TL:DR;
- テモナの推定のクラウドソリューション比率は役7割
- 手数料の詳細を2019年から開示、2019年の売上高の伸びを引っ張ったのはサブスクストア(アカウント増と大規模顧客向けのカスタマイズによる収益)
- 2019年9月度におけるテモナの推定クラウドソリューション比率は67.3%、推定MRRは0.9億円
- ARPU/月は10万円未満
2018年から2019年への売上高の伸びはチャットボットオプションとカスタマイズ案件による増加
2019年9月度のテモナ決算説明資料によれば、2018年から2019年への売上の伸びは、チャットボットオプションとカスタマイズ案件による増加によるものとのことです。増加要因の詳細については、決算説明資料からは読み取れませんでした。2019年以降は決済手数料収入と月額課金系サービスの売上構成比率が有価証券報告書で確認ができそうなので、そちらの推移を追いかけていく予定です。
テモナの決済手数料平均は推定で約3.8%
さて、月額課金による収益と決済手数料による収益、両方を持つテモナですが、一体決済手数料でどのくらいの収益を上げているのでしょうか。2019年9月度のテモナ有価証券報告書によれば、流通総額1,322億円あったとのことなので、決済手数料率は平均で約3.8%(決算手数料の5.09億円を1,322億円で割り戻し)ということがわかります。
2019年9月度におけるテモナの推定クラウドソリューション比率は67.3%、推定MRRは0.9億円
クラウドソリューション比率(売上高の純粋な月額課金成分)と決済手数料との分類が始まったのが2019年9月度からなので、それ以前についてはわかりませんが、少なくとも2019年9月度の
- たまごリピート
- サブスクストア
- サブスクストアB2B
- ヒキアゲール
が売上の月額課金成分を表していると仮定すると、テモナのクラウドソリューション比率は67.3%(各サービスの売上高/全売上高)となり、各サービスの合計をARRであると仮定して12で割り算した推定MRRは0.9億円で、近いうちに1億円を突破するであろうことがわかります。
開示KPI:テモナのたまごリピート、サブスクストア、サブスクストアB2B、ヒキアゲールアカウント数推移
続いて、たまごリピート、サブスクストア、サブスクストアB2B、ヒキアゲールアカウント数のアカウント数の推移を紹介します。グラフにて、2018年9月末から、サブスクストアというアカウントが増えている一方で、たまごリピートが減っていることがわかります。しかし、これはたまごリピートが純減したのではなくて、元々たまごリピートの中の「たまごリピートNext」という呼称で呼ばれていたBtoC事業者向けのサブスクリプション提供サービスがサブスクストアB2Bと呼称を変えたことが要員です。グラフをから、サブスクストアは2018年から2019年に変わるタイミングでなんと3.7倍近くも伸びていることがわかります。売上自体もまだ、全体に占める割合はそこまで大きくありませんが、昨今のサブスクリプションニーズを受けて、2020年9月末の決算でどこまでこのアカウント数と売上が伸びるのかは非常に楽しみな数値ですね。
推定KPI:テモナのたまごリピート、サブスクストア、サブスクストアB2B、ヒキアゲール別ARPU
続いて、たまごリピート、サブスクストア、サブスクストアB2B、ヒキアゲールアカウント数のARPUを紹介します。グラフより、最も高いのはたまごリピート、次いでヒキアゲール、サブスクストア、サブスクストアB2Bとなっています。こちらは完全な推測になりますが、たまごリピートよりもサブスクストア、サブスクストアB2Bが低いのは、後発のサービスということで最初は安く入っているのかもしれません。いずれにせよ、今回紹介できるのは2019年9月度と単年度の推移となりますので、これらがこの後どう増える/減るのか推移を見ていくのが楽しみです。
開示KPI推移(テモナの従業員数推移)
さて、ざっくり売上高15億円のテモナ。一体何人の従業員でこれらの売上を上げているのでしょうか。直近開示されている数字によると連結の全従業員数は86人と、100人未満の人数で、前年比で120%〜140%程度の伸び率で推移しているようです。テモナの場合は原則月額課金と決済手数料(一部要望に応じたEC事業者向けのカスタマイズなどもされているそうです)が収益の中心であるであろうことから、少人数でしっかりと稼ぐことのできるモデルなのかもしれませんね。
最後に
元々はたまごリピートだったたまごリピートNextをサブスクストアとしてサービス展開し、アカウント数も順調に伸びているテモナについてお届けしました。いかがだったでしょうか。今後も、いろいろなSaaSを調べていきたいと思います。SaaSって、本当にいいものですね!最後まで読んでいただきありがとうございました。
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SaaSの本質であるリード生成、商談獲得、商談受注までのプロセスを表す一連の流れを指し、Salesforce、Marketoで勤務した経験を持つ福田氏による名著です。基本的なSaaSオペレーションの諸概念について、簡単な言葉で表現してくれており、SaaSの全体観を掴むのに適しています(なお、SaaS全体のおすすめ本はこちらにまとめています)。
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