TL:DR;
- 事業のKGI(Key Goal Indicator)は売上
- KPI(Key Performance Indicator)はKGIに対して、その中間指標となる指標
- 特にストック売上はザ・モデルが、の主要なカバー範囲である新規顧客の獲得と、カスタマーサクセスがカバーする解約率の低下が関係してくる
KGIは事業のゴールとなる最重要指標、KPIはその中間指標を表す
まずは用語の定義から。
- KGI(Key Goal Indicator):売上(事業のフェーズに応じて、粗利率、営業利益率、EBITDA、ROICなどあるけど、一義的にはこれで良い)
- KPI(Key Goal Indicator):KGIを構成する要素。特に結果が出るまでの足が短く、短期で行動して変えられる指標に注目することが多い
ちなみに、SaaS会社の場合は以下の図のような構造になっていることが多い(なお、なるべくMECEを心がけたが、切り方によっては多少組み替えはあることにご注意)。
このツリーで各社特徴が現れるのは、
- (1)事業セグメント
- (2)ストック/非ストック比率
- (3)新規売上(新規MRR/新規ARR)
- (4)解約率
などであり、これらは一部ではあるが各社上場会社は決算情報として発表していることもある。以下で簡単に紹介する。
(1)事業セグメント
例えば国内でも上場しているSaaS会社は複数の事業セグメントを持っていることが多い(例:ユーザベースのSPEEDA、NewsPicks、QUARTZ など)。一方、国内のSaaSスタートアップにおいては、基本的にスタートアップの性質が「短期で急成長を目指す事業」だということから、複数セグメントを持っていることはほぼない(このため、これらの新規事業の創造/M&Aが重要な経営課題にもなる)。
(2)ストック/非ストック比率
非ストック比率は、「プロフェッショナルサービス」とも言われ、積み上がることのない一時的な売上を差す。印象として、セルフサーブ型に近いSaaSであればあるほどプロフェッショナルサービスの比率は下がる傾向にあり、エンタープライズに食い込もうとすればするほとプロフェッショナルサービスの比率が上がる傾向がある(エンタープライズ特有の細かい要望に応じる必要が出てくるため。)セルフサーブ型であればあるほど、導入のための専用導入代理店を用意することができるため、専用の導入代理店を用意しているSaaSはプロフェッショナルサービス比率を下げることができる。
(3)新規売上(新規MRR/新規ARR)
こちらはSaaSの生命線となる指標(新規の積上月額/年額金額)。別記事でも解説しているのでよければ読んでみてください。
(4)解約率
こちらもSaaSの生命線となる解約率。ただし、すでに契約している顧客の売上維持が目的なので、(3)の新規売上とはまた意味合いが異なる。仮に既存の顧客が解約しても、その分別の既存顧客でアップセルが起きれば解約を相殺できるので解約率を下げることができる。
最後に
普段あまり意識することがないけど、セールス&マーケティングが見ている領域は新規から未来を獲得する部分、既存の売り上げに対して維持するのがカスタマーサクセス、など、役割を整理できて自分としても発見があった(この定義に沿うと、解約しない顧客を獲得してくれるフィールドセールスはカスタマーサクセスに好かれて、アップセルを見つけ出してくれるカスタマーサクセスはフィールドセールスに好かれることも)。今後は各上場会社のKGI/KPIトレンドを調べてまとめることで、さらに自分自身のSaaSに対する理解を深めていきたい。いやあ!SaaSって、本当にいいもんですね。
恒例のザ・モデル本紹介。まだ読んでない方は是非。