- 開示KPI:ネオジャパンの直近期末時点ストック比率は約半分
- 推定KPI:ネオジャパンの期末時点推定MRRは2020年1月期末時点で1.47億円
- グループウェアの市場動向は年率約5%の成長率で伸び続けている
- グループウェアのポジショニングにおいて、低単価高機能ゾーンを狙ってポジションをとっている
- パッケージ市場では2017年より1位を獲得
- クラウド市場ではまだ5位、しかし成長率は2桁成長と大きく成長
- ネオジャパンのクラウドサービス単価は1ユーザーあたり400円未満、プロダクトについてはユーザー単位で数万円〜
- ネオジャパンのクラウドサービスユーザー数は2020年1月期末で370万人超え
- ネオジャパンの従業員数は233人、最新のYoY伸び率は199%
- 最後に
- 最後にSaaSを理解するための本のご紹介と宣伝
開示KPI:ネオジャパンの直近期末時点ストック比率は約半分
それでは、まずネオジャパンの期末時点ストック(月額課金)売上比率を見てみましょう。なお、ネオジャパンのストック比率は、クラウドサービス売上高/売上高の式により算出しています。直近3期については、ほぼ50%近い比率でしたが、こちらは前回の記事でもご紹介したPro-SPIRE社を連結範囲に含めたことが原因となっていそうです(Pro-SPIRE社を連結対象とした結果、ストック売上とみなさないシステム開発サービス事業の売上高が増加)。
推定KPI:ネオジャパンの期末時点推定MRRは2020年1月期末時点で1.47億円
続いて、ネオジャパンの推定MRRについて述べます。なお、こちらは
・ストック収入売上高 / 12(ヶ月)
により算出しています。こちらについては安定した伸びを見せており、2020年1月時点ではMRRはもうすぐ1.5億円を突破するところまできています。次回の決算ではこのペースで行くとコロナ禍の影響を受けていなければ、1.75億円、導入が進むと1.8億円くらいになっていそうですね。
グループウェアの市場動向は年率約5%の成長率で伸び続けている
こちらはネオジャパンの決算説明資料より抜粋してきたグループウェアの市場動向グラフです。市場は2018年から2023年にかけて年率4.9%で伸び続けることと、市場の伸びに伴って、クラウドの比率は高いママ伸びていく分野であるとネオジャパンはグループウェア市場をみなしていることがわかります。
グループウェアのポジショニングにおいて、低単価高機能ゾーンを狙ってポジションをとっている
こちらはネオジャパンの決算説明資料より抜粋してきた自社のポジショニングマップです。低単価かつ高機能ゾーンを狙っていることがわかります。競合は外資と国内ベンダーというところで、前者に対しては、ローカライズ面、後者に対しては価格面を訴求してポジションをとっている感じのようですね。
パッケージ市場では2017年より1位を獲得
こちらはネオジャパンの決算説明資料より抜粋してきたパッケージ市場シェアの動向グラフです。2017年よりIBMのノーツを抑えて1位とのことですので、こちらをクラウド化させることができれば、自社のクラウド事業に取っても非常に有利になりそうですね(一方、これらの導入先には例えば自治体など、クラウドを使えない事情もあったりしますので、なかなか簡単には進みそうにないですが、1位、というのはどんなことであれ素晴らしいことだと私は思います)。
クラウド市場ではまだ5位、しかし成長率は2桁成長と大きく成長
今回は、ARPA、ユーザー数に映る前に、ネオジャパンのポジショニングについても触れようと思います。
こちらはネオジャパンの決算説明資料より抜粋してきたクラウド市場シェアの動向グラフです。まだ5位、というところですが先ほど紹介したポジショニングがうまく効けば時間はかかりそうですが順位には今後変動が見られそうですね。
ネオジャパンのクラウドサービス単価は1ユーザーあたり400円未満、プロダクトについてはユーザー単位で数万円〜
ネオジャパンは割としっかりと金額を公開してくれています。いいな、と思うのがクラウドサービスに初期費用が0円というところですね。導入しようとしたら即日使うことができるシンプルなサービス、ということでしょうか。割とSaaS企業の中には導入に際して非常に手間がかかるサービスも多いので、この部分はとても特徴的だなと感じました。
ネオジャパンのクラウドサービスユーザー数は2020年1月期末で370万人超え
ネオジャパンはサービスも複数あるせいか、ユーザー数は導入社数は明確に公開していません(推測ですが、比較的相互に導入が進みうるツールを提供しているので、これらを全て公開してしまうと、装着率が低い・装着が進んでない、などの事業戦略・運営にとっては余計な指摘をされることもあるのではないか、と私は考えますし、いらないKPIは事業としては公開しなくていいいと考える派です。一投資家としては、もちろん公開を希望しますが。後述の通り、なかなかにグループウェア市場は各社競っている状態のようですので、不要な情報開示はしない方がいいでしょう)。そこで、先ほど示した料金表より、desknet’s NEO及びChatLuckについてはそのユーザー数を推定したのがこちらのグラフです。ユーザー数ベースでは、desknet’s NEOの導入が圧倒的で、350万人を超えるユーザーがいます。
ネオジャパンの従業員数は233人、最新のYoY伸び率は199%
最後に、ネオジャパンの従業員数について述べます。2020年1月期で従業員数は233名。直近1年では約2倍近く増えています。しかしこちらについては、連結対象を増やしたことが要因にありそうですね。クラウドサービスを抱えながら、オンプレ型も提供し、さらにオンプレ型サービスをニーズを見てクラウド化していく、という戦略はとても魅力的に感じます。一方で、どのような人員構成、特にエンジニアと営業のバランス、がどのようになっているのだろうということはシンプルに興味深いなと感じました。
最後に
企業運営で必ず必要になってくる、従業員をまとめるためのグループウェア。これらをまとめて管理できるSaaSを提供するネオジャパン ですが、海外・国内と様々な会社がいる中で、どのように今後サービスを伸ばしていくのか。オンプレをクラウド化していく戦略がどのような事業数値となっていくのか、ということは非常に楽しみに感じました。このブログは基本的にマニアックなSaaSにフォーカス、というコンセプトでやってきましたが、そろそろ、日経SaaS界の四強の内の一人、サイボウズも取り上げなきゃなと強く感じる記事になりました。SaaSって、本当にいいものですね!最後まで読んでいただきありがとうございました。
最後にSaaSを理解するための本のご紹介と宣伝
SaaSの本質であるリード生成、商談獲得、商談受注までのプロセスを表す一連の流れを指し、Salesforce、Marketoで勤務した経験を持つ福田氏による名著です。基本的なSaaSオペレーションの諸概念について、簡単な言葉で表現してくれており、SaaSの全体観を掴むのに適しています(なお、SaaS全体のおすすめ本はこちらにまとめています)。
ちなみに2021年以降にIPOしたSaaS関連各社の四半期単位の各社については、本サイトをまとめた書籍を執筆しています。(画像クリックでamazonの新しいタブが開きます。)当該期間にIPOした新規上場SaaSの分類として、
- ホリゾンタル・バーティカルSaaS
- エンタープライズとSMBSaaS
などの分類とまた、その他関連SaaS書籍をまとめておきましたので、興味のある方は以下よりご覧ください。なお、リンクのクリックで個社の過去記事をご覧いただくこともできます。