チャットワークはビジネスチャットツール「Chatwork」を中心にサービスを提供
はじめにチャットワークの各プロダクトについてご紹介します。同社ホームページや新規上場のための有価証券報告書によれば、チャットワークはビジネスチャット(メールの代わりにビジネスで使われるチャットツール)の「Chatwork」を提供しています。同社の決算説明資料によれば、同社はChatwork事業とセキュリティ事業の2セグメントから成り立っています。基本的に後者は縮小の傾向にあるようですね。
チャットワークが狙うのは今後も伸び続ける国内のビジネスチャット市場。
続いて、チャットワークのプロダクトが企業に導入されるマクロ環境の状況についてご紹介します。こちらはチャットワークの成長可能性に関する説明資料より抜粋してきた国内ビジネスチャット市場の資料です。ざっくりいうと、
・2017年度から2022年度までに市場は約4倍近くになる
ということのようです。確かに文脈さえ共有することができていれば、メールを都度書かなくてもいいので、チャットの方がコミュニケーションは楽そうですし、市場も基本的には拡大する方向だろうということがわかりますね。なお、こちらの資料自体は、2019年9月時点の発表資料であり、コロナ禍の影響で、さらにこちらが拡大する方向に進んだであろうことが推測できます。
2004年11月にECStudioとして設立後、2018年11月に社名をChatwork株式会社に変更。2019年に東証マザーズに上場
続いてチャットワークの沿革についてご紹介します。チャットワークの沿革によれば、同社は2004年11月にホームページ集客支援を目的にECStudioとして設立後、2012年4月に社名をChatWork株式会社に変更した後、もう一度2018年11月に再度社名をChatworkへ変更しています(違いがわかりづらいですが、WorkのWが大文字か小文字下の違いがあります)。現在の主力事業を支えるプロダクトのビジネスチャット、ChatworkリリースまでにはEC Studio設立から7年程度かかっています。SaaS事業をするには時間がかかる、ということなのでしょうか。その後2019年には東証マザーズに上場しています。
チャットワークの開示KGI(連結売上高)推移:2019年12月期末で18.1億円。直近YoY成長率は139%
では続いてチャットワークの連結売上高から見てみましょう。直近5年の売上高推移を見ると、売上高の成長率はYoYで124〜139%の範囲にあり、堅調に成長していることがわかります。
2019年12月期末のストック売上比率はChatwork事業がすべてストック売上から成り立つと仮定すると最大で88.2%。
続いて、チャットワークの売上高の構成比率について見てみましょう。2020年3月27日に発表された有価証券報告書によれば、2019年12月期末のチャットワークのChatwork事業の占める売上高における比率は88.2%であり、こちらがすべてストック売上高だと仮定すると、チャットワークのストック売上高比率は最大で88.2%であるということが言えます。なお、Chatwork事業の中には、無料プランがあり、無料プランユーザーに対しては広告を表示するということをやっているようです。このため、多少広告経由のストック売上でない要素が売上の中に入っていることは確実ですが、その詳細な比率は公開されていませんので、最大で88.2%という表現を取りました。
それでは次回以降、気になるKPI推移について紹介していきます!チャットワークはこれまで取り上げていたSaaSの中でも、「フリーミアム」という形で、ユーザーが利用できる特徴を持っています。ある意味で、弁護士ドットコムのクラウドサインやインフォマートもこちらに近いところはありますが、情報を受領できるが送信はできないといった機能制限が強めにありました。チャットワークは機能制限を持たせつつ、フリーミアムユーザーを有料ユーザーへ転換していくモデルでもあり、少し過去に紹介してきたSaaSとは内容が異なります。これらを調べにいくことが今から楽しみです。最後まで読んでいただきありがとうございました!
最後にSaaSを理解するための本のご紹介と宣伝
SaaSの本質であるリード生成、商談獲得、商談受注までのプロセスを表す一連の流れを指し、Salesforce、Marketoで勤務した経験を持つ福田氏による名著です。基本的なSaaSオペレーションの諸概念について、簡単な言葉で表現してくれており、SaaSの全体観を掴むのに適しています(なお、SaaS全体のおすすめ本はこちらにまとめています)。
ちなみに2021年以降にIPOしたSaaS関連各社の四半期単位の各社については、本サイトをまとめた書籍を執筆しています。(画像クリックでamazonの新しいタブが開きます。)当該期間にIPOした新規上場SaaSの分類として、
- ホリゾンタル・バーティカルSaaS
- エンタープライズとSMBSaaS
などの分類とまた、その他関連SaaS書籍をまとめておきましたので、興味のある方は以下よりご覧ください。なお、リンクのクリックで個社の過去記事をご覧いただくこともできます。