ズームインフォはB2B顧客向けに最新の情報でコンタクトリストが生成できるSaaSを提供。

2021年2月12日時点の同社ホームページによれば、ズームインフォはB2B顧客向けに最新の情報でコンタクト(=顧客情報)リストが生成できるSaaSを提供する会社です。企業の保有する顧客情報は組織内部の異動により役職や部門の変更が頻繁に起こるため、追随して情報を最新状態に保つのはとても大変です。このメンテナンス・最新化をするためのSaaSがズームインフォ、と言うことが言えそうですね。
ズームインフォは主要CRMのほとんどとの連携を網羅。

2021年2月12日時点の同社ホームページによれば、ズームインフォはHubSpot、オラクルのエロクア、マルケト、セールスフォース、マイクロソフトのマイクロソフト365などの主要CRMとの連携が可能です。前提として、CRMと連携することでCRMに入っている顧客情報を最新化することができ、利用企業にとっても本業の受注活動に集中できるメリットがさらに高まりそうですね。
ズームインフォは合法なのか?

さて、ズームインフォの各種情報を調べていたところ、ズームインフォ内のFAQにて「Is ZoomInfo Legal?(ズームインフォは合法か?)」というページに行きつきました。違法、という観点が上がる理由に、顧客の情報を収集しているので、これが個人情報の収集に該当しないか、ということが論点のようですね。こちらのページによれば、ズームインフォは仕事に関係する情報(仕事用メールアドレス、役職)を集めており合法であるとの見解とのことです。確かに、仕事用メールアドレスが「個人」情報なのか、と言うことは影響しそうですが、プロダクトの着眼点がとても面白いプロダクトですね。日本国内でも今後似たようなことを行う会社が出てくるのではないか、と思いますが楽しみです(なお、2021年2月12日時点でまだ日本版のホームページはないようです)。
2007年DiscoverOrgとして創業後、2019年ZoomInfoとしてリブランディング、2020年6月にNasdaq市場に上場。

続いてズームインフォの沿革についてご紹介します。ズームインフォのwikipediaによれば、同社は元々DiscoverOrgという会社名で創業した後、2019年に競合のZoom Informationを買収し、ZoomInfoとしてリブランディングした後の2020年6月Nasdaqに上場を果たしています。DiscoverOrgがどのようなサイトなのか調べたところ、まだサイトが残っており、資料請求もまだできるようでした(プロダクトはDiscoverOrgで、運営会社はZoomInfoになっていました)。顧客をその役職別に検索することができる特徴があり、元々DiscoverOrgとZoomInformationは競合関係にあったようなので、類似業態がくっついたということなのでしょうね。DiscoverOrgの方が大きかったのであれば、DiscoverOrgの名前を使い続けることもできたのではないか、と思いましたが、Zoom Informationを想起させるZoomInfoになったのはよりブランドとして信頼できそうな感じがあったのかは謎です。
ズームインフォの最新開示KGI(売上高)は2019年12月期末で293億円。直近YoY成長率は203%

では続いてズームインフォの売上高から見てみましょう。直近2年の売上高を見ると、その売上高成長率は2018年12月から2019年12月のYoYで203%の極めて高い水準にあります。ズームインフォは、そのプロダクト性質上、CRMサービスとの相性が極めて良い製品なはずですが、CRMを導入している企業の中で導入が大きく進んでいる、と言うことでしょうか。(参考までに、以前このサイトでもご紹介したCRMサービスを展開するセールスフォースの売上高成長率は約130%のため、ズームインフォは一気に導入が進んでいるフェーズにある、と考えるられます。)
ズームインフォのストック売上の比率はほぼ100%(詳細は非開示)

続いて、ズームインフォの売上高の構成比率について見てみましょう。FY20Q3のFinancial Resultsによればズームインフォのストック売上比率の詳細は99%とのことです。先ほど紹介した連携先については、利用顧客が繋ぎ込みを行い、ズームインフォで何か具体的な作業を行う、形式ではなさそうですね。
さて、次回は全世界に向けて展開するズームインフォの顧客特徴はどうなっているのか、分析していきます。非常に楽しみです!最後まで読んでいただきありがとうございました。
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SaaSの本質であるリード生成、商談獲得、商談受注までのプロセスを表す一連の流れを指し、Salesforce、Marketoで勤務した経験を持つ福田氏による名著です。基本的なSaaSオペレーションの諸概念について、簡単な言葉で表現してくれており、SaaSの全体観を掴むのに適しています(なお、SaaS全体のおすすめ本はこちらにまとめています)。
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