月別アーカイブ: 2019年3月

saaslife_SaaSで大流行している「ザ・モデル」の適用限界

SaaSで大流行している「ザ・モデル」の適用限界

最近セールスフォースの提唱する「ザ・モデル」に関する話を聞く機会が増えた。端的にいうと、

  • 新規リード→新規商談→新規受注の段階的な遷移で営業組織を考えましょう
  • この段階遷移に合わせて分業しましょう
  • その際はセールスフォースを活用しましょう
  • リードはセールスフォースのパードットを使ってナーチャリングしましょう

というお話。

一見極めて合理的で、SaaS系ベンチャーキャピタリスト激推しのこのモデル。確かにパワフルなフレームワークではあるが、全ての営業組織に当てはまるかというと、そうでは無いと思っている。

以下、具体的な反証を3つあげよう。

新規リードが発生しないルート営業。

同じクライアントを巡回し続けることになるので、分業すると逆に非効率なケース。CRMの一環としてセールスフォースを活用できる可能性があるが、そもそも同じ営業が同じクライアントを担当し続けるケースが多く、セールスフォースへの入力などもサボりがちになる。

今まで売れてた自覚のあるエース集団を別組織から集約して一箇所に集めた組織。

ありがちなんだけど、エースは自分の営業を型化できていないことが多く、独自の営業手法を開発していたりする。さらに、そもそもセールスフォースに何かを入力する習慣が無いとSFAの情報を信頼しながら、協業してザ・モデルが成り立たない。

まだPOCが終わっておらず、どこに何を売っていいのかわからない超初期のスタートアップ。

そもそも、フィールドセールスとインサイドセールスの分離をすると効率が下がるケースが多い。その点でいうと事業開発に近いので、何でも屋的な人材が活きるフェーズ。

急成長を志向するスタートアップにおいては、巡回セールスでビジネスがスケールする、こと自体が定義矛盾なところもあり、起きにくいだろう。ただし、スケールの過程でセールスフォースに入力の習慣が無いVPを雇ったり、そもそも検証できないフェーズでザモデル通りやろうとしても無駄であり、結局は事業を科学できて初めてザモデルはワークするのである。

そういう意味ではいかに入力することで業績に変わるかをファクトと情理で動かせるビジネス・データ・アナリスト的な人材がSaaSスタートアップには必要だ。まだ日本ではあまり注目されていないし、経営管理と混ざってもいるんだけど、これから増えてきそうな予感が個人的にはしている。

saaslife_SaaSとタム※TAM(Total Addressable Market)

SaaSとタム ※TAM(Total Addressable Market)

SaaSで重要な3文字と言えば、M(A)RRであることに異論はないと思うんだけど、時価総額を決めるためで超重要な3文字がある。それがTAM(タム、と読む。Total Addressable Marketの略称)だ。

TAMはあるSaaSがサービスとして最大でリーチできる売上規模のことを言う。つまり、例えばERPの市場規模がx兆円あるとして、あなたがERPのSaaSを「仮に」理論上全ての企業に提供できるんだとしたら、あなたのSaaSのTAMはx兆円だと言うことだ。TAMの広さ(ベン図で言う全体集合みたいなの)をユニバースと呼ばれることが多い。なので、「タムのユニバースは~~」みたいな使い方をしたりする。ただソフトウェアを打ってるだけなのに、「ユニバース(宇宙)」と言う言葉が出てくると元理系少年としては胸アツになるこの言葉。

TAMは「Addressable」と言うところが肝で、「あなたの企業がそこにサービスを提供し売るか」と言うところが妥当に示せないと意味がない。つまり、先ほど例であげたERPSaaSをあなたが作り上げることに成功したとして、おそらくそのSaaSは「この業態に強い / この企業規模に強い」みたいな特徴を持っていたりするだろう。だとしたら、あなたの想定すべきTAMは全企業ではなくて、むしろ

