計算KPI:リンクアンドモチベーションの推定期末時点MRRは0.54億円
はじめに、リンクアンドモチベーションのMRRについて述べます。なお、今回は、「計算」MRRとしています。この背景には、リンクアンドモチベーションはそのSaaSプロダクトであるモチベーションクラウドの売上高を決算説明会資料の中で公開しており、これらを合計することにによってSaaSプロダクト経由の通期売上がわかるためです。通期売上がわかれば、期初と期末でMRRが伸び続ける前提ではありますが、ならしたMRRは通期売上を12(ヶ月)で割り算すれば求められますね。特徴として、2017年期末から2018年期末にかけて2倍近くの伸びを見せており、2018年から2019年にかけて若干成長率は鈍化しているものの、125%と高い成長率を見せています。
また、前回、リンクアンドモチベーションのストック売上比率は最大でも36.4%と申しましたが、もう少し精度高く、約5%、ということが言えそうです。
リンクアンドモチベーションのモチベーションクラウド売上は2018年期末に1億円を突破
こちらは、2019/2/14発表 2018年12月期決算説明会資料より抜粋したモチベーションクラウドの売上高推移です(なお、期末時点MRR推移については、こちらの金額をx4しております)。リンクアンドモチベーションは約400億円のため、全体に占める売上高はそこまで大きくありませんが、それでも1億円を超えてくるのはすごいことですね。参考までに、当サイト内で消化している、「SaaSを主要プロダクトとしている日経上場会社の一覧とそのMRRの大きさ」を紹介した記事へのリンクを貼っておきます。
日経上場SaaS企業の一覧とMRR・ARR2020年1Q期末でモチベーションクラウドの売上は2億円を突破
こちらは、2020/11/12発表 2020年12月第3四半期期決算説明会資料より2抜粋したモチベーションクラウドの売上高推移です。2020年1Q期末でモチベーションクラウドの売上は2億円を突破しています。一点気になるのが、2020年1Q末から2Q末にかけて、新規の獲得が解約を上回っている限り下がるはずのない月会費売上が下がっているところは気になるところですね。同時期の決算説明会資料によれば、一時的な休会が出ているとのことです。結構な金額インパクトな感じもしますが、休会であれば今後再開はまだある、と言うことなのでしょうか。
参考:モチベーションクラウドの料金体系は初期費用・掲載費用は要問い合わせ
続いて、モチベーションクラウドの料金体系について、公開されているものをご紹介します。2021/1/17時点の同社ホームページより情報によれば、モチベーションクラウドの料金体系は初期費用・掲載費用は要問い合わせとのことです。従業員数により、この辺りは変動を受ける料金体系になっている可能性がありますね。部門情報や階層構造、参照できる情報の範囲など、取り込む情報などのセットアップが企業の規模によって異なるのかもしれないですね。
直近期末のモチベーションクラウドの納品数は783件。最新YoY伸び率は118.3%
続いて、
・モチベーションクラウドの納品数
について公開されてるKPIを紹介します。なお、リンクアンドモチベーションによれば、納品数、と言うのはサービスを「提供開始している件数」とのことで、顧客数と読み替えても差し支えないと思います。
リンクアンドモチベーションによる公開情報によれば、直近期末の2019年12月期末時点で、
・モチベーションクラウドの納品数は783件
・最新YoY伸び率は118.3%
となっています。2017年12月期末から2018年12月期末にかけて、著しい成長率を見せていましたが、若干成長率は下がってきているようですね。
なお、以下に参考情報として、2016年12月期末決算説明会でのモチベーションクラウドの導入数の推移に関する予定を記載した資料をご紹介します。SaaSは伸び続けていく構造にあるモデルですが、爆発的に増えるのが如何に難しいかが想像できる資料ですね。
直近期末のモチベーションクラウドARPAは24.6万円。直近期末のARPAYoY成長率は124.9%
続いて公開されているモチベーションクラウドのARPA推移(顧客単価)の推移を紹介します。公開情報によれば、
・直近期末のモチベーションクラウドARPAは24.6万円
・直近期末のARPAYoY成長率は124.9%
とのことです。導入社数に比べると順調に単価を増やせている、と言うことが分かりますね。また、金額単価が大きい、と言うことはより企業サイズの大きな企業への導入が進んだのではないか、と推測することができます。
2019年12月期の最新従業員数は1,301人。最新YoY伸び率は101%
最後に、リンクアンドモチベーションの従業員数について述べます。こちらはモチベーションクラウド事業単体ではございませんので、ご注意ください。2019年12月期の最新従業員数は1,301人で、最新YoY伸び率は101%とのことです。従業員が1,000人を超えているため、もしも今後モチベーションクラウドに注力していく場合は、人員を内部にて差配することもできそうですね。
最後に
今回取り上げたリンクアンドモチベーションは、直前に取り上げたメドレーと似た部分で、元々SaaSをやっていなかった企業がSaaS事業を成長させているパターンの企業でした。まだ、SaaS事業の占める売上への割合は小さいですが、コロナによるリモートワークの推進により、従業員のモチベーション管理も今後さらに重要になっていくことだろうと思います。今後の決算でさらにSaaS関連の指標が公開されていくことをとても楽しみに私は思いました。最後まで読んでいただきありがとうございました!
最後にSaaSを理解するための本のご紹介と宣伝
SaaSの本質であるリード生成、商談獲得、商談受注までのプロセスを表す一連の流れを指し、Salesforce、Marketoで勤務した経験を持つ福田氏による名著です。基本的なSaaSオペレーションの諸概念について、簡単な言葉で表現してくれており、SaaSの全体観を掴むのに適しています(なお、SaaS全体のおすすめ本はこちらにまとめています)。
ちなみに2021年以降にIPOしたSaaS関連各社の四半期単位の各社については、本サイトをまとめた書籍を執筆しています。(画像クリックでamazonの新しいタブが開きます。)当該期間にIPOした新規上場SaaSの分類として、
- ホリゾンタル・バーティカルSaaS
- エンタープライズとSMBSaaS
などの分類とまた、その他関連SaaS書籍をまとめておきましたので、興味のある方は以下よりご覧ください。なお、リンクのクリックで個社の過去記事をご覧いただくこともできます。