- 計算KPI:ビートレンドの推定期末時点MRRは0.52億円
- 参考:ビートレンドのプロダクトには3プランあり、初期費用は3円〜300円。月額費用は1万円〜10万円で必要な機能を選択可能。
- 参考:ビートレンドのオプションは初期費用は10万円〜見積もりとなっており、月額費用はアカウントやメールベースで数千円〜見積もり。必要な機能を選択可能。
- ビートレンドの特色はSaaSの上に個社カスタマイズをすること。
- 直近期末のスマートCRMサービスとメールマーケティングサービスの契約社数は664社で、YoY成長率は95%。
- 直近期末のスマートCRMのARPAは21.8万円、メールマーケティングのARPAは4.6万円。
- 直近期末のスマートCRM一社あたりの利用会員数は12.1万人。
- ビートレンドの従業員数は2019年12月期の最新従業員数は44人、最新YoY伸び率は107%。
- 最後に
- 最後にSaaSを理解するための本のご紹介と宣伝
計算KPI:ビートレンドの推定期末時点MRRは0.52億円
はじめに、ビートレンドのMRRについて述べます。なお、今回は、「推定」ではなく、「計算」としています。その背景には、ビートレンドがそのARRを
・スマートCRMサービスによるARR
・メールマーケティングサービスによるARR
という形で公開していることが背景にあります。すなわち、ARRを12(ヶ月)で割り算して、それぞれのサービスで合計したものが今回紹介する計算MRRとなります。なお、こちらの情報は2019年12月期末の情報であることにご注意ください。ビートレンドの導入事例からは、主に飲食・小売を中心としているようです。また、解約率の推移からも、2020年の内にはコロナの影響は解約率ベースでは大きくは出ていないようですね。一方で、コロナの影響が長期化するにつれてこの数字がこのあとどうなっていくのかというのは気になるところではあります。
参考:ビートレンドのプロダクトには3プランあり、初期費用は3円〜300円。月額費用は1万円〜10万円で必要な機能を選択可能。
こちらはビートレンドのホームページから抜粋した2020/1/1時点の料金表です。明確に料金体系が公開されており、最も価格の低い「カスタマイズプラン」で初期費用50万円、月額10万円から利用可能ということです。こちらの記載の方法が料金の下限となっているのは、オプションの追加により金額が変動するためなんですね。
参考:ビートレンドのオプションは初期費用は10万円〜見積もりとなっており、月額費用はアカウントやメールベースで数千円〜見積もり。必要な機能を選択可能。
こちらはビートレンドのホームページから抜粋した2020/1/1時点のオプション料金表です。明確に必要な機能単位で料金体系が公開されています。
ビートレンドの特色はSaaSの上に個社カスタマイズをすること。
こちらはビートレンドの成長可能性に関する説明資料より抜粋したビートレンドのSaaS特色です。概念として、SaaSの上に個社のカスタマイズを提供することを可能にすることで、会社別の要望に応えることができる、ということが特色のようですね(図内中央を参照ください)。従来型SaaSモデルの、「個社単位でのカスタマイズを一切しない」とフルカスタマイズモデルの「個社単位で全てをカスタマイズして作る」という中間、をとっていることがわかります。スーツで例えるとしたら、セミオーダースーツ、ということでしょうか。実際の運用保守などはセミオーダー型タイプは大変そうな気もしますが、APIによる連携、とすることで相対的な運用保守の難易度を下げている、などの工夫がなされていそうですね。
直近期末のスマートCRMサービスとメールマーケティングサービスの契約社数は664社で、YoY成長率は95%。
ここからは契約社数に関する公開情報を初めに紹介し、その後一社あたりの単価であるARPAを紹介します。初めにビートレンドの公開している契約社数の推移を紹介します。2020/11/12発表の新規上場申請のための有価証券報告書によれば、直近期末のクライアント数は664社でYoY成長率は95%だったとのことです。この契約社数は、スマートCRMサービスの契約社数とメールマーケティングサービスの契約社数の和となっており、グラフからも、メールマーケティングサービスの成長率が徐々に下がっている一方、スマートCRM契約企業数は直近でもYoY成長率が129%と、順調に伸びていることがわかります。世の販促・リピーター獲得のためのロイヤリティプログラムがメールからスマートフォンアプリへ徐々に移りつつある、というトレンドの表れでしょうか。ビートレンドの特色として、しっかりとサービス単位でARR・解約率を公開しているところが、そのほかの日経SaaSは比較的にこれらの売り上げを一緒くたにして公開している印象が強く、珍しいなという印象を受けました。最も、これは社数のYoY成長率だけで見ると、減少しているように見えてしまうので、このようなやり方をとっているのかもしれないですね。分析をする側にとってみれば、詳しい情報が開示されることは歓迎なので、ありがたい話です。
直近期末のスマートCRMのARPAは21.8万円、メールマーケティングのARPAは4.6万円。
続いてビートレンドの公開しているARPAの推移を紹介します。2020/11/12発表の新規上場申請のための有価証券報告書によれば、直近期末のARPAは直近期末のスマートCRMのARPAは21.8万円、メールマーケティングのARPAは4.6万円となっており、ARPAが横ばいのメールマーケティングと対照的に、スマートCRMのARPAは伸び続けています。スマートCRM自体は標準的には6万円から始められるみたいなので、21.8万円との差額は、オプション料金やカスタマイズが入ることで金額が上がっているのでしょうね。
直近期末のスマートCRM一社あたりの利用会員数は12.1万人。
続いてここまでに紹介したスマートCRMの公開情報である、契約社数とサービスの利用会員数を計算で割り出した、スマートCRM契約社1社あたりの利用会員数推移について紹介します。こちらによれば、直近期末のスマートCRM一社あたりの利用会員数は12.1万人であり、平均利用会員数の変動はありながらも、ざっくり10万人程度、ということが言えそうですね。
ビートレンドの従業員数は2019年12月期の最新従業員数は44人、最新YoY伸び率は107%。
最後に、ビートレンドの従業員数について述べます。2019年12月期で従業員数は44人で、最新YoY伸び率は107%とのことです。今年の決算でどのように数字が変化するかが楽しみですね!
最後に
今回取り上げたビートレンドは、ARR・解約率・利用社数含めてかなり詳細に数字を公開しています。また2021年の3月には最新の通期決算が出るはずなので、こちらがコロナ禍の影響を受けてどう変化したのかは引き続き注視して行きたいと思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。
最後にSaaSを理解するための本のご紹介と宣伝
SaaSの本質であるリード生成、商談獲得、商談受注までのプロセスを表す一連の流れを指し、Salesforce、Marketoで勤務した経験を持つ福田氏による名著です。基本的なSaaSオペレーションの諸概念について、簡単な言葉で表現してくれており、SaaSの全体観を掴むのに適しています(なお、SaaS全体のおすすめ本はこちらにまとめています)。
ちなみに2021年以降にIPOしたSaaS関連各社の四半期単位の各社については、本サイトをまとめた書籍を執筆しています。(画像クリックでamazonの新しいタブが開きます。)当該期間にIPOした新規上場SaaSの分類として、
- ホリゾンタル・バーティカルSaaS
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などの分類とまた、その他関連SaaS書籍をまとめておきましたので、興味のある方は以下よりご覧ください。なお、リンクのクリックで個社の過去記事をご覧いただくこともできます。