  • あなたのSaaSが強い企業に導入できる理論売上 = 全企業の数 x 業態の割 x 企業規模の割合 x SaaS単価

だったりする。

※ここの売上がMRRかARRなのかと言う細かい話はあるが、12を割り算するのか掛け算するのかと言うだけの話なので、瑣末な話だろう

もちろん、実際はこんなに簡単じゃなくて、「そもそもそのTAMで捉えている企業のお財布的にお金を出せるのか」は重要な論点だったりする。

正直SaaS企業経営に携わっていると、外向けの値として多少大きめにTAMを捉えて、「夢を語る」フェーズと、実際に予実を合わせに行く文脈で、「堅くTAMを捉える」両方が求められる。このように、正解が全くなく、全てのSaaSで推定・算出根拠が全く異なるであろうTAMもSaaS経営の面白いところだったりする。みんな各種統計をこねくり回したりとか、涙ぐましい努力をしてTAMを算出してたりする。TAMの捉え方をしくじると、経営的にはまあまあ渋いことになるので要注意だ。日々自分を戒めている。

saaslife_SaaSの代表会社SalesforceのSFA、Adobe(Marketo)のCRMとは一体何なのか

SaaSの代表会社SalesforceのSFA、Adobe(Marketo)のCRMとは一体何なのか

webopediaによると、SFAは

Sales Force Automation: 営業力をソフトウェアを使って自動化する技術のことを指し、例えば顧客管理・顧客情報の共有・売上予測などを含む。CRMとSFAは似通った部分が多いが、多くの場合、CRMには営業活動を自動化する工程が含まれない。

https://www.webopedia.com/TERM/S/Sales_Force_Automation.html

CRMは

Customer Relationship Management: 顧客関係管理。ある企業がそのユーザーに対して持っているあらゆる情報(購買履歴情報などを中心とした行動情報/性別などの属性情報)を統合し、一箇所に集約して履歴として管理すること。これにより、企業は、ユーザーデータを活用して、(特定の属性・行動履歴を持つユーザーをターゲットとした)マーケティングキャンペーンを行うことができる。


https://www.webopedia.com/TERM/C/CRM.html

なお、ERPとCRMの違いとして、

ERP(Enterprise Resource Planning)は企業内において、そのオペレーションを商品企画 / 商品開発 / 製造 / 人事 / 財務 / 営業 / マーケティングなどのあらゆる工程で集めて管理する、どちらかというと企業の「バックオフィスで」情報を集約する工程を指し、CRMは企業がユーザーと直面する「フロントオフィスで」使われる情報を集約しているところに違いがある

https://www.webopedia.com/DidYouKnow/Hardware_Software/the-difference-between-crm-and-erp.html

とのことだ。

SFAで強いのはSalesforceで、最近だとMicrosoftも強いらしい。いずれも、従来であればExcelと格闘してグラフを作ったりしないといけなかったところがレポートやダッシュボード(グラフ生成ツール)だけ組んでおけば、売上の予測などを瞬時に集計できるのが営業の現場においては必須となっている。

改めてSFAの定義を辿ると、確かに営業の活動には

  • 商談を作って、
  • 提案金額を決めて、
  • 商談の状況や過去行った活動を(上司に)報告する

という工程が必要で、それを一連の流れとしてできるSalesforceは確かに優れたソフトウェアである、と感じる。

ただ、上の定義にもあるように、SFAとCRMは大部分似通った箇所があり、かぶりがある。そして、企業内の効率を上げるためには、

  • SFA -> CRMと連携 -> ERPと連携

という三段階が待っており、この「連携」というのが、漢字二文字だと簡単に表すことができる一方で、実際は困難を極める。(元々、データの連携を想定せずにデータをSFAに入れ始めるのだから仕方がないのだが…)そして、違うプロダクトだったりもするので、お金もかかる。一体SaaSとは、という感じにならなくもないんだけど、この辺りの話はまたおいおい。

saaslife_最強の売上増大戦術!「値上げ」を最強のSaaS企業、Salesforceに学ぶ

最強の売上増大戦術、「値上げ」を最強のSaaS企業Salesforce(セールスフォース)に学ぶ

英語版Wikipediaによれば、Salesforce(以下セールスフォース)ができたのは1999年のことだ。2019年現在からすれば、20年前のことであり「まだ20年しか経っていないのか」と「もう20年も経っているのか」という驚きを感じる。

