TL:DR;
- CACはある期間に1ユーザーを獲得するのにかかった必要、LTVは当該期間に獲得したユーザーが解約までに支払う費用
- LTVとCACの比率目安は3:1と言われており、LTV/CACは3が目安
- もしLTV/CACが1だとビジネスが危うい、これが5だともっと広告を使うべき、という指標になる
では、まずは用語の定義から。
CAC
CAC:Customer Acquisition Costの略。シーエーシー、だったりカックと言う。あるSaaS企業のCACは、ある期間の内1ユーザー(取引先)を獲得するのにかかったセールス・マーケティング費用の総額を表す。CACは費用なので、低ければ低いほど良い。CACを下げる方法には大きく以下の3つがある。
- マーケティングチーム/インサイドセールスが質の高いオーガニックリード/商談を獲得する(要は、ザ・モデルで言う入り口の効率が良い)
- フィールドセールスによる健全なパイプジェン(要は、ザ・モデルで言うリードに対するコンバージョン効率が高い)
- カスタマーサクセスによるクロスセル/アップセル(既存顧客による横展開なので、基本的にセールス・マーケティング費用が新規でかかることがない)
なお、CACは以下の式で算出できる。
ある期間にかけたセールス・マーケティング費用 / 獲得したユーザー(取引先数)
セールス・マーケティング費用には大まかに以下を入れておけば良い。
- (a) 広告出稿額
- (b) 従業員の給与
- (c) その他マーケティング費用(ツール費用など)
LTV
LTV:Life Time Valueの略。エルティーヴィー、と読む(CACと対照的に、読み方のばらつきは無い)。1ユーザー(取引先)あたりが解約までに払い続ける金額なので、
- ユーザー(取引先)あたり平均利用料
- ユーザー(取引先)あたり平均利用期間
の積で求められる。
LTVとCACの比率目安はどの程度が適正水準なのか?
一般的に、LTV:CACの比率は3:1、つまりLTVをCACで割ると3が目安だとSaaSの世界では言われている。この比率は高ければ高いほど良い。一般的に事業が成長するとCACは広告出稿効率の低下やシェア争いが生じて増える傾向にある。このため、LTV:CACを高い水準に保つには、
- いかにして値上げをしてLTVの構成要素である平均利用料を引き上げるかと、
- カスタマーサクセスに力を入れて平均利用期間を増やしていくか
と言うことが重要になる。
LTV/CACは3が目安なので、これよりも高い場合は、もっと顧客獲得を増やすために広告を出向することを考えるべきだし、逆にこの水準が1に近い状態だと、広告を使ってユーザーを獲得するが、ユーザーはすぐに解約するもしくは極めて不健全な状態、と言うことができる。
このCAC、LTV議論はどちらかと言うと細かいオペレーションというか、経営にやや偏った話にはなる。一方でオペレーショナルな導入としてはやっぱりザモデルが一番優れていると思うので、まだ読んだことがなくてSaaSに興味のある方は是非読んでみてください。