- 計算KPI:ズームの期末時点MRRは51.9億円
- 公開KPI:地域別でズームの売上が最も大きい地域は南北アメリカで全体の8割超を占める
- 公開KPI:最も成長率が高いのはヨーロッパ地域で、昨年同時期比217%
- ズームの料金体系は、月額費用が1ユーザーあた2,000円〜4,710円。プランにより利用可能な機能による制限があることが特徴。
- ズームの料金体系は、月額費用が1ユーザーあた20,100円〜47,040円。年払いの方が割安になります。
- ズームの直近期末の推定有料ユーザー数は約192万人/月。ただし、単価を2,700円/月で固定と仮定
- ズームの従業員数は2020年1月末の状況で2,700人、最新のYoY伸び率は159%
- 最後に
- 最後にSaaSを理解するための本のご紹介と宣伝
計算KPI:ズームの期末時点MRRは51.9億円
はじめに、ズームのMRRについて述べsaaslife_計算KPI:ズームの期末時点MRR推移(1USD=100円換算)ます。なお、今回は、「計算」MRRとしています。この背景には、ズームはその売上高の内訳(フロー売上、ストック売上など)を詳細には公開していないためです。前回の分析で、ズームの売上の内、リカーリング(月額課金)の割合はほぼ100%であるはず、と紹介しました。このため、今回の推定MRRは単純に売上高を12(ヶ月)で割り算して求めることをしています。
公開KPI:地域別でズームの売上が最も大きい地域は南北アメリカで全体の8割超を占める
こちらはズームの地域別売上構成比率です。公開情報ベースでは、大きく3つの地域に分類しており、EMEA(Europe,Middle East, Africa)、APAC(Asia PACific)、Americasの3つとなっています。それぞれ、
・EMEA:ヨーロッパ地域(中東、アフリカ含む)
・APAC:アジア太平洋
・Americas:南北アメリカ
と対応します。
公開KPI:最も成長率が高いのはヨーロッパ地域で、昨年同時期比217%
次に地域別の売上高伸び率を紹介します。全体を通した売上の成長率は2019年1月から2020年1月にかけて、前年同期比188%となっており、地域別に見ると最も成長率が高いのはヨーロッパで、昨年同時期比217%ということです。
ズームの料金体系は、月額費用が1ユーザーあた2,000円〜4,710円。プランにより利用可能な機能による制限があることが特徴。
では初めにズーム料金体系の月額プランについてご紹介します。ズームの月額費用は1ユーザーあたり2,000円〜4,710円のレンジでばらついており、プランにより利用可能な機能による制限があります。なお、今回紹介した価格は有料ユーザーの場合ですが、無料ユーザーも使うことができるフリーミアムモデルとなっているのが特徴です。無料ユーザーの場合は、3人以上のミーティングの制限時間が40分と、若干ビジネスでは使いづらい仕様になっています。このため無料で使っている人も多い中で、有料に切り替える人たちもかなりいるはずだと私は推測しています。
ズームの料金体系は、月額費用が1ユーザーあた20,100円〜47,040円。年払いの方が割安になります。
こちらはズームの年額払いを行った場合の料金です。料金表の上に月額払いか年額払いかを選択できる切り替えボタンがあり、簡単に金額を比較することができます。年額払いにすると、契約期間を確実に担保できるので、このような割引もとても合理的なやり方だなと感じました。
ズームの直近期末の推定有料ユーザー数は約192万人/月。ただし、単価を2,700円/月で固定と仮定
続いて、ズームの推定ユーザー数を、各サービスの売上高に対して、プロフェッショナルサービス比率が0、かつ月額の単価が1ユーザーあたり2,700円/月と仮定した有料ユーザー数の推移を紹介します。こちらのグラフによれば、2020年1月末で約200万近い有料ユーザーがいるということが言えそうです。フリーミアムの無料ユーザーなどを考慮するとズームユーザーはさらに増えるはずなので、いずれこれらの具体的な数字が開示されることを期待しています(マイクロソフト、グーグルとも苛烈な競争をしているはずなので、あまり手の内を明らかにするメリットは少ないとは思いつつ)。
ズームの従業員数は2020年1月末の状況で2,700人、最新のYoY伸び率は159%
最後に、ズームの従業員数について述べます。2020年1月期で従業員数は2,700人とのことです。ここから数年かけてさらに人を採用していくはずなので、すでに市場にいるSaaSに対してどのように影響していくかが楽しみですね。
最後に
リモートワークが広く普及した中で欠かせないビデオチャットツール、ズームについて調べました。今回ご紹介した決算期は2020年1月なので、2021年1月期の情報ではありません。またすぐに決算発表があるはずなので、どこまでこれらの数字が変わるのかがとても楽しみですね!最後まで読んでいただきありがとうございました。
最後にSaaSを理解するための本のご紹介と宣伝
SaaSの本質であるリード生成、商談獲得、商談受注までのプロセスを表す一連の流れを指し、Salesforce、Marketoで勤務した経験を持つ福田氏による名著です。基本的なSaaSオペレーションの諸概念について、簡単な言葉で表現してくれており、SaaSの全体観を掴むのに適しています(なお、SaaS全体のおすすめ本はこちらにまとめています)。
ちなみに2021年以降にIPOしたSaaS関連各社の四半期単位の各社については、本サイトをまとめた書籍を執筆しています。(画像クリックでamazonの新しいタブが開きます。)当該期間にIPOした新規上場SaaSの分類として、
- ホリゾンタル・バーティカルSaaS
- エンタープライズとSMBSaaS
などの分類とまた、その他関連SaaS書籍をまとめておきましたので、興味のある方は以下よりご覧ください。なお、リンクのクリックで個社の過去記事をご覧いただくこともできます。