2020年9月期末時点の計算MRRは3.4億円。
はじめに、プラスアルファ・コンサルティングのMRRについて述べます。なお、プラスアルファ・コンサルティングはそのMRR/ARRを有価証券報告書の中では公開していません。一方で、リカーリング比率として、同社の2020年9月時点のストック比率は公開していますので、全売上高に対してこのリカーリング比率を掛け算し、12(ヶ月)で割り算することで、そのMRRを算出しています。なお、2019年以前の数値に関しては、リカーリング比率が一定という仮定をおいて算出していますので、あくまでも参考情報であるということにご注意ください。
なお、こちらは2021/6/7時点の同社ホームページより抜粋してきた見える化エンジンの機能概要です。同社ホームページによれば、見える化エンジンは
・テキストマイニング技術を使い、顧客の声を収集/分析/共有・改善に繋げられる特徴を持つ
ソリューションとのことです。
特徴として、声の収集、を行う対象がTwitter、Instagramから取得しているとのことで、SNSが全盛の現代にあったソリューションを提供しているようですね。なお、wikipediaによれば、テキストマイニングとは
・からなるデータを単語や文節で区切り、それらの出現の頻度や共出現の相関、出現傾向、時系列などを解析することで有用な情報を取り出す、テキストデータの分析方法
とのことです。実際にテキスマイニングを自社でやるとしたら、専門でテキストマイニングを行う部署がない限りは、
・人員の剪定
・結果の設定
・分析の実行
など、複数のクリアすべき課題が表せます。これをSaaSという形で、ツールとして提供しているのはとても面白いですね。
続いて、こちらは2021/6/7時点の同社ホームページより抜粋してきたカスタマーリングスの機能概要です。同社ホームページによれば、カスタマーリングスは
・企業が持つ顧客情報や行動履歴など顧客に関するあらゆるデータを統合し、
・分析・抽出・打ち手実行までワンストップで繋げられる
特徴を持つソリューションとのことです。
これらの打ち手実行において、
・CDP(Customer Data Platform):ここをカスタマーリングスがにない、顧客に関するあらゆるデータを集約
・分析としてのBI(Business Intelligence):ここも部分的にカスタマーリングスが担う
・打ち手としてのMA(Marketing Automation):ここはLINEやメールなど、カスタマーリングス外のツールと連携して施策を実行可能にする
ようになっているようです。自社でデータ集約を受け、その後の分析・活用については他社ツールと連携する、ということでプロダクトとしての力を入れているところの濃淡がはっきりしている感じがしますね。
続いて、こちらは2021/6/7時点の同社ホームページより抜粋してきたタレントパレットの機能概要です。同社ホームページによれば、タレントパレットは
・企業の人材データベース提供
に始まり、人材データを活用した
・人材データ分析
・異動シミュレーション
・スキル管理など
幅広い機能を持つソリューションとのことです。いわば、自社の人材データを活用した、社内人事マーケティングツール、ということが言えるでしょうか。直近1年での売上高の昨対比成長率は244.4%と、極めて高成長しているタレントパレットですが、背景にはコロナ禍により、さらに見えづらくなった社員の状況を可視化したい、という経営者・マネージャーの思惑もありそうですね。特徴的なのが、これらは対象が社内に変わっただけで、カスタマーリングスや見える化エンジンで築いた資産を十分活用していそうなところです。一見対象が全く違うように見えて、後ろの資産はほぼ同じ、というのであればとても効率がいいので、ビジネスとしても極めて資産を有効活用しているであろうことが見て取れますね。
最後に、こちらは2021/6/7時点の同社ホームページより抜粋してきたタレントパレットの機能概要です。同社ホームページによれば、
・キッコエサーベイは生活者・顧客理解ための定性分析用セルフ型ネットリサーチサービス
・アルファスコープは顧客満足度向上のためのFAQ構築サービス
を提供しています。キッコエサーベイには見える化エンジンのテキストマイニング技術を、アルファスコープは同社の持っている自然言語処理技術を活用しているとのことで、こちらにも既存事業の資産が活用できていそうです。
プラスアルファ・コンサルティングの料金は、キッコエサーベイ、アルファスコープを除いては料金問い合わせ。
こちらは2021/6/7時点のキッコエサーベイとアルファスコープの料金ページの抜粋です。なお、プラスアルファ・コンサルティングの料金は、キッコエサーベイ、アルファスコープを除いては料金問い合わせとなっています。料金が公開されているキッコエサービスとアルファスコープについては、
・キッコエサーベイは10,000円〜960,000円のプラン
があり、
・アルファスコープは80,000円/月〜
から利用できるようになっています。
2020年9月期末のプラスアルファ・コンサルティングの主要3サービスの導入社数あたり単価は29.9〜47.3万円/月最新YoY伸び率は95〜187%
続いて、2021/5/27発表 第14期有価証券報告書にて公開されているプラスアルファ・コンサルティングの期末時点導入社数あたりの単価についても見てみましょう。プラスアルファ・コンサルティングはその金額を公開しており、主要3サービスの見える化エンジン、カスタマーリングス、タレントパレットの3サービスについては、その単価が
・29.9〜47.3万円/月
・最新YoY伸び率は108〜117%
となっています。単価が大きいのはカスタマーリングス、タレントパレット、見える化エンジンの順番になっており、昨年比の単価の増加率はタレントパレット、見える化エンジン、カスタマーリングスの順に増加率が大きくなっています。
2020年9月期末の導入社数は1,202社。最新YoY伸び率は120%
続いて、プラスアルファ・コンサルティングの導入社数についても見てみましょう。こちらも2021/5/27発表 第14期有価証券報告書より抜粋してきた情報にはなりますが、
・2020年3月期末の導入社数は1,202社
・最新YoY伸び率は120%
とのことでした。中でも目立つのが、タレントパレットの契約社数であり、契約社数のYoY増加率は187%となっており、大きく伸びていることがわかります。
こちらは2021/5/27発表 第14期有価証券報告書より抜粋したプラスアルファ・コンサルティングの代表3サービスの契約件数、単価とレベニューチャーンレートです。全体の平均ではレベニューチャーンレートも下がっている傾向にあるようですね。
2020年9月期の最新従業員数は173人。最新YoY伸び率は126%
最後に、プラスアルファ・コンサルティングの従業員数について述べます。2020年9月期の最新従業員数は173人で最新YoY伸び率は126%とのことです。直近で急激に人が増えている、ということはなさそうですが、人も順調に増えているようですね。
最後に
今回取り上げたプラスアルファ・コンサルティングは、テキストマイニングを軸に複数のSaaSサービスを展開している特徴のある会社でした。自社の強みを活かして、複数のサービスを展開しているところがとても特徴的な会社ですね。まだ現時点ではキッコエサーベイ、アルファスコープについては売上の情報が入っていませんが、今後はこれらのサービスについても情報が出てくるかもしれないので楽しみですね。最後まで読んでいただきありがとうございました!
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SaaSの本質であるリード生成、商談獲得、商談受注までのプロセスを表す一連の流れを指し、Salesforce、Marketoで勤務した経験を持つ福田氏による名著です。基本的なSaaSオペレーションの諸概念について、簡単な言葉で表現してくれており、SaaSの全体観を掴むのに適しています(なお、SaaS全体のおすすめ本はこちらにまとめています)。
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