- 2020年12月期末時点の推定MRRは0.91億円(2020年12月期末の売上高/12)
- トヨクモの安否確認サービスは4つの主要機能、安否確認・情報集計・対策指示・事前準備から成り立つ
- Kintone連携サービスは7つあり、プリントクリエイター・フォームブリッジ・kBackup・kViewer・kMailer・タイムスタンプfor kintone・データコレクトから成り立つ
- トヨクモの安否確認サービスは初期費用:0円、月額費用:6,800〜43,800円で利用可能
- 安否確認サービスには警備系大手S社、通信系大手N社との比較表あり
- トヨクモのkintone連携サービスは初期費用:0円、月額費用:6,800〜50,000円で利用可能
- 2020年12月期末の利用件数はKintone連携サービス1.27万円/月、安否確認サービス1.84万円/月、直近YoY成長率は101%、105%
- 2020年12月期末の利用件数はKintone連携サービス4,254件、安否確認サービス2,035件、直近YoY成長率は136%、142%
- 2020年12月末時点で売上解約率は1%未満(ただし、売上かアカウントかは非開示)
- 2020年12月期の最新従業員数は33人、最新YoY伸び率は118%
- 最後に
- 最後にSaaSを理解するための本のご紹介と宣伝
2020年12月期末時点の推定MRRは0.91億円(2020年12月期末の売上高/12)
はじめに、トヨクモのMRRについて述べます。なお、トヨクモはそのMRR/ARRを有価証券報告書の中では公開していません。一方で、そのリカーリング売上高は前回もご紹介した通り、非常に高く、その売上高に占める比率はほぼ100%に近いということがわかっています。そこで、売上高を12(ヶ月)で割り算を行った数字をMRRとして算出しています。
トヨクモの安否確認サービスは4つの主要機能、安否確認・情報集計・対策指示・事前準備から成り立つ
続いて、2021/3/10発表 第11期有価証券報告書、2021/7/5時点 同社ホームページより抜粋してきたトヨクモの安否確認サービスの機能概要を紹介します。同社有価証券報告書、同社ホームページによれば、同社のプロダクトは4つの主要機能があり、それぞれ
・安否確認:地震などの大災害時に予め登録しておいた連絡先に一斉送信、スマートフォンアプリも利用可能
・情報集計:連絡情報の一覧表で確認が可能
・対策指示:災害時に必要なメッセージ、掲示板、一斉送信機能
・事前準備:ユーザー情報などの登録がcsvファイルで一括登録可能
となっています。
Kintone連携サービスは7つあり、プリントクリエイター・フォームブリッジ・kBackup・kViewer・kMailer・タイムスタンプfor kintone・データコレクトから成り立つ
続いて、kintone連携サービスについて紹介します。2021/3/10発表 第11期有価証券報告書及び2021/7/5時点 同社ホームページによれば、kintone連携サービスには7つあり、
・プリントクリエイター:kintoneの情報から見積・請求書作成
・フォームブリッジ:webフォームの送信情報をkintoneに保存
・kバックアップ:kintoneのデータをバックアップ
・kビューワー:kintoneアプリの情報を顧客・取引先に公開
・kメーラー:kintoneの顧客情報でお知らせやステップメールを送信
・タイムスタンプfor kintone:kintoneに登録されたデータを引用しながら、メールの送信ができるサービス
・データコレクト:kintoneだけでできない予実管理や在庫引当
の特徴があります。
トヨクモの安否確認サービスは初期費用:0円、月額費用:6,800〜43,800円で利用可能
こちらは2021/7/5時点のトヨクモの安否確認サービスに関する同社ホームページの抜粋情報です。同社ホームページによれば安否確認サービスの利用に際しては、
・初期費用:0円、
・月額費用:6,800〜43,800円
で利用できるとのことです。初期費用が0円ということが記載があるのはとても特徴的ですね。なお、1,000ユーザー以上になると別途問い合わせが必要とのことです。
安否確認サービスには警備系大手S社、通信系大手N社との比較表あり
