TL:DR;
- 各社、2月後半から3月中旬にかけて低下し、その後回復している
- 20社の平均としては89%とそこまで下がっていない
- ゴールデンウイーク明けに各社コロナ影響が乗り始めた決算が出るはずなのでまた1変動ありそうな予感がある
2020年のゴールデンウイークが始まった
2020年のゴールデンウイークが始まった。不要不急な外出を禁じられている中、祝日通り働くと5連休となる。連日のミーティングだらけのリモートワークに飽きて始めている身にとっては、それでもありがたいと感じる。さて、今日は2020年1月1日以降、2020年4月28日時点でどう市場からの反応を受けているのかをまとめた。
なお、データの収集・集計には以下のデータを使った。
- 出典:Yahooファイナンス、各日の終値を記録
- 東証の営業開始は2020/1/6からだったため、開始は1/6から
- 土日・祝日に伴う値の欠損については前日の終値を当てた
まず、全体の傾向から。最も上昇率が高いのはhennge。SSO(1つのIDで複数のサービスを使うことができる仕組み)を元に、リモートワーク全入時代に期待されているのだろうか。リモートワーク全入時代においては、社員のID管理も重要になるのでまさにコロナが追い風として働いているのだろう。中央値はカオナビ(社員名簿)とカナミックネットワーク(介護システム)。henngeに比べると、やや、なくてはならない感が薄れるのが特徴だろうか。特にカオナビについては定性的な感想にはなるが、飲食系の顧客が多いと休業に入る顧客が多そうだという印象はある。この辺りはIR資料からKPI/セグメント別売上高の推移を読み込んで、さらに各社の理解を深めたいところだ。
株価上昇率が100%を超えている猛者は、サイボウズ、freee、hennge、弁護士ドットコム、チャットワークの5社(順不同)。ほとんどがリモートワーク全入時代を支えるプロダクトであると行っても過言ではないだろう。ちなみに弁護士ドットコムはクラウドサイン(電子署名)のSaaSを提供しており、物理的な押印が不要なことから「押印のために出社」しなくて良いためのサービスでもある。
株価上昇率が80%-100%の水準に治っているところは、ラクス、ユーザベース、sansan、マネーフォワード 、チームスピリット、カオナビ、カナミックネットワーク、ユーザーローカルの8社(順不同)。ともに必要なSaaSではあるんだろうが、電子契約やチャットほどリモートワークにダイレクトで関わる感じは少し薄れる印象がある。ただ、これもあくまで印象論であり、正しくは各社KPI数値をみるべきではあると思っているし、今後このブログでもとりあげたい。
結論
以上から考えると、各スタートアップの時価総額も43%〜161%の範囲で変動してもおかしくはないはずだ。なお、粗々で考えるために株式の分割などは起きていないものと仮定し、あくまでマクロな傾向として述べている。これらの各社数字について、今後コロナ影響を反映した決算が続々出てくるはずなので各社どのようにコロナを追い風と捉えてビジネスを広げていくのか、発表が楽しみだ。
最後にSaaSを理解するための本のご紹介と宣伝
SaaSの本質であるリード生成、商談獲得、商談受注までのプロセスを表す一連の流れを指し、Salesforce、Marketoで勤務した経験を持つ福田氏による名著です。基本的なSaaSオペレーションの諸概念について、簡単な言葉で表現してくれており、SaaSの全体観を掴むのに適しています(なお、SaaS全体のおすすめ本はこちらにまとめています)。
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- ホリゾンタル・バーティカルSaaS
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