- TL:DR;
- 開示KPI:カオナビの4Q時点ストック比率は安定の75%超え
- 推定KPI:カオナビの期末時点MRR推移は2020年3月期末時点で1.8億円超え
- 開示KPI:カオナビの利用企業数は1,700社を突破、YoY成長率も155%を超える水準で成長中!
- カオナビの利用企業規模:エンタープライズ利用は16.5%、中小企業が62.9%
- 開示KPI:カオナビのARPUは12.1万円
- 参考:カオナビのコネクテッドパートナーは多数の会社とサービス連携
- 開示KPI:カオナビの解約率は0.56%で1%未満
- カオナビの従業員数はYoY伸び率は減るも140%近い水準で増加
- 最後に
- 最後にSaaSを理解するための本のご紹介と宣伝
TL:DR;
- 4Q時点ストック比率は安定の75%超え
- 期末時点MRR推移は2020年3月期末時点で1.8億円超え
- 利用企業数は1,700社を突破、YoY成長率も155%を超える水準で成長中!
- エンタープライズ利用は16.5%、中小企業が62.9%
- ARPUは12.1万円
- 解約率は0.56%で1%未満
- 従業員数はYoY伸び率は減るも140%近い水準で増加
開示KPI:カオナビの4Q時点ストック比率は安定の75%超え
まず、カオナビのストック(月額課金)比率を見てみましょう。安定の75%超えの高水準を維持しています。なお、ストックとは別にフローの売上もあるようですが、こちらはカオナビ導入時の初期設定、セミナー、オプションサービス手数料などを含むそうです。直近でフロー比率が特に上がってはいないので、導入に際しては簡単に導入できるため、個別のカスタマイズ設定の必要ないSaaSであると言うことができそうですね。
推定KPI:カオナビの期末時点MRR推移は2020年3月期末時点で1.8億円超え
次に、カオナビの推定MRRです。なお、こちらは
- 売上高 x ストック比率 / 12(ヶ月)
により算出しています。こちらもストック比率が期末時点情報だけで推定しているので多少推定の精度は実態と異なるはずですが、近いうちにMRR2億円を突破する水準にあると言うことができそうです。
開示KPI:カオナビの利用企業数は1,700社を突破、YoY成長率も155%を超える水準で成長中!
次はカオナビの利用企業数です。2020年3月期末には1,700社を突破しています。年間成長率も高い年は200%を超えており、直近2020年3月期でも155%と、極めて高い成長率を維持しています。
カオナビの利用企業規模:エンタープライズ利用は16.5%、中小企業が62.9%
次はカオナビの利用企業の規模感です。決算説明会資料にかなり詳しく載っているのでみてみましょう。エンタープライズ、いわゆる大企業の比率は16.5%だそうです。大まかに、上場してる会社が日本には約4,000社いるので、2,000と仮定して半分近くはもうエンタープライズに入っている、とみなすべきなんでしょうか。いずれにせよここの社数の伸びを追っていくと、どこが伸びているのかもう少し解像度高く分かることができそうですね。
開示KPI:カオナビのARPUは12.1万円
この記事を書いている2020/7/21時点でホームページにて料金は見積もり式になっていますが、カオナビのARPU(平均顧客単価)は12.1万円とのことです。この中に超大型の会社から、100人未満も含まれるので、あくまで平均的にこのくらい、ということですね。
参考:カオナビのコネクテッドパートナーは多数の会社とサービス連携
カオナビは連携にも力を入れており、大きいところだとリクルート などとも連携をしています(なお、リクルート はカオナビの大株主です)。カオナビの性質上、従業員のデータベースをいかにして取り込むかがビジネスとしての大きな競争優位に繋がるはずなので、このあたりについては、
- すでに従業員データベースを持っている企業と連携
- カオナビの持っている従業員データベースを使いたい企業と連携
と言うのが大きなパターンとなってくるでしょう。一方で、これらの関係が今後どのように続くのか、すなわち握手をしながら常にお互いの動向を探り続けると言う形になると思うので、この辺りは今後どう言う機能をカオナビが強化していくかで、結構バランスが変わってくるのではないでしょうか。
開示KPI:カオナビの解約率は0.56%で1%未満
さて、続いてカオナビの解約率です。0.56%と1%未満の水準を維持しています。通期の決算説明会資料では、単月の推移を(数字が入るのは四半期末の数字のみですが)、開示しています。ここまで公開してくれたら、競合企業から見ると、自社がどの程度順調なのか、というベンチマークに使うことができそうですね。それとも、もしかするとこんなにいい解約率ということで、競合が参入する気にならない状態を作る目的があるのかもしれません。カオナビは、その提供するサービスの構造上、「従業員の個人情報データを持っている」という特徴があります。このため、かなり重要度としては高い情報を管理することになり、その結果として、低い解約率につながっているのでしょう。
カオナビの従業員数はYoY伸び率は減るも140%近い水準で増加
最後に、カオナビの従業員数についてです。2020年3月期で従業員数は150人を突破しました。また、YoY伸び率は減るも140%近い水準で増加しています。カオナビは2019年の3月にマザーズに上場しており、その直前の2018年で従業員成長率はざっくり250%に急増しました。上場して1年が経40%成長、ということはざっくり3人に1人は去年いなかった人、ということなのでかなりの人数です)。
最後に
人事領域に特化したSaaSであるカオナビ についてご紹介しました。見ていただいた通り、決算資料にてかなり詳しくSaaSの各種KPIを開示している会社で、今後これらの推移がどうなっていくのか非常に楽しみです。とても勉強になりました。今後も、いろいろなSaaSを調べていきたいと思います。SaaSって、本当にいいものですね!最後まで読んでいただきありがとうございました。
最後にSaaSを理解するための本のご紹介と宣伝
SaaSの本質であるリード生成、商談獲得、商談受注までのプロセスを表す一連の流れを指し、Salesforce、Marketoで勤務した経験を持つ福田氏による名著です。基本的なSaaSオペレーションの諸概念について、簡単な言葉で表現してくれており、SaaSの全体観を掴むのに適しています(なお、SaaS全体のおすすめ本はこちらにまとめています)。
ちなみに2021年以降にIPOしたSaaS関連各社の四半期単位の各社については、本サイトをまとめた書籍を執筆しています。(画像クリックでamazonの新しいタブが開きます。)当該期間にIPOした新規上場SaaSの分類として、
- ホリゾンタル・バーティカルSaaS
- エンタープライズとSMBSaaS
などの分類とまた、その他関連SaaS書籍をまとめておきましたので、興味のある方は以下よりご覧ください。なお、リンクのクリックで個社の過去記事をご覧いただくこともできます。