- リンクアンドモチベーションは組織開発Div・個人開発Div・マッチングDivの3セグメントから構成される
- モチベーションエンジニアリングは“人間は限定合理的な「感情人」である。”前提に立ち、組織診断・個人診断を中心とした診断技術と解決する方法論のこと。
- リンクアンドモチベーションにて、モチベーションクラウドは組織開発Divに包含される。
- モチベーションクラウドにより、企業はエンゲージメントスコアによる他社比較、部門ごと、階層ごとに数値を比較し属性比較、半年前の数値と今年の数値を比較経年比較が可能になる
- 2000年3月リンクアンドモチベーション株式会社設立後、2007年12月東証第二部に上場し、2008年12月東証第一部に上場。
- リンクアンドモチベーションの売上高は2019年12月期末で382億円、直近YoY成長率は96%
- 2019年12月期末でストック比率は最大36.4%
- 最後にSaaSを理解するための本のご紹介と宣伝
リンクアンドモチベーションは組織開発Div・個人開発Div・マッチングDivの3セグメントから構成される
はじめにリンクアンドモチベーションの事業についてご紹介します。同社の決算説明会スライドによれば、リンクアンドモチベーションは組織開発Div・個人開発Div・マッチングDivの3セグメントから構成されるており、
それぞれ、
・組織開発Div:リンクアンドモチベーショングループの基幹技術、「モチベーションエンジニアリング」を活用し、法人顧客を対象に、企業を取り巻くステークホルダー(従業員・応募者・顧客・株主)との関係構築と強化を支援するサービスを提供
・個人開発Div:「モチベーションエンジニアリング」をキャリアスクール・学習塾のビジネスに適用し、個人顧客向けのサービスを展開
・マッチングDiv:ALT配置事業、人材紹介・派遣事業の2つより構成される。前者は求人募集を行っている事業へ紹介・派遣を行う。後者は「モチベーションエンジニアリング」経営の実戦の場として、個人顧客を対象としたレストランの経営を実施
しているのがディビジョン別の大まかな事業概要です。
モチベーションエンジニアリングは“人間は限定合理的な「感情人」である。”前提に立ち、組織診断・個人診断を中心とした診断技術と解決する方法論のこと。
続いて、同社の事業説明でも複数回出現するモチベーションエンジニアリングについて述べます。同社のモチベーションエンジニアリング説明ページによれば、モチベーションエンジニアリングは、
“人間は限定合理的な「感情人」である。”
前提に立ち、
組織診断・個人診断を中心とした診断技術と解決する方法論
のことのようです。これは、組織で働く人を中心に考えた場合に、人は単に金銭的な報酬では動かず、その情緒的な特性を数値に落とし込んで、組織をより良い方向に持っていくことを再現性を持たせて行う、ということなのかなと私は解釈しました。私自身はモチベーションエンジニアリングされたプロダクトを触ったことがないので、想像はつきませんが、企業で最近行われているストレスチェックのような設問を定点観測していくことで、組織・個人の状態を可能な限り共通指標となる数字で比較して、より良い状態に持っていくことのようです。リンクアンドモチベーションの主要事業であるコンサルティングで課題解決支援し、実際にそのためのSaaSプロダクト(モチベーションクラウド)を持っている会社だということが言えるでしょう。売上やMRR、解約率などと全く別の「モチベーション」に切り込む切り口がとても面白い会社だな、と私は思いました。
リンクアンドモチベーションにて、モチベーションクラウドは組織開発Divに包含される。
続いて、同社の決算説明会スライドより、同社の各ディビジョンで重要視されているKPIについてご紹介します。同社決算スライドによれば、
・組織開発Div:サブスクリプションモデルであるモチベーションクラウドシリーズ月会費売上、コンサル・アウトソースモデルである顧客粗利単価
・個人開発Div:受講者数、生涯単価(Life Time Value)
・マッチングDiv:稼働人数、紹介人数
となっています。サブスクリプションモデルであるモチベーションクラウドシリーズは組織開発Divに内包されるんですね。
モチベーションクラウドにより、企業はエンゲージメントスコアによる他社比較、部門ごと、階層ごとに数値を比較し属性比較、半年前の数値と今年の数値を比較経年比較が可能になる
続いて、リンクアンドモチベーションのSaaSプロダクトであるモチベーションクラウドのプロダクトを紹介します。同社のホームページによれば、モチベーションクラウドの特徴として、
(1)エンゲージメントスコアによる他社比較
(2)部門ごと、階層ごとに数値を比較し属性比較
(3)半年前の数値と今年の数値を比較経年比較
が可能になるとのことです。
2000年3月リンクアンドモチベーション株式会社設立後、2007年12月東証第二部に上場し、2008年12月東証第一部に上場。
続いてリンクアンドモチベーションの沿革についてご紹介します。リンクアンドモチベーションの沿革によれば、同社は2000年3月リンクアンドモチベーション株式会社設立後、2007年12月東証第二部に上場し、2008年12月東証第一部に上場しているとのことです。沿革の中にモチベーションクラウドに関する言及がないのが意外ですが、2016年7月に同社の出しているプレスリリースがありますので、モチベーションクラウドはリリースから約4年近いプロダクトである、ということが言えそうですね。
リンクアンドモチベーションの売上高は2019年12月期末で382億円、直近YoY成長率は96%
では続いてリンクアンドモチベーションの売上高から見てみましょう。直近4年の売上高推移を見ると、売上高の成長率はYoYで96〜111%の範囲にあります。他のSaaS企業と比較すると、やや売上高成長率が低くも見えますが、売上高の金額が大きいのと、SaaS一本で事業を行っている会社ではないことが要因にありそうですね。
2019年12月期末でストック比率は最大36.4%
続いて、リンクアンドモチベーションの売上高の構成比率について見てみましょう。2020/3/20発表の有価証券報告書によれば、リンクアンドモチベーションのストック比率は最大でも、モチベーションクラウドを含む組織開発ディビジョンの売上高比率と同等となり、最大で36.4%ということになりそうです。なお、組織開発ディビジョンは、コンサルティングによる売上も入っていますので、実際のストック売上比率はもっと小さいものになりそうですね。
それでは次回以降、気になるKPI推移について紹介していきます!リンクアンドモチベーションはメドレーと似て、もともとSaaS以外のところから事業を起こし、その後得られた知見を活用してSaaSプロダクト化、という点が特徴的な会社です。どのようなKPIになっているのか、分析が非常に楽しみです!最後まで読んでいただきありがとうございました。
最後にSaaSを理解するための本のご紹介と宣伝
SaaSの本質であるリード生成、商談獲得、商談受注までのプロセスを表す一連の流れを指し、Salesforce、Marketoで勤務した経験を持つ福田氏による名著です。基本的なSaaSオペレーションの諸概念について、簡単な言葉で表現してくれており、SaaSの全体観を掴むのに適しています(なお、SaaS全体のおすすめ本はこちらにまとめています)。
ちなみに2021年以降にIPOしたSaaS関連各社の四半期単位の各社については、本サイトをまとめた書籍を執筆しています。(画像クリックでamazonの新しいタブが開きます。)当該期間にIPOした新規上場SaaSの分類として、
- ホリゾンタル・バーティカルSaaS
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などの分類とまた、その他関連SaaS書籍をまとめておきましたので、興味のある方は以下よりご覧ください。なお、リンクのクリックで個社の過去記事をご覧いただくこともできます。