- 計算KPI:メドレーの推定期末時点MRRは0.45億円
- 参考:人材紹介事業メドレーの初期費用・掲載費用は0円から可能で、採用決定時価格は4万円〜。
- 参考:ジョブメドレーの成果報酬比率は2〜13%、一般的な人材紹介会社の1/10〜1/3程度の水準。
- 参考:ジョブメドレーには医科・歯科・介護・保育・リハビリ/代替医療・ヘルスケア/美容に関連する求人・転職・就職・アルバイト募集情報が掲載されています。
- 参考:CLINICS(クラウド診療支援システム)は初期費用は要問い合わせ、基本料金は40,000円/月。これに加えて、オプションのオンライン診療・レセプトチェックは10,000円/月が追加で発生。
- 直近期末のCLINICSオンライン診療及びCLINICSカルテの直近期末の利用医療機件数は1,187社。ジョブメドレーの顧客事業社数に占める比率は0.65%
- 直近期末のCLINICSオンライン診療及びCLINICSカルテの利用医療機関ARPAは3.77万円。(ただし、NaClメディカルのPharmsなどの影響を全て無視して計算していることに注意)
- メドレーの従業員数は2019年12月期の最新従業員数は379人、最新YoY伸び率は154%。
- 最後に
- 最後にSaaSを理解するための本のご紹介と宣伝
計算KPI:メドレーの推定期末時点MRRは0.45億円

はじめに、メドレーのMRRについて述べます。なお、今回は、「推定」MRRとしています。その背景には、メドレーはその出自上、主要な売上をその出自でもある人材紹介事業のジョブメドレーから上げており、SaaSがまだ全面に出ていない決算資料・有価証券報告書になっています。その結果、明確にSaaS事業とそれ以外、というKPI開示になっていないためです。このため、今回は最もSaaSの要素を含む事業セグメントである「医療プラットフォーム事業売上高」を12ヶ月で割り算することによって、推定MRRとしました(SaaS以外の売上も含まれているので、あくまで「最大」この金額、という点にご注意ください)。
参考:人材紹介事業メドレーの初期費用・掲載費用は0円から可能で、採用決定時価格は4万円〜。

SaaS事業の本命である、月額課金関連のKPIに入る前に、まずは売上高の8割以上を占める人材紹介事業のジョブメドレーについて述べます。
こちらはメドレーのホームページから抜粋した2020/1/10時点の価格ページです。明確に料金が公開されており、なんと、掲載だけだと無料とのこと。採用決定時の価格は4万円〜と言うことで、職種によって単価が異なることからこのような記載となっているのだろう、と推測します。

参考:ジョブメドレーの成果報酬比率は2〜13%、一般的な人材紹介会社の1/10〜1/3程度の水準。

こちらはメドレーの決算説明資料から抜粋したメドレーの成果報酬比率と一般的な人材紹介会社の比率の違いです。同社によれば、ジョブメドレーの手数料率が2〜13%に対して、一般的な人材紹介会社は20〜35%の水準の手数料を取るモデルとなっているとのことです。こちらは、専門職であるがゆえにこのような金額になっているのでしょうね。この数字が正しいとすると、メドレーの価格帯は極めてお得な価格帯である、と言えそうです。
参考:ジョブメドレーには医科・歯科・介護・保育・リハビリ/代替医療・ヘルスケア/美容に関連する求人・転職・就職・アルバイト募集情報が掲載されています。

参考までに、ジョブメドレーに掲載されている求人情報についてご紹介します。こちらはメドレーのホームページから抜粋した2020/1/10時点のジョブメドレーのトップページです。爽やかな写真とセットで、医科・歯科・介護・保育・リハビリ/代替医療・ヘルスケア/美容に関連する求人・転職・就職・アルバイト募集情報が掲載されています。職種を指定すると、地域を選択でき、ユーザーにとっては検索がしやすそうなサイトだな、という印象を受けました。

参考:CLINICS(クラウド診療支援システム)は初期費用は要問い合わせ、基本料金は40,000円/月。これに加えて、オプションのオンライン診療・レセプトチェックは10,000円/月が追加で発生。

こちらはメドレーのホームページから抜粋した2020/1/10時点の料金表です。明確に料金体系が公開されており、
・基本料金は40,000円/月(初期費用は要問い合わせ)
・オプションのオンライン診療・レセプトチェック料金は10,000円/月
となっています。なお、オンライン診療は単体でも契約ができるようで、200床以上の病院は別途お問い合わせが必要です。



