計算KPI:ワカルの期末時点MRRは0.40億円
はじめに、ワカルのMRRについて述べます。なお、今回は、「計算」MRRとしています。この背景には、ワカルはそのSaaSプロダクトであるAIアナリスト関連の売上高を詳細には公開していないためです。前回の分析で、売上の内、リカーリング(月額課金)の割合は9割ということを紹介しましたので。0.9掛けくらいで、直近2020年2月の数値は0.36〜0.40億円がそのMRRとみておけばほぼ近い金額なのではないかと私は推測してます。
直近期末のAIアナリスト登録サイト数の累計は31,480サイト。最新YoY伸び率は116.3%
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・AIアナリスト登録サイト数(有料、無料両方を含む)
について公開されているKPIを紹介します。2021/1/15発表の新規上場申請のための有価証券報告書によれば、直近期末のAIアナリスト登録サイト数は31,480サイト、最新YoY伸び率は116.3%とのことです。なお、有料版と無料版を含んだ値ですので、ご注意ください。
2020年2月期末時点のAIアナリストのLTVは248万円。直近YoY成長率は129.2%
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・ワカルのLTV(顧客毎の生涯顧客価値)
について公開されている情報を紹介します。
ワカルはその顧客の生涯顧客価値として、LTVを公開しています。なお、本サイトは通常であれば、LTVではなく、ARPA、ARPUを求めていくのが通常なのですが、顧客数、平均契約期間、解約率などの情報が公開されていないため、こちらについては不明でした。ただ、推測にはなりますが、Google Analyticsとの連携を前提としたサイト、ということでおそらく数千円〜数万円のレンジにARPAはあるのではないかと考えます。Iの部には特に細かい情報はありませんでしたが、今後SaaSとして評価をされていく上では、多かれ少なかれこれらの数字を公開していく必要性には迫られるはずなので、今後の決算発表資料が楽しみです。
2020年2月期の最新従業員数は47人。最新YoY伸び率は121%
最後に、ワカルの従業員数について述べます。ワカルの2019年12月期の最新従業員数は47人で、最新YoY伸び率は121%とのことです。グラフを見ると、2018年2月期末から2019年2月期末にかけて、従業員数のYoYベースの伸び率が100%を割っている箇所があります。これまで取り上げていた会社は基本的に100%を超えているところがほとんどだったので、この時期に従業員数の減少があった、ということは何らかの大きな方針転換があったのかもしれないですね。
最後に
今回取り上げたワカルは、企業のサイト改善に特化したSaaSをGoogle Analyticsと連携することで提供している会社であり、とてもユニークな会社でした。コロナにより、実店舗からEC利用への流れがさらに加速する中で、どのように伸びていくかが、とても楽しみです。最後まで読んでいただきありがとうございました!
最後にSaaSを理解するための本のご紹介と宣伝
SaaSの本質であるリード生成、商談獲得、商談受注までのプロセスを表す一連の流れを指し、Salesforce、Marketoで勤務した経験を持つ福田氏による名著です。基本的なSaaSオペレーションの諸概念について、簡単な言葉で表現してくれており、SaaSの全体観を掴むのに適しています(なお、SaaS全体のおすすめ本はこちらにまとめています)。
ちなみに2021年以降にIPOしたSaaS関連各社の四半期単位の各社については、本サイトをまとめた書籍を執筆しています。(画像クリックでamazonの新しいタブが開きます。)当該期間にIPOした新規上場SaaSの分類として、
- ホリゾンタル・バーティカルSaaS
- エンタープライズとSMBSaaS
などの分類とまた、その他関連SaaS書籍をまとめておきましたので、興味のある方は以下よりご覧ください。なお、リンクのクリックで個社の過去記事をご覧いただくこともできます。