2事業セグメントが成長中!和製ピュアSaaS、SansanのKGI/KPIを調べてみた(2/2)

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saaslife_2事業セグメントが成長中!和製ピュアSaaS、SansanのKGI/KPIを調べてみた(2/2)

TL:DR;

  • Sansanの解約率は1.0%未満
  • 契約件数、推定MRR、推定ARPUともに順調に増加中
  • 人員も増えており、構成比率はほぼ不変

さて、前回に引き続き、SansanのKPIを紹介します。SaaS企業によっては、公開しているKPIと非公開のKPIがあるので、公開されているものは公開されているもの、推定で算出しているものは推定値と明記して以下紹介します。

KPI推移(Sansanの解約率)

まずは気になる解約率から。2019年5月末時点情報では、年間の解約率平均は0.80%未満で1%を切っています。過去に紹介したHENNGEほどは低くないですが、かなり低い水準と言っても良いのではないでしょうか。名刺情報は企業に基本的に溜まり続け、増え続けることに加えて、名刺を取り込んだ後工程でCRMとしてのSalesforce、MA(Marketing Automation)のPadot/Marketoとの連携をしている企業もかなりの数いることを考えると、プロダクトの性質的にかなり解約しづらい良いプロダクトということが言えるでしょう。

saaslife_Sansanの解約率推移

KPI推移(Sansanの契約件数推移と伸び率)

次に、気になる契約件数の推移です。契約件数は毎年増え続けており、2014年から2015年でもYoYで150%の伸び、直近でも110%近い水準で増えています。

saaslife_Sansanの契約件数推移と伸び率

KPI推移(Sansanの推定MRR)

次に気になるSansanの推定MRRです。ここで推定としているのは、Sansan自身はMRRを開示していないためです。推定方法は売上高を12で割り算して算出しています。ここについては、厳密にはプロフェッショナルサービス(ショットで発生する売上)と継続課金による売上高の2パターンあるので正確には不明ですが、

  • 初期設定ほぼ不要で始めることができ、プロフェッショナルサービスが介在する要素があまりない
  • CRMやMAとの接続はSalesforce認定ベンダーやMAのベンダーが実施し、Sansanが介在する要素が少ない

ことからある程度妥当な推定ではないでしょうか。この基準で算出したMRRもYoYで130%超えの水準で伸び続けています。

saaslife_Sansanの推定MRR推移

KPI推移(Sansanの推定ARPU)

MRRだと契約件数が増えてMRRが上がっているのか推定ARPU(Average Revenue Per User:アープと呼び一社あたりの売上を表します)を見てみましょう。なお、このARPUはMRRを単純に契約件数で割り算して算出しています。ARPUは直近の2019年5月期で約15万の水準にあり、YoYでは120%超えの伸び率です。順調に社数あたりの単価をあげることができている、ということが言えるでしょう。(なお、社数単価をあげるには、社員数の多い大企業に入れるか、単純に値上げを行うかの2通りがあります)

saaslife_Sansanの推定ARPU推移

おまけ:Sansanの従業員数推移

さて、最後にSansanの事業を構成する事業部別人数を見てみましょう。2019年5月期時点で全従業員は500人を超えており、全社(共通)・eight事業・Sansan事業それぞれの構成比率はほぼ不変です。Sansan:eightの売上構成比率がほとんどがSansanであることから考えると、eight事業部の人員の比率が多いように見えますが、新規で球速立ち上げ中の事業ということで多くの人員を割り当てているのではないでしょうか。

saaslife_Sansanの従業員数推移

最後に

いやー、Sansanさんからの数値からは学ぶことだらけで本当に勉強になります。

  • 如何にして解約率が低い仕組みを作り出すか
  • 新規事業の売上高比率/人員比率がどの程度か

あたりはかなり参考になるのではないでしょうか。様々な数字によって事業の状況を推定でき、比較によって新しい発見が毎回ある。SaaSって、本当にいいものですね!

最後にSaaSを理解するための本のご紹介と宣伝

SaaSの本質であるリード生成、商談獲得、商談受注までのプロセスを表す一連の流れを指し、Salesforce、Marketoで勤務した経験を持つ福田氏による名著です。基本的なSaaSオペレーションの諸概念について、簡単な言葉で表現してくれており、SaaSの全体観を掴むのに適しています(なお、SaaS全体のおすすめ本はこちらにまとめています)。

ちなみに2021年以降にIPOしたSaaS関連各社の四半期単位の各社については、本サイトをまとめた書籍を執筆しています。(画像クリックでamazonの新しいタブが開きます。)当該期間にIPOした新規上場SaaSの分類として、

  • ホリゾンタル・バーティカルSaaS
  • エンタープライズとSMBSaaS

などの分類とまた、その他関連SaaS書籍をまとめておきましたので、興味のある方は以下よりご覧ください。なお、リンクのクリックで個社の過去記事をご覧いただくこともできます。

時期表紙取扱SaaSとそのリンク(上場日付順)
FY2022Q2 セカンドサイトアナリティカ
サークレイス
ペットゴー
トリプルアイズ
ヌーラボ
FY2022Q1 エッジテクノロジー
カジー
マーキュリーリアルテックイノベーター
ビーウィズ
FY2021Q4シンク
フォトシンス
GRCS
サイエンスアーツ
ラストワンマイル
スローガン
ボードルア
フレクト
ネットプロテクションズ
トゥルーデータ
ブロードエンタープライズ
JDSC
ヒュウガプライマリケア
グローバルセキュリティエキスパート
ラバブルマーケティンググループ
サインド
網屋
ザクー
フィナテキストホールディングス
エクサウィザーズ
ハイブリッドテクノロジーズ
エフ・コード
CS-C
ニフティライフスタイル
セキュア
FY2021Q3ラキール
フューチャーリンクネットワーク
モビルス
ユミルリンク
ロボットペイメント
セーフィー
FY2021Q2ビジョナル
ペイロール
プラスアルファ・コンサルティング
サイバートラスト
ファブリカコミュニケーションズ
ネオマーケティング
FY2021Q1ワカル
ウイングアーク1st
ベビーカレンダー
スパイダープラス
エイピアー
出版履歴

管理人のSaaslifeです。

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SaaSについて、

・SaaSとオンプレミス型の違いは何か

・SMBとエンタープライズ

・ホリゾンタルSaaSとバーティカルSaaS

・MRRとARR、単価と社数の関係

・IPOした各社のプロダクト特徴や沿革

を各社の公開情報(IR)からまとめた電子書籍を四半期に一度発行しています。

SaaSビジネスの全体像を掴むためであれば1冊読んでいただければ十分です。

各社IRを見たら載っている、など辛辣なレビューもいただいてます。

良いレビューも悪いレビューも受け止めて今後も内容の充実に努めていきます。

が、IRを個別に見なくても全体像を把握できるようにする目的でまとめています。

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