TL:DR;
- 開示KPI:手間いらずの期末時点ストック比率は上がり続け、ほぼ100%近くがストック売上に到達
- 推定KPI:手間いらずの期末時点推定MRRは2019年6月期末時点で1.1億円超え
- 推定KPI:手間いらずの2020年6月の推定導入件数は約4,000件
- 推定KPI:手間いらずの2013年7月時点ARPAは約5,000円〜
- 手間いらずの従業員数は40人未満、最新のYoY伸び率97%近い水準
開示KPI:手間いらずの期末時点ストック比率は上がり続け、ほぼ100%近くがストック売上に到達
では手間いらずの期末時点ストック(月額課金)比率を見てみましょう。手間いらずは2015年6月にガタッとストック比率が下がりましたが、それ以降2016年から2019年の期末にかけて、じわじわとストック比率を上げ続けました。その結果、2019年6月期末にはストック比率は97.7%まで増加しました。(なお、ストック売上は手間いらずの2事業セグメントである
- アプリケーションサービス事業(手間いらずを提供)
- インターネットメディア事業(比較.comを提供)
の内の前者をストック売上としています。)比較.comからの割合は下がっており、会社としてもこちらよりもアプリケーションいらずの手間いらずに注力していることが見て取れますね。
推定KPI:手間いらずの期末時点推定MRRは2019年6月期末時点で1.1億円超え
次に、手間いらずの推定MRRについて述べます。なお、こちらは
- アプリケーション事業売上 / 12(ヶ月)
により算出しています。
推定KPI:手間いらずの2020年6月の推定導入件数は約4,000件
次は手間いらずの導入件数です。こちらは有価証券報告書にも、決算説明資料にも特に情報がなかったので、web archiveより情報を取得してきました。web archiveの情報によれば、
- 平成22年(2020年)5月時点で1,900件
- 平成22年(2020年)10月時点で2,000件
を突破しているというバナーがありました。単純計算すると半年で100件、1年で200件が増加しているとみなすと2020年6月時点では約4,000件近い件数がありそうだと言うことができそうですね。
推定KPI:手間いらずの2013年7月時点ARPAは約5,000円〜
続いて、手間いらずのARPAについてわかったことを述べます。手間いらずのARPAについては、導入件数と同様に有価証券報告書、期末決算説明会資料でも開示がありませんでした。同様にweb archiveにて調べたところ、2013年7月時点のARPA(Average Revenue Per Account:平均顧客単価)は約5,000円と言うことがわかりました。すでに7年経っているので、おそらくもっと価格は上がっていそうな気はします(コロナが広がる前はオリンピックによるインバウンド需要もありましたし、ここはコロナ前は値上げをしやすい領域だったのではないでしょうか。)
手間いらずの従業員数は40人未満、最新のYoY伸び率97%近い水準
最後に、手間いらずの従業員数についてです。2019年6月期で従業員数は35名でした。この人数で東証一部上場企業、と言うのが人数が増えがちなSaaS企業の中でも低く抑えられているところがすごいですね。
最後に
宿泊予約コントローラーの手間いらずについてご紹介しました。見ていただいた通り、推定アカウント数は数千、推定ARPAは数千〜1万円が1000近くですが、最初はアフィリエイトが事業の中心で始まっており、これまでに取り上げてきたSaaSとはまた特徴の違うSaaSだなと感じました。SaaSって、本当にいいものですね!最後まで読んでいただきありがとうございました。
最後にSaaSを理解するための本のご紹介と宣伝
SaaSの本質であるリード生成、商談獲得、商談受注までのプロセスを表す一連の流れを指し、Salesforce、Marketoで勤務した経験を持つ福田氏による名著です。基本的なSaaSオペレーションの諸概念について、簡単な言葉で表現してくれており、SaaSの全体観を掴むのに適しています(なお、SaaS全体のおすすめ本はこちらにまとめています)。
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- ホリゾンタル・バーティカルSaaS
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