ペイロールは給与計算業務の運用に関する各種サービスとクラウドサービスを用いたBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を提供
さて、初めにペイロールのプロダクトについてご紹介します。2021/5/19時点の同社ホームページによれば、ペイロールは
・給与計算業務の運用に関する各種サービス
・クラウドサービスを用いたBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)
を提供しています。ホームページのサービス内容にコールセンターで働く方と思われる写真が載っていることからも、前提として顧客の代わりに業務を請負うことで、顧客から対価を得ることが主要サービスであることが見て取れます。
こちらは参考として、2021/5/18発表の第3期有価証券報告書より抜粋してきた事業のモデル図です。クラウドサービスを介して、その裏にいるマネージドサービス(運用業務・コールセンター)を利用できるようになっていることが見て取れますね。
1989年4月個人事業主向け貴重代行業務の受託を目的に(有)コンフィデンスサービス設立。2021年6月東京マザーズへ上場予定
続いて2021/5/18発表 第3期有価証券報告書よりペイロールの沿革についてご紹介します。ペイロールの沿革によれば、
・1989年4月個人事業主向け貴重代行業務の受託を目的に(有)コンフィデンスサービス設立
・2000年6月(株)ペイロールに商号変更
・2017年4月(株)ペイロールの株式取得を目的にPRホールディングス(株)を設立
・2017年6月PRホールディングス(株)が(株)ペイロールを子会社化設立
・2021年6月東京マザーズへ上場予定
とのことです。有価証券報告書上はまだ3期の会社ですが、その前の実態としてのペイロールは1989年から始まっており、30年近い歴史のある会社なのですね。
売上高は2020年3月期末で72.5億円直近YoY成長率は109%
では続いてペイロールの売上高から見てみましょう。
2015年3月期から2020年3月期の6年分の売上高を見ると、YoYの売上高成長率は48%〜239%の水準で推移しています。直近YoY成長率は109%ということで、すでに売上高が72.5億円近くある中でも確実に売上を伸ばしている、ことが見て取れますね。なお、2017年3月から2018年3月にかけて、売上高が対前年比で48%に減少しています。こちらは沿革でも述べた、子会社化による決算期の変更が原因であり、実質の成長率は110%〜122%の範囲に収まります。
2020年3月期末でストック売上比率は最大86.9%(給与計算関連サービス売上高割合)
続いて、ペイロールの売上高の構成比率について見てみましょう。2021/5/18発表の第3期有価証券報告書によれば、ペイロールの売上構成比率は、2020年3月期末で
・給与計算関連サービス売上:86.9%
・年末調整補助業務売上:13.1%
となっていました。給与計算関連サービス売上高はオペレーターによる処理とクラウドサービスの両方を含んでいますが、同社のホームページによれば2020年3月末時点のその継続率は97%とのことです。したがって、この売上高はほぼストック型の売上高と見なすことができ、最大でも86.9%がストック型売上比率であるということが言えます。
さて、次回はペイロールのSaaSプロダクトがどのようなKPIになっているのか、分析していきます。ペイロールはクラウドサービスとビジネスプロセスアウトソーシングをとても上手く組み合わせている会社で’あり、そのKPIがどのようになっているかの深掘りがとても楽しみです。最後まで読んでいただきありがとうございました!
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