20年前のセールスフォースウェブサイト(Internet Archive: Wayback Machineより)

Wayback archiveで取得したセールスフォースのスクショが上だ。書いてあることをざっくりまとめると、以下の通りである。

  • IBMとの提携が始まった
  • 最初の5ユーザーは3ヶ月の間無料
  • 以降は月50ドル、新規ユーザー追加でも50ドル

とのことだ。macrotrends.netによれば、2000年時点ですでに1ドル約100円だったので、当時は月5,000円で1ライセンスを使うことができたようだ。では、今はどうなっているのだろう?

2019年3月14日時点のセールスフォースウェブサイトによれば、金額は25ドル、75ドル、150ドル、300ドルとなっていて、20年前の金額とはなんと3倍の違いがあったりする。プランの価格差は、機能制限の有無によって変わるようだ。最初はシンプルな単一価格から、徐々に高単価なクライアントと、低単価なクライアントという形に差をつけているところが面白いし、一度市場に浸透して市民権を得た後は、強気な価格付けでも対応していけるものなのだな、と感じた。

saaslife_SaaSの最重要指標、MRRとARRは何が違うのか?

SaaSの最重要指標、MRRとARRは何が違うのか?

「SaaS、といえばMRR(Monthly Recurring Revenue)」といっても過言でないだろう。MRRは、毎月繰り返し発生する売上を表し、ARR(Annual Recurring Revenue)も概念としてはMRRと同様だが、「年」単位で売上が発生することが異なる。

つまり、解約率がゼロだと仮定すると、

  • MRR100万円だと来月も100万円
  • ARR100万円だと来年も100万円

が入ってくる。ではMRRとARR、どっちの指標が適切なんだろうか?

MRRとARRは「ARR = MRR x 12」という単純な式で関連づけることができる。ただ、MRRの場合は、伸び続けるSaaSスタートアップの場合、会計年度の1ヶ月目と12ヶ月目では当然金額が異なってくるはずなので、どの月を起点にして12倍にするかでARRが異なる。もちろん、これは強気に売上の予測をするのか、保守的に売上の予測をするのかにより異なるし、せっかく成長していっててもそれを上回るスピードで解約が起きていたら1ヶ月よりも12ヶ月目の方がMRRが下がる、という笑えないことが起きるだろう。

SaaSOPTICSによれば、

・ARRをMRRより使うべきなのは、契約の最小単位が1年の場合でBtoB向け

・逆に、toC向けのサービスでARRを使うことは稀

・ARRの方がMRR(日割りのケースが多く、月の中でも月初月末で金額が変わる)に比べて、より正確な売上が予測できる

SaaSOPTICS

とのことだ。

個人的には、契約の最小単位が1年かどうか、という点については、あまり本質的ではないと思っていて、ARRだろうがMRRだろうが、SaaSの凄さを比較するための指標なんだから、何を算出の根拠においているのかをはっきりした上で議論できたらどっちでもいいかなと思っている。

ちなみにSaaS関連の考え方全般については、元SalesforceでMarketoの福田さんが書いた「ザ・モデル」が詳しい。(画像クリックでamazonの新しいタブが開きます。)

saaslife_Bessemer Venture Partners (BVP)によるSaaSの評価指標、G.R.I.T.

Bessemer Venture Partners (BVP)によるSaaSの評価指標、G.R.I.T.

