ファブリカコミュニケーションズは中古車情報のデータ連携・活用を軸とした中古車ビジネス支援プラットフォームのsymphonyを提供

さて、初めにファブリカコミュニケーションズのプロダクトについてご紹介します。2021/5/26時点の同社ホームページによれば、ファブリカコミュニケーションズは
・中古車情報のデータ連携・活用を軸とした中古車ビジネス支援プラットフォームのsymphony
・SMS送信サービスのメディアSMS
・SEOテクノロジーを生かしたWEBサービス・企画運営のインターネットサービス事業
・自動車修理の管理システム提供やレンタカーサービス、メンテナンス事業のBP事業/レンタカー事業/メンテナンス事業
を提供しています。この中で、SaaSとして提供しているサービスが中古車情報のデータ連携・活用を軸とした中古車ビジネス支援プラットフォームのsymphonyのようですね。
1992年4月自動車板金塗装業を創業。2021年4月JASDAQスタンダード市場へ上場

続いて2021/3/5発表 第26期有価証券報告書よりファブリカコミュニケーションズの沿革についてご紹介します。ファブリカコミュニケーションズの沿革によれば、
・1992年4月自動車板金塗装業を創業
・2005年3月(株)シーアイシー(株)からファブリカコミュニケーションズに商号変更
・2013年9月中古車販売業務支援クラウドサービスのsymphonyをリリース
・2021年4月JASDAQスタンダード市場へ上場
とのことです。1992年に創業しているとことで、30年近い歴史を持っている一方、中古車販売業務支援クラウドサービスのsymphonyは約8年の歴史のSaaSのようですね。
売上高は2020年3月期末で39.0億円。直近YoY成長率は129%

では続いてファブリカコミュニケーションズの売上高から見てみましょう。
2015年3月期から2020年3月期の6年分の売上高を見ると、YoYの売上高成長率は46%〜246%の水準で推移しています。直近YoY成長率は129%ということで、すでに売上高が40億円近くある中でも確実に売上を伸ばしていることが見て取れますね。なお、2016年3月から2017年3月にかけて、売上高が対前年比で46%に減少しています。
こちらは2016年12月に株式会社カービューと業務資本提携を行なったことが原因だと考えられますが、決算期が10月から3月に変更になったことが原因であり、実質の成長率は110%〜149%の範囲に収まります。
2020年3月期末でストック売上比率は最大21.9%(U-CARソリューショングループ売上高割合)

続いて、ファブリカコミュニケーションズの売上高の構成比率について見てみましょう。2021/3/5発表の第26期有価証券報告書によれば、ファブリカコミュニケーションズの売上構成比率は、2020年3月期末で
・U-CARソリューショングループ売上高割合:21.9%
・U-CARソリューショングループ売上高割合以外:89.1%
となっていました。symphonyについては、過去紹介した手間いらずと似た形の広告配信プラットフォームのアグリゲーションSaaSである特徴がある一方で、その詳細な初期費用と月額料金は公開していません。そこで手間いらずと同じく、初期費用にかかる割合は小さいものと仮定し、「最大」で21.9%という記載の仕方をしています。
さて、次回はファブリカコミュニケーションズのSaaSプロダクトがどのようなKPIになっているのか、分析していきます。ファブリカコミュニケーションズは中古車情報、という領域の中で一箇所に入稿すると複数の広告掲載サイトに入稿する仕組みを持っているSaaSであり、その各種KPIがどのようになっているかの深掘りがとても楽しみです。最後まで読んでいただきありがとうございました!
最後にSaaSを理解するための本のご紹介と宣伝
SaaSの本質であるリード生成、商談獲得、商談受注までのプロセスを表す一連の流れを指し、Salesforce、Marketoで勤務した経験を持つ福田氏による名著です。基本的なSaaSオペレーションの諸概念について、簡単な言葉で表現してくれており、SaaSの全体観を掴むのに適しています(なお、SaaS全体のおすすめ本はこちらにまとめています)。
ちなみに2021年以降にIPOしたSaaS関連各社の四半期単位の各社については、本サイトをまとめた書籍を執筆しています。(画像クリックでamazonの新しいタブが開きます。)当該期間にIPOした新規上場SaaSの分類として、
- ホリゾンタル・バーティカルSaaS
- エンタープライズとSMBSaaS
などの分類とまた、その他関連SaaS書籍をまとめておきましたので、興味のある方は以下よりご覧ください。なお、リンクのクリックで個社の過去記事をご覧いただくこともできます。