- 推定KPI:チームスピリットの直近期末時点ストック比率は7割強
- 参考:チームスピリットのプレミアサポートは3種類(導入支援/運用支援/改善・活用支援)
- 推定KPI:チームスピリットの期末時点推定MRRは2019年8月期末時点で1.2億円
- 直近期末の契約ライセンス数は20.8万。YoY成長率は150%
- 直近期末の契約社数は1,232社、YoY成長率は127%
- 1社あたりライセンス数は169。YoY成長率は118%。
- チームスピリットの企業定義は契約ライセンス数で行われており、GB/EBU:500名、MM:100〜499名、SMB:99名以下。
- チームスピリットの直近期末時点ではARPAが約9.4万円、ARPUが約560円
- 公開されている価格表のARPUは600、900、6,000円の3価格。
- チームスピリットの最新グロスチャーンは0.87%で1%未満、ネガティブチャーンは-0.78%
- チームスピリットの従業員数は67人、最新のYoY伸び率は105%
- 最後に
- 最後にSaaSを理解するための本のご紹介と宣伝
推定KPI:チームスピリットの直近期末時点ストック比率は7割強
まずはチームスピリットの期末時点の推定ストック(月額課金)売上比率を見てみましょう。なお、チームスピリットのストック比率は、ライセンス売上高/売上高の式により算出しています。なお、チームスピリットは単一セグメントでありながら、サービスをプロフェッショナルサービスとライセンスに分けて情報を開示しています。なお、月額課金でいわゆるMRRとしての要素としてはプロフェッショナルサービスの中に「プレミアサポート」が入っています。今回のストック比率算出でこちらのプレミアサポートは含めていませんのでご注意ください(したがって、実際のストック比率はもう少し高いです)。
参考:チームスピリットのプレミアサポートは3種類(導入支援/運用支援/改善・活用支援)
同社ホームページよりプレミアサポートの内容を見てみましょう。3つの支援が主になっているようで、
- 導入支援
- 運用支援
- 活用・改善支援
の3つが具体的な支援内容とのことです。導入・運用支援はカスタマーサポートに近く、最後の活用・運用支援というのはカスタマーサクセスに近い要素、という整理でしょうか。チームスピリットのプロダクト自体がセールスフォースの上で動いているという前提に加えて、法改正や組織変更の影響は常に導入企業は受けそうなので、このようなサービスがあると安心して導入後もサービスを活用していくことができそうですね。
推定KPI:チームスピリットの期末時点推定MRRは2019年8月期末時点で1.2億円
続いて、チームスピリットの推定MRRについて述べます。なお、こちらは
- ライセンス売上高 / 12(ヶ月)
により算出しています。こちらについては直近の成長率がやや加速しています。なお、こちらについてもプレミアサポートの売上は含めておりませんので、ご注意ください。
直近期末の契約ライセンス数は20.8万。YoY成長率は150%
はじめに開示資料で公開されているライセンス数の推移を見ていきましょう。開示資料によると直近期末のチームスピリット契約ライセンス数は20.8万で、YoY成長率は150%です。YoYの成長率を見ていると、2012年8月期末から2013年8月期末にかけて418%という大きな成長を遂げた後、200%から徐々にライセンス数成長率も下がりながら、直近のYoYライセンス数成長率も150%の水準にあるということなんですね。
直近期末の契約社数は1,232社、YoY成長率は127%
続いて開示資料で公開されている契約社数の推移を見ていきましょう。開示資料によると直近期末のチームスピリット契約社数は1,232社で、YoY成長率は127%です。契約社数の伸びはライセンスよりは下がりますが、それでも130%近い水準の成長率を保つことができているようです。
1社あたりライセンス数は169。YoY成長率は118%。
続いて、これまでの数字から推定できる1社あたりのライセンス数を見てみます。契約社数を契約ライセンス数で割った1社あたりのライセンス数を見てみると、2019年8月期末時点における1社あたりのライセンス数は169で、YoY成長率は118%でした。
チームスピリットの企業定義は契約ライセンス数で行われており、GB/EBU:500名、MM:100〜499名、SMB:99名以下。
次に、参考資料としてチームスピリットにおける企業規模の定義をご紹介します。こちらは2020年10月13日発表 2020年8月期 決算説明資料 PDFより抜粋してきた企業規模の定義です。こちらの定義によれば、169名というのはMMに該当しますので、MMが中心の提供先ということになりそうですね。なお、10/13に発表された決算説明資料ベースではFY2019ではMM比率が最も高かったところがFY2020ではGB/EBUの比率がMMを逆転しているようです。こちらも有価証券報告書の発表が楽しみです!
