2020年4月10日時点最新・日本の上場SaaS企業20社の粗利率/売上高に占める売上原価率・販管比率/PSR/キャッシュフロー(CF)

saaslife_2020年4月10日時点最新・日本の上場SaaS企業20社の粗利率売上高に占める売上原価率・販管比率PSRキャッシュフローCF スタートアップ
saaslife_2020年4月10日時点最新・日本の上場SaaS企業20社の粗利率売上高に占める売上原価率・販管比率PSRキャッシュフローCF

TL:DR;

  • 日本の上場SaaS企業20社の財務指標を調べた
  • 粗利率の最大値はウォンテッドリーの100%、平均値は7割
  • PSRの最大値は弁護士ドットコムの40.2x、平均値は15.2x
  • 全20社のうち積極型、勝負型キャッシュフローが6割で、少なくともコロナ前は産業として伸び続ける状態にあった

調査目的

著者SLの所属するスタートアップにおいて新規事業を仕込むために、すでに市場の仲間入りをしている会社にてどのような取り組みをしているのかを定量的な財務情報/定正的なプロダクト情報で理解するため(コロナでそれどころではない感じはあるが、しっかりとビジネスを積み上げている先人から学ぶ上で決算情報ほど役に立つ情報は無いと思っているため)。なお、定性的なプロダクトに関する考察は今後深堀りして行った企業に対して個別に公開していこうと思っています。まずは全体像の把握が目的。


調査対象

日本で上場しており、SaaS型のサービスを提供している会社20社を独断と偏見に基づいて抽出


調査データ

  • 各社最新の有価証券報告書(通期)
  • Yahooファイナンス(時価総額の取得のため)

では、売上高から順番に行きます。


(1)売上高サマリ:最大値はサイボウズの134億円、中央値はHENNGEと弁護士ドットコムの間の33億円

saaslife_日本の上場SaaS企業20社の売上高(億円)サマリ
saaslife_日本の上場SaaS企業20社の売上高(億円)サマリ


まずは通期の売上高から。今回の調査で使った有報における各社の決算期は、freeeの7期が最小で、サイボウズの23期が最大だった。知名度も圧倒的だし、さすが長い間積み重ねてきた企業活動の結果がこの売上につながっているのだなと感じる。ついで売上高100億円超えSaaSとして、UZABASE、Sansanがランクイン。ただ、そのすぐ後ろについているラクス、インフォマートあたりは営業キャッシュフローも十分プラスで出てるので、今期で売上高100億円超えSaaSの仲間入りをするのでは無いかという位置。


(2)粗利率の最大値はウォンテッドリーの100%、平均値は7割

saaslife_日本の上場SaaS企業20社の粗利率サマリ
saaslife_日本の上場SaaS企業20社の粗利率サマリ

次に粗利率について。粗利率が最も高かったのはウォンテッドリー。有価証券報告書の中に、売上原価の項目がなかったので、ほぼ原価はかかってないようだ。その他19社も中央値、平均値共に6-7割となっているので、これはSaaSスタートアップも1つの目安水準となるだろう。


(3)売上高に占める売上原価率の平均は28%、販管費率は65%

saaslife_日本の上場SaaS企業20社の売上高に占める売上原価率、販管費率サマリ
saaslife_日本の上場SaaS企業20社の売上高に占める売上原価率、販管費率サマリ

売上高に占める売上原価率、販管費率の平均については、それぞれ28%、65%だった。グラフにて、縦棒の高さが100%を超えている企業は営業利益がこの期はマイナスだった企業であり、ユーザベース、sansan、マネーフォワード 、freee、カオナビが入っている。


(4)PSRの最大値は弁護士ドットコムの40.2x、平均値は15.2x

saaslife_日本の上場SaaS企業20社のPSRサマリ
saaslife_日本の上場SaaS企業20社のPSRサマリ

PSRはSaaSが市場からどれだけ期待されているかの目安数字(時価総額/売上高、参考記事)。だいたい10以上と言われており、弁護士ドットコムの40xを最大として、freeeの30x、Chatworkの25x、カオナビの21x、インフォマートの20xと20倍超え企業が並ぶ。確かに顔ぶれを見る限り、TAMもかなり広そうかつ軒並み経産省の唱えているDX(デジタル・トランスフォーメーション)推進文脈にマッチするプロダクトを保有しており、市場から期待を受けるのもわかる。これがコロナにより今後どう変わっていくのか、については調査の目的からは外れてくるが、「完全に働き方が変わった中でどう企業にアジャストしたSaaSプロダクトを作るか」というイシューに明らかに効いてくるはずなので、また一年後に調べるのが楽しみだ。


(5)全20社のうち積極型、勝負型キャッシュフローが6割で、少なくともコロナ前は産業として伸び続ける状態にあった

saaslife_日本の上場SaaS企業20社のキャッシュフローサマリ
saaslife_日本の上場SaaS企業20社のキャッシュフローサマリ

各社のキャッシュフローについては、

  • 本業で得た資金を投資や借入金の返済に当てる健全型(営業CF+、投資CF-、財務CF-)
  • 本業で得た資金を投資に回しながら、足りない資金を借入金などでまかなう積極型(営業CF+、投資CF-、財務CF+)
  • 本業で資金が流出している中、借入金などの資金調達で得た資金を投資に当てている勝負型(営業CF-、投資CF-、財務CF+)

で分類すると、

  • 健全型が8社(40%)
  • 積極型が10社(50%)
  • 勝負型が2社(10%)

だった。なお、勝負型はfreeeとマネーフォワード の二社である。コロナの影響により、各社確実にこの大きな戦略と戦術の見直しを強いられることになるんだとは思うが、どのように変わるのかは引き続き注視していきたい。

なお、この基準は、以下の書籍を引用している。コミカルな語り口でとてもわかりやすいので、財務分析に対してとりあえず身近な話題から入りたい方にオススメです。


最後に

今後はコロナ後の世界で使われるSaaSを作るための着想を得るために、もっと各社のセグメント情報/公開済KPIだったり、プロダクトに関する考察を増やしていきたいと思っています。

ちなみにSaaS関連の考え方全般については、元SalesforceでMarketoの福田さんが書いた「ザ・モデル」が詳しいです。(画像クリックでamazonの新しいタブが開きます。)

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