直近期末のCLINICSオンライン診療及びCLINICSカルテの直近期末の利用医療機件数は1,187社。ジョブメドレーの顧客事業社数に占める比率は0.65%

続いて、
・ジョブメドレーの顧客事業社数
・CLINICSオンライン診療及びCLINICSカルテの直近期末の利用医療機件数
について公開されてるKPIを紹介します。
メドレーによる公開情報によれば、直近期末の2019年12月期末時点で、
・ジョブメドレーの顧客事業社数は18.2万事業所
・CLINICSオンライン診療及びCLINICSカルテの直近期末の利用医療機件数は1,187機関
となっています。
ジョブメドレーの導入先はCLINICS導入の上での良い見込み顧客はになるので、単純に1,187機関を18.2万事業所で割り算すると0.65%と極めて小さい数になりますが、例えば、ジョブメドレーに掲載されている医科・歯科・介護・保育・リハビリ/代替医療・ヘルスケア/美容のうち、CLINICSと親和性が高いところは、カルテを使う業種に限定はされてきそうなので、こちらの単純比較は難しいなと感じました。
直近期末のCLINICSオンライン診療及びCLINICSカルテの利用医療機関ARPAは3.77万円。(ただし、NaClメディカルのPharmsなどの影響を全て無視して計算していることに注意)

続いてメドレーの公開情報から推定したARPAの推移を紹介します。なお、こちらは
・医療プラットフォーム事業売上高
を
・CLINICSオンライン診療及びCLINICSカルテの直近期末の利用医療機件数
で割り算して求めています。こちらの金額については、
・分子:2019年3月に子会社化したNaClメディカルのPharmsの売上高およびCLINICS、Pharmsを除くSaaS以外売上高
・分母:2019年3月に子会社化したNaClメディカルのPharmsの利用機関件数
の影響を除いていませんので、あくまで参考値としてお考えください。
もしもPharms及び医療プラットフォーム事業売上高におけるSaaS以外の売上高が小さい場合、
・オンライン診療だけで使っている医療機関がそれなりの割合存在する
とも解釈できますし、Pharms及び医療プラットフォーム事業売上高におけるSaaS以外の売上高が大きい場合、
・PharmsはCLINICSと比べて単価が低く、全体で平均をとるとARPAは下がる
と解釈もできそうです。しかし、これ以上踏み込んだ情報は不明のため、今後の決算でSaaS周りの開示が進むことを楽しみにしています。
メドレーの従業員数は2019年12月期の最新従業員数は379人、最新YoY伸び率は154%。

最後に、メドレーの従業員数について述べます。2019年12月期で従業員数は379人で、最新YoY伸び率は154%とのことです。2016年12月期末から、2019年12月期末にかけて、毎年YoYの伸び率が150%を超えてるあたり、勢いを感じますね。
最後に
今回取り上げたメドレーは、直前に取り上げたビートレンドとは異なり、SaaS指標、と言う意味では若干、情報の少ない企業でした(こちらは、採用支援として始まっている会社の出自や、月額課金の比率がざっくり10%と言う特徴を考えると自然なことです)。2020年はコロナ禍により、オンラインでの診療が活発になったはずなので、今後SaaSとしての指標が公開されていくのか、そしてクラウドサインを抱える弁護士ドットコムのように、SaaSの比率がすごい勢いで大きくなってくるのか、という点については非常に楽しみな企業だと私は感じました。最後まで読んでいただきありがとうございました!
最後にSaaSを理解するための本のご紹介と宣伝
SaaSの本質であるリード生成、商談獲得、商談受注までのプロセスを表す一連の流れを指し、Salesforce、Marketoで勤務した経験を持つ福田氏による名著です。基本的なSaaSオペレーションの諸概念について、簡単な言葉で表現してくれており、SaaSの全体観を掴むのに適しています(なお、SaaS全体のおすすめ本はこちらにまとめています)。
ちなみに2021年以降にIPOしたSaaS関連各社の四半期単位の各社については、本サイトをまとめた書籍を執筆しています。(画像クリックでamazonの新しいタブが開きます。)当該期間にIPOした新規上場SaaSの分類として、
- ホリゾンタル・バーティカルSaaS
- エンタープライズとSMBSaaS
などの分類とまた、その他関連SaaS書籍をまとめておきましたので、興味のある方は以下よりご覧ください。なお、リンクのクリックで個社の過去記事をご覧いただくこともできます。