チームスピリットの直近期末時点ではARPAが約9.4万円、ARPUが約560円
契約社数、ライセンス数の次はARPA(契約社数あたり単価)、ARPU(契約ライセンス数あたり単価)を見てみましょう。直近期末時点では、
- ARPA:約9.4万円
- ARPU:約560円
ということになっていそうです。こちらはARPAベースでラクスの数万円とあまり変わらないゾーンに位置しますが、チームスピリットは導入の前提にSalesforceを使う必要があるので、システムとしての正味導入費用としてはもう少し費用が乗って来そうかかりそうな感じではありますね。
公開されている価格表のARPUは600、900、6,000円の3価格。
なお、こちらは公開されているチームスピリットの価格表です。SaaSにおいて、解約率の劇的改善などのトレードオフがない限り価格を下げる価格改定は行いづらい、かつ適正価格にチームスピリットの価格帯もいそうだということで価格改定が直近なされていないと仮定すると、推定ARPAが600円を割っているのは契約時に多少の割引を行っているのではないか、というように考えられます。
チームスピリットの最新グロスチャーンは0.87%で1%未満、ネガティブチャーンは-0.78%
参考までに、解約率の開示情報を紹介します。こちらは2020年10月13日発表 2020年8月期 決算説明資料 PDFより抜粋した図になりますが、チームスピリットは最新のグロスチャーンは0.87%で1%未満、ネガティブチャーンは-0.78%となっています。これまで紹介したHENNGEの0.1%などに比べるとグロスチャーンレートは大きいですが、1%未満であれば良いと言われるSaaSの世界においては十分に良い解約率ということが言えるのではないでしょうか。また、先ほどARPUについて述べましたが、過去の推移を見ても顕著に解約率が悪化している傾向はなく、短期で価格を下げないといけない理由は特に見当たらなそうです。
チームスピリットの従業員数は67人、最新のYoY伸び率は105%
最後に、チームスピリットの従業員数について述べます。2019年8月期で従業員数は67名。直近1年では105%の伸び率を示しています。マザーズ市場に上場したのは2018年のことですが、そこから急激に従業員が増えたりはしていません。チームスピリットの場合、事業セグメントは単一セグメントで従業員は全体の数しかわかりませんでしたが、セールス/開発/サポート/全社などに分かれていそうで、今後セグメント情報が公開されることがあるとその内訳の詳細がわかってとても面白そうだなと感じました。
最後に
Salesforceに乗ったプロダクトとしてサービス展開し、成長を続けるチームスピリット。様々なSaaS関連指標を公開しており、ターゲットとする企業セグメントも企業規模においてとても明確です。チームスピリットはつい最近決算説明資料が公開されたばかりで、今後はまた有価証券報告書が公開されてくるはずです。こちらもとても楽しみです。最後まで読んでいただきありがとうございました!
最後にSaaSを理解するための本のご紹介と宣伝
SaaSの本質であるリード生成、商談獲得、商談受注までのプロセスを表す一連の流れを指し、Salesforce、Marketoで勤務した経験を持つ福田氏による名著です。基本的なSaaSオペレーションの諸概念について、簡単な言葉で表現してくれており、SaaSの全体観を掴むのに適しています(なお、SaaS全体のおすすめ本はこちらにまとめています)。
ちなみに2021年以降にIPOしたSaaS関連各社の四半期単位の各社については、本サイトをまとめた書籍を執筆しています。(画像クリックでamazonの新しいタブが開きます。)当該期間にIPOした新規上場SaaSの分類として、
- ホリゾンタル・バーティカルSaaS
- エンタープライズとSMBSaaS
などの分類とまた、その他関連SaaS書籍をまとめておきましたので、興味のある方は以下よりご覧ください。なお、リンクのクリックで個社の過去記事をご覧いただくこともできます。