今年もBessemer Venture Partners (BVP、以下ベッセマー)によるクラウドの発表があった。ベッセマーによれば、G.R.I.Tというフレームワーク(以下、ピリオドを省略してGRITと書く)でSaaSを評価できるという。GRITの構成要素は以下の通りだ。

G: Growth (YoYのARR伸び率。50-200%が標準)

R: annual net Retention(ネットの継続率。80-150%が標準)

I: In the bank(銀行にあるキャッシュが何年分ビジネスを維持できるか。1-3年が標準)

T:Targeted spend(効率。新規ARR/使用金額。0.5-1.5倍が標準)

BVPのスライド

それぞれの指標は、パーセントもしくは倍率で表すことができ、G、R、I、Tそれぞれの数値を足し上げて、

3-4 Good

4-5 Better

>6 Best

BVPのスライド

と評価する。

スライドによれば、Twilio、Service TitanはそれぞれGRITスコアが8.1、8.3で、TwilioはRが(つまり、継続率orアップセル率が)、Service TitanはT(投資対売上)が極めて高いとのことだ。

そもそも急成長中のスタートアップだと、採用計画が意欲的だったり、移転などに伴う大きな出費があるので、Iが資金調達の前後で大きくブレたり、広告の投下時期とARRに繋がる時期を切り分けてTを計算するのは煩雑な気はしなくもない。ただ、GとRは、どの程度で伸びているのかとを評価できるので、ある程度の参考になるのかもなと思った。もちろん、最低限投資対売上がどうなっているかを見ないことには片手落ちではあるけど。

saaslife_SaaSにおけるSMBかエンタープライズか問題

SaaSにおけるSMBかエンタープライズか問題

SaaSの営業戦略を語る上で、必ず問題になる「SMBを対象とすべきかエンタープライズを対象とすべきか」問題について、管理人SLは「可能ならすぐにでもエンタープライズ」派である。以下、その考えの前提を述べる。

まず、SMBというのは、Small and Mid-size Businessの略称で、中小企業を指す。日本国内だとデータは古いが2006年時点で約420万社の小規模企業(*1)があり、TAM(Total Addressable Market、理論上、リーチできる市場の上限)は広大だ。一方、エンタープライズ(いわゆる大企業。基本的に上場会社を指す)は約3,700社(*2)ある。

(*1)経済産業省調査結果サマリ

(*2)東証公表の上場会社数の合計値

この規模感だと、400万社のSMBと4000社のエンタープライズ、と荒い仮定を置いたとして、エンタープライズの数はSMBの0.1%にしかならない。SaaSにおける売上構造としては、

  • SMB:低単価x多数
  • エンタープライズ:高単価x少数

となっていて、「安く多く売るSMBと、高く少なく売るエンタープライズ」という構造である。

売上の構造としては、単純な掛け算なので、理論上はどちらでも同じ結果である。ただ、実態としては、SMBはSMB、エンタープライズにはエンタープライズなりの流儀があり、SaaSスタートアップの経営に日々関わる身としては大まかに以下のような違いを感じている。

SMB

導入:検討期間が短い o / カスタマイズ要求:少ない o / 業界特化:必要ない o(後述) / セキュリティなどの要求水準:低いo / 解約:激しいx / 金払い:良いと限らないx  

エンタープライズ

導入:検討期間が長い x / カスタマイズ要求:多い x / 業界特化:必須 x / セキュリティなどの要求水準:高い x / 解約:あまりしない o / 金払い:良い o

大まかに検討段階から売掛金の回収までを時系列に書いてマルバツをつけてみたんだけど、SMBは色々おおらかな反面、解約が多いことだったり、売掛金回収で揉める印象だ。一方で、エンタープライズは導入までのハードルは高いが、解約をしにくかったり、金払いが良いなどのメリットを持っている。恋人で例えると、気さくでやんちゃなSMB、 育ちが良くてとっつきづらいエンタープライズ、というとこだろうか。なお、上のマルバツ表でSMBだと業界特化が不要、というように書いたのは、SMBの場合は、「業界によらず同じような悩みを持っている」特徴がある。例えば、会計ソフトのfreeeなどは、中小企業で50名以下の会社に導入する場合、「これまでは社長が一人で経理回りも担当していた」ことが多いだろう。その場合、社長は業界によらず、「増えていく従業員に対して専属の担当を雇ってxxを効率化したい」と言ったような思いを持っていて、あまり業界による違いが発生しない。

