2020年3月期末時点の計算MRRは0.7億円。
はじめに、ファブリカコミュニケーションズのMRRについて述べます。なお、ファブリカコミュニケーションズはそのMRR/ARRを有価証券報告書の中では公開していません。一方で、SaaSであるsymphonyを売上高に含むU-CARソリューショングループ売上高は公開していますので、このU-CARソリューショングループ売上高を12(ヶ月)で割り算することで、そのMRRを算出しています。
なお、こちらは2021/5/14発表 2021年3月期決算説明資料より抜粋したsymphonyのプロダクト特徴です。symphonyは中古車販売業務に必要なあらゆる機能をクラウドで提供する業務支援システムであることが記載されています。
続いて、2021/5/14発表 2021年3月期決算説明資料より抜粋したsymphonyのプロダクト優位性です。symphonyはスマート仕入登録により、入力工数業務を大幅削減することができるそうです。中古車販売に特化した広告配信プラットフォームを提供しており、自社メディアの車選びドットコム、カーミー中古車を中心として、カーセンサー、ヤフオク!、ヤフーショッピング、価格コムなど、さまざまな中古車広告掲載サイトに対応していることがわかりますね。
ファブリカコミュニケーションズのsymphonyは月額18,000円〜利用可能。
こちらは2021/5/29時点のsymphonyのサービスページの抜粋です。月額費用がしっかりと公開されていますね。大きく月額18,000円が下限のプランと月額28,000円のプランがあり、それぞれの違いには
・ヤフオク!
・Yahooショッピング
の広告掲載の有無という違いがあり、料金は中古車の掲載台数・出品回数によって変動するようです。なお、アグリゲーションを行うSaaSである特徴より、カーセンサー連携、というカーセンサーへの契約を別途行う必要がある機能があるのが特徴です。
2020年3月期末のsymphony導入社数あたり単価は2.9万円/月。最新YoY伸び率は92%
続いて、2021/3/5発表の 第26期有価証券報告書、2021/5/14発表の 2021年3月期決算説明資料より公開されているファブリカコミュニケーションズの期末時点導入社数あたりの単価についても見てみましょう。有価証券報告書に掲載されているU-CARソリューショングループ売上高を決算説明資料に掲載されている契約社数で割り戻すと、
・2020年3月期末のsymphony導入社数あたり単価は2.9万円/月
・最新YoY伸び率は92%
となっています。
2020年3月期末の導入社数は2,388社。最新YoY伸び率は119%
続いて、ファブリカコミュニケーションズの導入社数についても見てみましょう。こちらも2021/5/14発表 2021年3月期決算説明資料より抜粋してきた情報にはなりますが、
・2020年3月期末の導入社数は2,388社
・最新YoY伸び率は119%
とのことでした。導入社数が伸びつつ、導入社数あたり単価が下がっているのは、symphonyの価格が中古車の掲載台数・出品回数に影響を受けることから、これまでと違う価格帯(規模は相対的に小さめ)の顧客に導入が進んでいるのではないか、と推測ができますね。
こちらは2021/5/14発表 2021年3月期決算説明資料より抜粋したsymphonyの導入社数とレベニューチャーンレートです。チャーンレートも減少を続け、とても低い値になっていますね。symphonyの導入サポートを始めたタイミングと時を同じくしてレベニューチャーンレートが下がっているので、満足度が上がっているのではないかと私は推測します。
2020年3月期の最新従業員数は139人。最新YoY伸び率は115%
最後に、ファブリカコミュニケーションズの従業員数について述べます。2020年3月期の最新従業員数は139人で最新YoY伸び率は115%とのことです。直近で急激に人が増えている、ということはなさそうです。
最後に
今回取り上げたファブリカコミュニケーションズは、中古車掲載情報のアグリゲーターSaaSを提供しているバーティカルSaaSでした。過去紹介しているところで言うと、手間いらずと近いSaaSを提供していると言うことが言えるかと思います。中古車の価格自体が数十万から数百万することから、月額利用料も手間いらずよりは大きいあたりも、SaaSの価格設定に個社の特徴が現れるのかもしれないですね。最後まで読んでいただきありがとうございました!
最後にSaaSを理解するための本のご紹介と宣伝
SaaSの本質であるリード生成、商談獲得、商談受注までのプロセスを表す一連の流れを指し、Salesforce、Marketoで勤務した経験を持つ福田氏による名著です。基本的なSaaSオペレーションの諸概念について、簡単な言葉で表現してくれており、SaaSの全体観を掴むのに適しています(なお、SaaS全体のおすすめ本はこちらにまとめています)。
ちなみに2021年以降にIPOしたSaaS関連各社の四半期単位の各社については、本サイトをまとめた書籍を執筆しています。(画像クリックでamazonの新しいタブが開きます。)当該期間にIPOした新規上場SaaSの分類として、
- ホリゾンタル・バーティカルSaaS
- エンタープライズとSMBSaaS
などの分類とまた、その他関連SaaS書籍をまとめておきましたので、興味のある方は以下よりご覧ください。なお、リンクのクリックで個社の過去記事をご覧いただくこともできます。