こちらは2021/7/5時点のトヨクモの安否確認サービスに関する他社比較ページの抜粋情報です。同社ホームページによれば安否確認サービスには他社との比較表があり、警備系大手S社と通信大手N社との比較があります。特徴なのが、自分たちだけが優位でないように自分たちの苦手な部分も記載されている、ということです。これまで日系企業のSaaSを調べてきて、比較的この比較表ははっきりとした比較になっているのでとても驚きました。なお、この表によれば、トヨクモの安否確認サービスは他社と比べると電話での通知・報告ができない仕様になっているようなのですが、大災害時には電話も繋がりにくくなることを考えると、優先度はそこまで高くないのかもしれないですね。
トヨクモのkintone連携サービスは初期費用:0円、月額費用:6,800〜50,000円で利用可能
こちらは2021/6/20時点のトヨクモプロダクトに関する同社ホームページの抜粋情報です。同社ホームページによればトヨクモのプロダクトの料金はタイムスタンプfor kintoneを除いて全て公開されており、
・初期費用:0円、
・月額費用:6,800〜43,800円
で利用できるとのことです。安否確認サービスと同じく、初期費用が0円ということが記載があるのはとても特徴的ですね。
2020年12月期末の利用件数はKintone連携サービス1.27万円/月、安否確認サービス1.84万円/月、直近YoY成長率は101%、105%
続いて、同様に2021/3/10発表 第11期有価証券報告書にて公開されているトヨクモの利用件数から算出した件数あたり単価についても見てみましょう。こちらによれば、トヨクモプロダクトの2020年12月期末の顧客単価は、
・Kintone連携サービス1.27万円/月、直近YoY成長率は101%
・安否確認サービス1.84万円/月、直近YoY成長率105%
となっています。kintone連携サービスは複数のサービスを顧客が使っていること、安否確認サービスは数百ユーザーがボリュームゾーンなのではないかと推測されます。
2020年12月期末の利用件数はKintone連携サービス4,254件、安否確認サービス2,035件、直近YoY成長率は136%、142%
続いて、トヨクモの導入社数についても見てみましょう。こちらは2021/3/10発表 第11期有価証券報告書より抜粋してきた同社の件数の推移をグラフにしたものです。こちらの情報によれば、2020年12月期末の利用件数は
・Kintone連携サービス:4,254件、直近YoY成長率は136%
・安否確認サービス:2,035件、直近YoY成長率は142%
とのことです。両サービスともに高い伸び率を維持していることがわかりますね。
2020年12月末時点で売上解約率は1%未満(ただし、売上かアカウントかは非開示)
続いて、トヨクモの公開している解約率について見てみましょう。同社によれば、その売上解約率については、2020年12月末時点で
・全体で1%未満
・kintone連携サービスは1.2%未満
・安否確認サービスは0.4%未満
とのことです。ただし、こちらは件数なのか売上高かは不明でしたので参考情報としてご参照ください。
2020年12月期の最新従業員数は33人、最新YoY伸び率は118%
最後に、トヨクモの従業員数について述べます。2020年12月期の最新従業員数は33人で最新YoY伸び率は118%とのことです。2019年から2020年にかけて、やや従業員数の伸び率が小さくなっていますが、数年かけて拡大した従業員数も落ち着きを見せ始めているようですね。
最後に
今回取り上げたトヨクモは、kintoneという他社のSaaSとの連携サービスを軸に複数のプロダクトを提供している会社でした。日系企業においては、今後もますますトヨクモのようなSaaSと連携するSaaSを提供する会社が数多く出てきそうで、今後もどうなって行くかがとても楽しみです。最後まで読んでいただきありがとうございました!
最後にSaaSを理解するための本のご紹介と宣伝
SaaSの本質であるリード生成、商談獲得、商談受注までのプロセスを表す一連の流れを指し、Salesforce、Marketoで勤務した経験を持つ福田氏による名著です。基本的なSaaSオペレーションの諸概念について、簡単な言葉で表現してくれており、SaaSの全体観を掴むのに適しています(なお、SaaS全体のおすすめ本はこちらにまとめています)。
ちなみに2021年以降にIPOしたSaaS関連各社の四半期単位の各社については、本サイトをまとめた書籍を執筆しています。(画像クリックでamazonの新しいタブが開きます。)当該期間にIPOした新規上場SaaSの分類として、
- ホリゾンタル・バーティカルSaaS
- エンタープライズとSMBSaaS
などの分類とまた、その他関連SaaS書籍をまとめておきましたので、興味のある方は以下よりご覧ください。なお、リンクのクリックで個社の過去記事をご覧いただくこともできます。