さらに、SMBは従業員が少ないので、「鶴の一声で従業員の業務フローをシステム(SaaS)に合わせる」力技も使える。一方で、業務フローがガチガチに出来上がっているエンタープライズでは、いくら鶴の一声を発しようとも、現場の猛反発が生じるため、「システムを業務フローに合わせろ」となりがちだ(そして、これがエンタープライズでカスタマイズ要求が増える最大の要因だったりする)。

このようなことを考えると、結局SMBもエンタープライズも一長一短じゃないか、という結論になってしまうが、スタートアップの場合は、限られた社員数で勝負をかける必要があるので、可能な限りエンタープライズに食い込みたい、というのが本音である。従業員も人間なので、大量の解約対応で心身を消耗するよりも、エンタープライズで、丁寧にお客さんと向き合いながら、自社の売上を伸ばしつつ、お客さんの事業成長に貢献して欲しい、と日々思うのである。

saaslife_SaaSでよく聞くPSRとPERとは何か?

SaaSでよく聞くPSRとPERとは何か?

はじめに、PSRとPERは以下の略称を指す。

PSR(Price to Sales Ratio): 株価売上高倍率。時価総額を年間売上高で割ったもの。(*1)

PER(Price Earnings Ratio): 現在の株価が1株あたりの純利益の何倍かを指す。(*2)

(*1) 野村證券

(*2) ZAiONLINE

ある企業の時価総額は株価 x 発行済み株式数で求めることができる。PSRとPERはともに企業の時価総額/株価に関係した指標であり、企業に対する評価指標である。特にSaaSは、チャーン(顧客の解約)さえ起きなければ売上は上がり続けるモデルではあるので、「いかにして適切に企業価値を評価するか?」という問いが市場の要請として発生する。

一般的に、上場していて財務情報がしっかりと公開されており、DCF法による企業価値をしっかりと評価できる場合は特に問題がないんだけど、SaaSスタートアップはそもそも上場しておらず、株価も公開されていないが故にその価値価値を評価することがとても難しかった。

そこで現れたのがPSRだ。PERやDCF法は、企業情報を正確に把握しておかないとできないのに対して、単純な売上に対する倍率で企業価値を算出することができる。とは言っても、類似のSaaS企業に対して、売上に対する株価を調べ、その割合(これをマルチプル、と言ったりする。例えば、採用の面接で、「うちのマルチプルは10倍程度」と言われたら、「売上x10倍が時価総額ってことは、時価総額100億なのね」みたいに理解できる)を算出して出すので、あまり個別事情を勘案していない(例えば、プロフェッショナルサービスと月額課金の割合が異なれば、当然収益性は異なるため)正確ではないが、まあ、一つの目安になる。

本当にみんな次から次へといろんなことを考えだすよね。

saaslife_SaaSにおける最強の受注管理ツール、Salesforce

SaaSにおける最強の受注管理ツール、Salesforce

Salesforce(セールスフォース、と読む)の決算が絶好調だ。2019年3月4日発表のIRによれば、2019年(会計年度)の決算にて

売上は132.8億ドル(=1ドル100円換算で約1.3兆円)、作対伸び率は26%

Salesforce IR

とのことだ。

セグメントの売上は

サブスクリプションとサポート費(*1)が124.1億ドル(=1ドル100円換算で約1.2兆円)

プロフェッショナルサービス(*2)が8.6億ドル(=1ドル100円換算で約860億円)

(*1) 収益が安定する月額課金SaaSパート

(*2) 収益が不安定な単発課金パート

Salesforce IR

とのこと。

実にサブスクリプションが売上の92%を占める化け物企業だ。しかも、月額課金が前提のSaaSモデルだから、翌年の売上も堅い。SaaSのスタートアップにいるので、当然のごとく日々の業務でSalesforceを使う。それは、もう好むと好まざるを得ず。

