TL:DR;
- HENNGE(ヘンゲ)はIDaaSとしてHENNGE Oneを中心とするサービスを提供する会社である(前回記事)
- 2019年9月期の売上の85%以上がストック収入からなる(前回記事)
- 事業KPIを結構開示していて、2020年9月期第一四半期の最新月次解約率は0.13%という水準にある(これが今回の中心テーマ)
KPI推移(HENNGE Oneの契約企業数とユーザー数)
さて、前回に引き続き、HENNGEのKPIを紹介します。
まずは公開されているHENNGE Oneの契約企業数とユーザー数推移から。開示資料によれば、HENNGE Oneは
- 導入社数は2019年9月期末時点でもうすぐ1,500社に到達する水準
- 契約ユーザー数は150万人超え
しており、順調に伸び続けており、昨対の変化率は共に下がってきているとはいえ、それでも120%を超える水準で推移している。
KPI推移(HENNGE OneのMRR関連指標)
次に、公開されているMRR関連情報を。開示資料によれば、
- MRRはもうすぐ3億円を突破
- 1社あたり平均のMRRは約20万円
- 1ユーザーあたり単価は約150円
とのことだ。ARRは単純にMRRx12なので、売上としてもざっくり40億円に近い水準にいると言えるだろう。
KPI推移(HENNGE Oneの解約率)
最後に解約率について。なんとHENNGE Oneの解約率は2019年9月期末情報で、0.13%だったとのこと。解約率は1%未満であれば優秀と言われているSaaSの世界で極めて低い解約率だということが言える。
前回記事にて、HENNGE Oneを導入している企業は1社あたり7つのSaaSを導入しているという調査結果を紹介した。HENNGE One自体は、プロダクトの特性として、他のSaaSサービスの入り口にいるプロダクトでもある。このため、他のSaaSを解約することがあってもHENNGE Oneを解約すること自体は少ない、ことが背景にあると推測できる(企業内の情報セキュリティ責任者の特性としてセキュリティを気にしないわけにいかないから)。価格帯も平均単価は150円程度と導入に際して高すぎることもなく、社員数の少ない企業から大企業まで導入できる、ということだろうか。
最後に
今回は2回に分けてIDaaSの会社、HENNGEについて紹介した。プロダクトが企業のどのようなニーズに対して応えているかによって、ユーザーの単価や解約率も結構変わるんだなという印象。いやあ!SaaSって、本当にいいもんですね。
最後にSaaSを理解するための本のご紹介と宣伝
SaaSの本質であるリード生成、商談獲得、商談受注までのプロセスを表す一連の流れを指し、Salesforce、Marketoで勤務した経験を持つ福田氏による名著です。基本的なSaaSオペレーションの諸概念について、簡単な言葉で表現してくれており、SaaSの全体観を掴むのに適しています(なお、SaaS全体のおすすめ本はこちらにまとめています)。
ちなみに2021年以降にIPOしたSaaS関連各社の四半期単位の各社については、本サイトをまとめた書籍を執筆しています。(画像クリックでamazonの新しいタブが開きます。)当該期間にIPOした新規上場SaaSの分類として、
- ホリゾンタル・バーティカルSaaS
- エンタープライズとSMBSaaS
などの分類とまた、その他関連SaaS書籍をまとめておきましたので、興味のある方は以下よりご覧ください。なお、リンクのクリックで個社の過去記事をご覧いただくこともできます。