推定KPI:弁護士ドットコムの推定期末時点MRR推移
続いて、弁護士ドットコムの推定MRRについて述べます。なお、こちらは
- クラウドサイン売上高 / 12(ヶ月)
の計算により算出しています。なお、こちらは2020年3月期末の情報であり、コロナによる電子契約需要が加速する前の通期決算であることにご注意ください(つまり、2021年3月期決算はもっと急激に伸びているはずだということを申し上げておきます)。
参考:クラウドサインの最新料金表(有料プラン)は1万〜10万円が月額基本料金。書類送信件数単価が1送信あたりに発生
こちらはクラウドサインの製品ホームページから抜粋した2020/11/16時点のクラウドサインの有料プラン料金表です。有料プランは
- Standard
- Standard plus
- Business
の3つに分かれており、それぞれ価格は
- 10,000 円 / 月
- 20,000 円 / 月
- 100,000 円 / 月
です。ベースとしての月額に対して、書類の送信件数あたり200円がかかってくるんですね。
直近期末の導入社数は7.5万社、YoY成長率は178%。コロナによる需要急増でさらに伸びているはず
公開されているクラウドサインの導入社数推移がこちらのグラフです。2015年から提供を初めたサービスですが、最初の3年間は毎年200%を超える成長を見せ、直近のYoY成長率も178%ときわめて高いです。なお、今回の分析では基本的に通期決算を元にどのようにビジネスが推移しているかを調べて掲載しておりますので、コロナによる影響はこの期末時点ではまだそこまで強く入っておりませんので、ご留意ください。
推計による有料課金(送信側)比率はまだ数パーセント程度
なお、以下はあくまで私の推計ですが、この「導入社数」を有料課金社数と仮定すると、一社あたりの単価が数千円、ということになり先ほどの料金表の最小単価の1万円よりも金額が小さくなります。このことから、導入社数、というのは無料で使っている会社(つまり、書類を受けるだけの利用者)も含んでいる、ということが言えるでしょう。さらに、送信件数単価が200円かかることから、少なくとも2020年3月期末のクラウドサイン売上高6.3億円のうち2億円は書類送信によるものだということが分かります。こちらは厳密にはフロー売上になりますね。
以上のフロー売上をクラウドサイン売上高より引いて、残った4.3億円を中心プランが2万円と仮定するとざっくり1,700社が該当し、こちらは7.6万のクラウドサイン導入企業の内、2.25%程度だということができます。ここは解釈が難しいんですが、ここが今後伸びるのか、どうか、というのがクラウドサインがどのように成長していくかに大きく影響してきそうですね。
弁護士ドットコムの従業員数は240人、最新のYoY伸び率は126%
最後に、弁護士ドットコムの従業員数について述べます。2020年3月期で従業員数は240名。直近1年では126%の伸び率を示しています。弁護士ドットコムがマザーズ市場に上場したのは2014年のことですが、そこからも10倍近い従業員になっています。
最後に
コロナにより、リモートワークを始めて出社を制限する会社も増え、さらに需要が増えているはずのクラウドサイン。これまで本サイトで取り上げてきたSaaSと異なり、月額利用料+送信件数による課金という二重取りができるクラウドサイン。直近ではGMOなどの競合も現れており、今後も目が離せません。今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!
最後にSaaSを理解するための本のご紹介と宣伝
SaaSの本質であるリード生成、商談獲得、商談受注までのプロセスを表す一連の流れを指し、Salesforce、Marketoで勤務した経験を持つ福田氏による名著です。基本的なSaaSオペレーションの諸概念について、簡単な言葉で表現してくれており、SaaSの全体観を掴むのに適しています(なお、SaaS全体のおすすめ本はこちらにまとめています)。
ちなみに2021年以降にIPOしたSaaS関連各社の四半期単位の各社については、本サイトをまとめた書籍を執筆しています。(画像クリックでamazonの新しいタブが開きます。)当該期間にIPOした新規上場SaaSの分類として、
- ホリゾンタル・バーティカルSaaS
- エンタープライズとSMBSaaS
などの分類とまた、その他関連SaaS書籍をまとめておきましたので、興味のある方は以下よりご覧ください。なお、リンクのクリックで個社の過去記事をご覧いただくこともできます。