実は、Salesforceという商品自体は、SaaS企業向けにデザインされていなくて、どちらかというと単発で売上が発生する、ショット向け商品を売る企業のためにデザインされているな、と現場では感じる。それがゆえに各社涙ぐましい努力をして、Salesforceを独自にカスタマイズし、自社の受注情報を握られ、他の絶妙な代替手段がないため乗り換えることができず、「仕方なく」使っているのが実情だと思う。

それがゆえに、例えばSaaSスタートアップの現場メンバー同士で情報交換をすると、「Salesforceでこれってどうやっている?うちはこう魔改造してるよ」的な話で盛り上がって、いい刺激を受けあっているらしい。

こういうところもふくめて、やっぱりSalesforceって偉大だし、SaaSスタートアップの経営に携わる身としては、自社をこういうように大きくしていきたいなあと思いながら、今日も会社を後にするのだった。

saaslife_SaaSにおける行動管理とアスピレーション目標

SaaSにおける行動管理とアスピレーション目標

前職の広告会社は、営業の受注管理を「ヨミ表」という表で管理していた。

「ヨミ表」は、各営業が自身の受注目標にたいして、どの程度期待収益が見込まれるかを管理する表を指す。(「表」と言っても実際現場で使うのは、入力用の中央集権的自家製システムであり、そこからみんな大好きExcelにチームもしくは個人単位で値を出力し、A3用紙に出力して、、、ということを毎週やっていた。)この中央集権的な自家製システム(以下、仮に「ニュークリアス」としよう。広告会社はこういう厨二的ネーミングが大好きなのである)に毎日情報を営業現場でニュークリアスに入力し、中央にて企画室がその数値を積み上げ、最終的な期待収益を予測していた。これが、実績のJ、80%のA、60%のB、40%のC、みたいに段階に分かれており、今自分の提案はどうなっていて、その結果数字がどれだけ足りないのかを明らかにするのが営業メンバーの仕事であり、営業マネージャーは「ヨミを管理し、部長やさらに上の役職に報告を上げる」ことが仕事だった。

企画室から、毎日夕方にメールで配信されてくる全国に散らばる営業の成績を見て、営業からオフィスに戻った後、会社から貸与されているラップトップPCを開き、「あ、何々さんはもう目標を達成したのか」だったり、「Xチームは目標を達成するまであと残りこのくらいなんだな」みたいなところを見ていた。

それにしても当時からわからなかったことだったんだけど、「期待収益」という項目があって、ヨミとそのヨミにいる金額の総和を、ヨミの状態に応じて係数を掛け合わせて、算出してたんだけど、あの頃の自分には「なぜ、ヨミという営業の主観が入りまくった情報を元に期待収益を算出できるのか、掛け算はさておいて、その背後にあるロジックの妥当性」が正直言って全くわからなかった。だって、売れる確率だよ?分母は何を使うんだよ?という話である。

今SaaSのスタートアップの経営に関わって、わかってきたことがある。それは、ヨミ表のヨミ、は営業のアスピレーション(営業の意思)で作ってはダメで、営業のフェーズにおける行動と対応づけをしないと意味がない、ということ。つまり、受注確率80%の受注、というものがあるとしたら、申込書はもう送っていて、捺印返送を待っている状態を80%とし、逆に、商談を始めたばかりだと、顧客のニーズがわかったタイミングでようやく20%とするなど。

結局、営業のアスピレーションベースでヨミ管理をすると、営業によってのブレが激しすぎて、均一化できない。さらに、営業マネージャーの役割が、強気・もしくは弱気なヨミの読み直し、ということになってしまう。これって、組織として再現性を高めてビジネスをしていく上ではマイナスでしかない、と私は思う。

もちろん、数字に現れないニュアンスがある商談だってもちろんあると思うし、全てがデジタルな世界ではないということを認めつつ、だからこそヨミは行動管理と照らして行う方が経営もメンバーもハッピーになれるんじゃないか、そんなことをぼんやりと考えた。