計算KPI:ズームインフォの期末時点MRRは24.4億円
はじめに、ズームインフォのMRRについて述べます。なお、今回は、「計算」MRRとしています。この背景には、ズームインフォはその売上高の内訳(フロー売上、ストック売上など)を詳細には公開していないためです。前回の分析で、ズームインフォの売上の内、リカーリング(月額課金)の割合はほぼ100%(Form S-1によれば99%がリカーリングとのことでした)であるはず、と紹介しました。このため、今回の推定MRRは単純に売上高を12(ヶ月)で割り算して求めることをしています。
公開KPI:地域別でズームインフォの売上が最も大きい地域はアメリカ合衆国で全体の9割を占める
こちらはズームインフォの地域別売上構成比率です。公開情報ベースでは、大きく2地域に売上の立つエリアを分類しており、United States(アメリカ合衆国)とRest of World(その他)と対応しています。
最も成長率が高いのは米国以外。しかし米国も昨年同時期比200%近くの売上成長率を記録
次に地域別の売上高伸び率を紹介します。全体を通した売上の成長率は2018年12月から2019年12月にかけて、前年同期比203%となっており、地域別に見ると最も成長率が高いのはアメリカ以外で、昨年同時期比276%ということです。最も成長率が高いのは米国以外ですが、米国も昨年同時期比200%近くの売上成長率を記録しており、かなり大きな成長率で伸びていることがわかりますね。
ズームインフォの料金体系は、月額費用非開示の問い合わせ型
では初めにズームインフォ料金体系の月額プランについてご紹介します。同社ホームページによれば、費用を知るためには問い合わせが必要とのことで、詳細の費用は不明でした。
ズームインフォの2020年3月時点でのユーザー数は約1.5万人。2019年12月期末の売上高をこの人数で割り算すると、約16万円/月
続いて、ズームインフォのユーザー数、ユーザー数ベースのARPU(Average Revenue Per User:ユーザーあたりの単価)を紹介します。ズームインフォのForm S-1によれば、ズームインフォのユーザー数は2020年3月時点で約1.5万人いる、とのことです。2019年12月期末の売上高をこの人数で割り算すると、ARPUは約16万円/月と計算できます。同時に、ACV(年間の契約額)が10万USD(=1,000万円)を超える顧客が630顧客以上いるとのことで、仮に単価16万円だとすると、1社数あたり約5人のユーザーを抱えて使っている顧客がいるということが言えそうですね。この辺りの細かい数字は今後さらに開示されていくことを期待します!
ズームインフォの従業員数は2021年2月時点で1,300人、最新のYoY伸び率は不明
最後に、ズームインフォの従業員数について述べます。linkedinによれば、2020年2月期で従業員数は1,300人とのことです。ズームインフォはとても大きな成長率を保っており、ここから数年かけてさらに人を採用していくはずなので、今後どのように伸びていくかが楽しみですね。
最後に
CRMと一緒に使うことでさらにCRMの効果を発揮するためのSaaS、ズームインフォについて調べました。今回ご紹介した決算期は2019年12月末時点情報なので、2月22日に行われた2020年12月期の決算発表情報を含めていません。今後、最新の決算発表に合わせて、どこまでこれらの数字が変わるのかを追いかけたいと思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。
最後にSaaSを理解するための本のご紹介と宣伝
SaaSの本質であるリード生成、商談獲得、商談受注までのプロセスを表す一連の流れを指し、Salesforce、Marketoで勤務した経験を持つ福田氏による名著です。基本的なSaaSオペレーションの諸概念について、簡単な言葉で表現してくれており、SaaSの全体観を掴むのに適しています(なお、SaaS全体のおすすめ本はこちらにまとめています)。
ちなみに2021年以降にIPOしたSaaS関連各社の四半期単位の各社については、本サイトをまとめた書籍を執筆しています。(画像クリックでamazonの新しいタブが開きます。)当該期間にIPOした新規上場SaaSの分類として、
- ホリゾンタル・バーティカルSaaS
- エンタープライズとSMBSaaS
などの分類とまた、その他関連SaaS書籍をまとめておきましたので、興味のある方は以下よりご覧ください。なお、リンクのクリックで個社の過去記事をご覧いただくこともできます。