015年にAdobe超え
- 急激に拡大した後も高い成長率を維持し、2018年時点の三年移動平均は120-160%
Salesforce/Adobeが二強
はじめに売上高の年次推移を。
厳密にはMicrosoftとかもクラウド版Officeだったりを提供しているので入れたいところではあるが、Microsoftは売上をサブスク/プロフェッショナルサービスで公開していないので対象外とした。なお、1ドル100円換算で計算している。
また、Mircrosoftと同じくソフトウェアだけでなくオンプレサーバーの月額保守/ソフトウェアに軸足を置いているIBMやOracle、SAPは除外している。
Salesforceが1兆円、Adobeが9000億円と、2500億円以下に分布している他のSaaSに比べて大きく売上を突き放している。もちろん、これは扱っているソフトウェアの種類によって単価だったり、TAMも異なる。あくまで売上という統一指標における比較だ。
Salesforceは2015年にAdobe超え
しかし、Salesforceの伸びが著しい。
グラフ内に入っているTableauを2019年8月に買収したのも記憶に新しい。
なんと2015にはAdobeを抜き去っている。
急激に拡大した後も高い成長率を維持し、2018年時点の三年移動平均は120-160%
次に、三年移動平均で見た成長率を。(グラフは単年の成長率だと増減が激しいので、三年を合算して移動平均を出している)
グラフより、
- 売上推移の最初の方は成長率が200%-300%付近を推移
- 年数が経過するにつれて徐々に減衰する
特徴があることがわかる。前者は「とにかく早く認知を得て拡大する」という近年のSaaSの企業成長トレンドともかぶるところがあるし、T2D3(売上を最初の2年は3倍成長、後半の3年は2倍で成長)などと言われるところとも共通項があるだろう。それにしてもFY2018時点で成長率が低くても120%とか、、、SalesforceもAdobeも出来てからもう20年、あるいはそれ以上経っているのにすごいなという感じである。
最後に
intuitについて言及し忘れたけど、それはまたの機会で。
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SaaSの本質であるリード生成、商談獲得、商談受注までのプロセスを表す一連の流れを指し、Salesforce、Marketoで勤務した経験を持つ福田氏による名著です。基本的なSaaSオペレーションの諸概念について、簡単な言葉で表現してくれており、SaaSの全体観を掴むのに適しています(なお、SaaS全体のおすすめ本はこちらにまとめています)。
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- ホリゾンタル・バーティカルSaaS
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などの分類とまた、その他関連SaaS書籍をまとめておきましたので、興味のある方は以下よりご覧ください。なお、リンクのクリックで個社の過去記事をご覧いただくこともできます。