TL:DR;
- 特に理系出身者にとって、図解でわかるSaaSのすべては、知識を得るために最適
- ただし、いわゆるプレイブックではない
- 最低限の用語を知るためのものとしては適している
「図解でわかるSaaSのすべて」とは
オーム社(OHM社)の出している本であり、第一版の出版が平成21年と言う、若干古めの本。著者の山谷さんはIBMだった方らしい。この本、大学で理系、さらに言うと工学系を専攻していると胸熱のオーム社出版で、派手派手しい装飾こそないが、結構イケてると密かに思っている。
何が載っているのか?
「図解でわかるSaaSのすべて」は令和2年の2020年4月から振り返ると極めて古い時期に出された本(10年以上前)ではあるが、何と、
- ASPとSaaSは何が違うのか?
- ビジネスモデル/契約形態
- 日本におけるSaaSが浸透していく上での課題
など、SaaSを作る上で意識しないといけないこと(エンジニア観点)と、SaaSの契約を取る上で重要な観点(セールス観点)双方で割と網羅的にトピックが書かれている。したがって、SaaSへの転職を希望していて、業界について全く知らない人にとっては、結構ポジショントークなしで、まとめられている(だって、教科書であり、自身の武勇伝をつらつら重ねるSaaS関連のビジネス本のようにはできないから)。ので、もしもあなたが
- IT用語にそこまで詳しくないがSaaS企業への転職を考えている
- そもそもSaaSとASPって何が違うの?
- SaaSにおける契約って対顧客視点で特に何が重要な論点になるのか?
などが気になる場合は、結構この本は役に立つと思う。
一方で、この本はプレイブックではない
ただ、この本について一点期待値を適切に設定する必要があるとすれば、この本はいわゆるプレイブック(ビジネスにおいて、こうすると勝てる的な戦術指南書)ではないと言うことだ。その点においては、ザ・モデルに勝る本は今まだ日本ではないだろう(個人的にはポストコロナで、生まれ変わったザ・モデル 、具体的には「インサイドとフィールドセールスの垣根が極めて下がった組織」によるSaaSグロースにフォーカスした本だろう、とは思っている)。
と言うことで
いつもの本紹介へのリンクを貼っておきます。あなたがビジネスサイドであればザ・モデル を、エンジニアとしてSaaSに興味を持っているのであれば「図解でわかるSaaSのすべて」をお勧めします。